LCフィルタはその名の通り「コイル L」と「コンデンサ C」によって構成されるフィルタ回路で、別名パッシブフィルタとも呼ばれます。
今回の記事では、このLCフィルタの設計方法について解説します。
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パッシブフィルタの特徴
パッシブフィルタと紹介しましたが、このパッシブとは「受動素子」のことを指します。
反対に能動素子を使用したフィルタを「アクティブフィルタ」と呼びます。
アクティブフィルタに関してはコチラを参照ください。
パッシブフィルタはアクティブフィルタと比較して、低周波だけでなく高周波でも使用することができます。
パッシブフィルタの種類
パッシブフィルタのうち、低周波では「抵抗 R」と「コンデンサ C」による「RCフィルタ」が使用され、高周波では「LCフィルタ」が使用される傾向があります。
EMC試験などの高周波のノイズ対策として使用されるのは「LCフィルタ」で、かつ「ローパスタイプ」のものが主流です。
例えば、市販されているノイズフィルタなんかがその典型ですね。
LCフィルタの要点
ノイズ対策としてLCフィルタを使用する場合には、どの程度レベルを下げるかが重要になるため「カットオフ周波数」と「減衰傾度」が大切になります。
カットオフ周波数はコイルとコンデンサの定数によって決まり、減衰傾度はコイルとコンデンサの数(次数)によって決まります。
ここがLCフィルタの設計において重要なポイントです。
LC型ローパスフィルタの設計例
では、どのように設計するのか「ローパスフィルタ」を例に見ていきましょう。
ここでは「QucsStudio」を使用します。
まだインストールされていない方は、下記の記事を参考にインストールしてください。
設計ツール「Filter synthesis」
まずは「Tools」から「Filter synthesis」を選択します。
ここでは電源ラインの伝導エミッションノイズ対策をイメージして設計していきます。
- Realization(フィルタの実現方法) :「LC ladder」を選択
- Filter type(フィルタのタイプ) :「Butterworth」を選択
- Filter Class(フィルタの種類) :「Low pass」を選択
- Order(次数) :減衰傾度に応じて指定(3次)
- Corner Frequency(カットオフ周波数):通過帯域に応じて指定(50kHz)
- Voltage Gain(回路全体のゲイン) :ゲインは必要ないので「1」
「Calculate and into Clipboard」を選択すると、回路がコピーされた状態になるので回路図上に貼り付けます。
そのままシミュレーションを実行すると、エラーが出ます。実は「QucsStudio」では、「μ」の文字がうまく表示されず「オ」と表示されてしまいエラーになります。そこでコイルの定数の単位を「オH」から「uH」に変更してください。(最新版では修正されています)
これでシミュレーションが実行すると、LCフィルタによるローパスフィルタの特性を確認することができます。
150kHzにおいて、およそ30dBの減衰量を持つフィルタが設計できました。
フィルタの特性に不備があれば、「Filter synthesis」に戻って設定を変更した上で再シミュレーションします。
シミュレーション完了後は、コイルとコンデンサの定数を調整して終了です。
LCフィルタも複雑な計算なしに設計できることがわかりますね。
おわりに
LCフィルタの特徴と設計方法(ローパスフィルタの設計例)について紹介しました。
設計方法に関しては「QucsStudio」を使用することで簡単に設計できますが、フィルタそのものの原理や使い分け方については理解しておく必要があります。
LCフィルタの原理は「LCフィルタの設計&製作」でわかりやすく解説されています。
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初心者から上級者まで、すべての方に何かしらの気づきを与える内容をなっており、フィルタ設計においてはなくてはならない一冊です。
フィルタ設計に関わる方はぜひチェックしてみてください。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。