この記事では、アイソレーションアンプとオペアンプの違いについて解説しています。
動画(比較検証あり)はこちら↓
アイソレーションアンプとは
アイソレーションアンプはその名の通り、入力と出力が絶縁(アイソレーション)されたアンプで、高い安全性や耐ノイズ性能を維持したまま信号伝送できます。
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産業機器をはじめとして医療機器や発電設備など、高い信頼性と長寿命が要求されるアプリケーションのセンサ回路や制御インターフェースで使用されています。
コモンモードノイズ抑制効果
アイソレーションアンプは基準電位の異なる回路間を接続したときに、コモンモード電流(グラウンドループ)を遮断する働きを持ちます。
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そのためノイズ環境が厳しい工場などで、安定して信号伝送する用途に向いています。
オペアンプとの違い
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一般的なオペアンプではコモンモードノイズが後段の回路に伝搬するため、信号の誤差・誤検知、最悪の場合には機器の誤動作や破壊につながってしまいます。
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アイソレーションアンプの原理
アイソレーションアンプでは入出力間を絶縁しつつ、信号伝送するために絶縁トランスが使用されています。
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絶縁トランスによる信号伝送では磁気を介してエネルギーが伝搬されるため高い絶縁性能が得られますが、一方で直流を伝送できないというデメリットが生じます。
トランスの原理や役割については、以下の記事で解説しています。
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そのためアイソレーションアンプにおいては、入力側に変調回路、出力側に復調回路が設けられており、信号を変復調することによって直流も伝送できるようになっています。
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つまり絶縁トランスによる信号伝送の弱点を変調回路と復調回路によってカバーしているということです。
フォトカプラとの違い
フォトカプラは光を利用した絶縁部品です。直流から信号伝送でき、かつ価格も安いためプリント基板内で信号を絶縁するときによく使用されています。
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ただしフォトカプラにもリニアリティが悪い、温度特性が悪い、経年劣化が激しいなどのデメリットがあります。
そのためアイソレーションアンプも含めて、用途や状況に合わせて適切に絶縁デバイスを使い分けることが大切になります。
アイソレーションアンプの分類
アイソレーションアンプも他の半導体モジュールと同様に電源回路を必要とします。
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この電源回路が電源供給部からどのように絶縁されているかでタイプが分類されており、入力絶縁タイプ、出力絶縁タイプ、3ポート絶縁タイプの3つの種類が存在します。
使い分け
このうち最もよく使用されているのが入力絶縁タイプです。入力絶縁タイプは外部からコモンモードノイズが印加されても信号を正確に伝送できるため、特にコモンモードノイズ対策として重宝します。
一方で出力絶縁タイプや3ポート絶縁タイプは、アイソレーションアンプから外部の機器に対して信号を伝送するときに使用される事が多く、特にノイズの影響を受けやすい機器に信号伝送する場合に有用です。
ラインナップ
グローバルマイクロニクス製のアイソレーションアンプは上記の絶縁による分類に加えて、精度(Gシリース:高精度、Mシリーズ:ローコスト)、チャネル数、耐圧などによって種類が分かれています。
いずれのアイソレーションアンプとも絶縁耐圧が高いため、高電圧を取り扱う回路のセンシング用途に最適です。また入出力間が絶縁されているため、バッテリー電圧のフローティング測定にも適しています。
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使用時の注意事項
ここではアイソレーションアンプを使用する上で注意しておくべきポイントを3つ紹介します。
周波数帯域
アイソレーションアンプは変復調回路が内蔵されているため、一般的なオペアンプよりも周波数帯域が狭いです。
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具体例として、グローバルマイクロニクス製のGA201-Fは周波数帯域が DC~3kHzで、汎用オペアンプと比較して2桁くらい周波数帯域が狭いです。
つまり、アイソレーションアンプは高周波や高速信号の絶縁には向いていないと言えます。
信号の歪み
周波数帯域の上限よりも十分低い周波数では歪みの影響は目立ちませんが、上限周波数に近づくにつれて出力信号に歪みが生じるようになります。
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ここでは一例として、GA201-Fの上限周波数にあたる3kHzの正弦波を入力していますが、入力信号に対して出力信号の波形に階段状の歪みが生じていることが確認できます。
この歪みは変復調回路のスイッチングによって生じているもので、歪みを低減したい場合には出力段にローパスフィルタを挿入するなどの対策が必要になります。
エイリアシング
アイソレーションアンプでは、変復調回路のスイッチングによってエイリアシングが発生します。エイリアシングの詳細は、以下の記事で説明しています。
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GA201-Fにおいては内部の発振回路が25kHz~35kHzで動作しており、この発振周波数を境にしてエイリアシングが生じます。
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ここでは発振周波数よりも高い60kHzの信号を入力していますが、エイリアシングによって4.7kHzの信号として観測されています。
このエイリアシングは周波数帯域よりも高い周波数の領域で発生するため、矩形波やパルス信号など高調波が多く含まれる信号を伝送する場合に注意が必要になります。
おわりに
今回はアイソレーションアンプについて解説しました。
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アイソレーションアンプは産業用途を中心として様々な場面で使用されていますが、その原理まできちんと理解して使用している方は意外と少ないかと思います。
アイソレーションアンプを使用することでコモンモードノイズによるグランドループを断ち切ることができるため、ノイズトラブルに苦しんでいる方はぜひ一度検討してみてください。
またグローバル電子のウェビナーページでは、アイソレーションアンプの実践的な知識が学べるのでコチラもおすすめです。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。