この記事では、オペアンプの概要について解説しています。
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オペアンプとは
オペアンプは英語で「Operational Amplifier」と言い、日本語では「演算増幅器」と訳されます。「OPアンプ」や「OP AMP」と記載こともあります。
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オペアンプは、2つの入力端子と1つの出力端子を持っており、入力端子間の電位差を増幅する働きを持ちます。
この2つの入力端子は、プラス端子とマイナス端子に分かれており、プラス端子は「非反転入力端子」、マイナス端子を「反転入力端子」と呼びます。
また電源端子もプラス端子とマイナス端子に分かれており、プラス端子は「Vcc」や「Vdd」、マイナス端子は「Vee」や「Vss」という端子名が用いられます。
なお電源端子については、詳細な回路図を除いて省略されることがほとんどです。
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オペアンプの特徴
オペアンプとの特徴としては、以下の3点が挙げられます。
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- 入力インピーダンスが高い(Zin=∞)
- 出力インピーダンスが低い(Zout=0)
- 増幅度(ゲイン)が高い(A=∞)
入力インピーダンスが高い
入力インピーダンスは、信号源から見たオペアンプのインピーダンスのことです。
オペアンプでは入力インピーダンスが高いため、微小な電流が流れるだけでも電位差として信号を検出することができます。つまり、入力信号への感度が非常に高いということです。
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オペアンプの入力インピーダンスは、理想素子においては ∞Ω(Zin=∞Ω)として扱われていますが、実際のオペアンプにおいては有限の抵抗値(数MΩ以上)を持ちます。
なおオペアンプの入力インピーダンスは、信号源から見ると負荷インピーダンスに相当するため、負荷に対して僅かな電流しか流さなくて済むというメリットがあります。
出力インピーダンスが低い
出力インピーダンスとは、オペアンプの出力端子固有のインピーダンスのことで、理想素子においては 0Ω(Zout=0Ω)となります。
このオペアンプの出力インピーダンスが低いと、負荷を駆動するにあたって余計な発熱が発生しないため、大きな駆動電流を確保することができます。
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また出力電圧の観点で見ると、出力端子の出力インピーダンスが低いことによって信号の電圧降下が最小化されるというメリットもあります。
オペアンプをはじめてとして一般的な電子回路においては、出力インピーダンスが低く、入力インピーダンスが高いほど、電圧降下の影響を小さくすることができ、これを「ロー出し、ハイ受け」と呼びます。
実際のオペアンプの出力インピーダンスは、数Ω ~ 数10Ω程度となります。
増幅度(ゲイン)が高い
増幅度とは、入力電圧と出力電圧の比のことで、両者の比をデシベルで表したものです。
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オペアンプは演算増幅器という名前の通り、入力された信号を増幅して出力する働きを持ちます。
実際のオペアンプにおいては、増幅度が 100dB(10万倍)を超えるものもあり、非常に微小なレベルであっても信号として機能する電圧に増幅することができます。
ただし、オペアンプの電源電圧(Vcc)以上、(Vee)以下の電圧に増幅することはできません。
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イマジナリーショート(仮想短絡)
オペアンプには、イマジナリーショート(仮想短絡)という独特の考え方があります。
このイマジナリーショートは、オペアンプの非反転入力端子と反転入力端子間に電位差が生じていない状態を指します。
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例えば出力電圧を 5V、増幅度を 100dBとした場合、入力電圧は 5Vの 10万分の1倍ということで 50uVと非常に小さい値になります。
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つまり、入力端子間には非常に小さな電位差しか生じていないということで、これがあたかも入力端子間が短絡しているかのように捉えられるためイマジナリーショートと呼ばれます。(短絡している場合、電流が流れても電位差が生じません)
イマジナリーショートの考え方は、特に増幅回路を設計するときに重要になり、この考えを導入することによって回路定数の計算を簡単にすることができます。
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オペアンプの特性
ここではオペアンプの特性の中でも、特に重要となる「ゲイン帯域幅」と「スルーレート」について取り上げます。
ゲイン帯域幅
ゲイン帯域幅とは、オペアンプの増幅度の周波数特性を表したものです。
オペアンプは周波数が高くなるに従って増幅度が低下する性質を持っており、増幅度が半分低下した周波数を「-3dBポイント」と呼びます。
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そして上図において、周波数と増幅度を掛け算した値、つまり周波数とゲインの面積が GB積(Gain Band width product)として規定されています。
このGB積が大きいオペアンプほど、低い周波数で増幅度を高く取れたり、あるいは高い周波数まで増幅度を維持することができます。
スルーレート
スルーレートは、オペアンプの出力電圧がどれくらい高速で駆動(大きな電流を流す)できるかを表すパラメータです。
スルーレートの単位は、単位時間あたりの電位差として表され「V/us」などがよく使用されます。
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理想的なオペアンプは、入力信号を忠実に再現して増幅するように機能しますが、実際のオペアンプにおいてはスルーレートの制限を受けることで信号が歪みます。
例えば矩形波信号が入力されたときに、オペアンプのスルーレートよりも入力信号の立上り・立下りが高速だったとすると、出力信号は台形波のような少し歪んだ波形となります。
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そのため、高速信号を増幅する場合には、スルーレートの高いオペアンプを選択する必要があります。
おわりに
今回はオペアンプの概要について解説しました。
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オペアンプは、電子回路の中でも非常に使用頻度の高い能動素子ですが、とくに初心者のうちは理解が難しいものの1つです。
はじめのうちから全てを完璧に理解する必要はありません。
まずはオペアンプとはどういったものかの概要を理解し、実践の中でどのような機能や特徴を持つのかを学んでいくことが大切です。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
判りやすかった。ありがと御座いました。