電子回路

【図解】トランジスタとは

記事内に商品プロモーションを含む場合があります。

この記事では、トランジスタを使用する上で知っておくべき基本的な知識を解説しています。

動画はこちら↓

 

トランジスタとは

トランジスタはP型とN型の半導体を組み合わせた半導体部品です。

マイコンを使った電子回路においては、LEDを点灯するときやリレースイッチをON/OFFするときに使用されます。

P型とN型の組み合わせ方によって、NPN型とPNP型の2種類のトランジスタに分かれます。

この2種類のトランジスタは、回路の接続方法は異なるものの基本的な用途はほとんど同じです。そのためはじめのうちは2種類あって、接続方法が違うということだけ知っていれば良いです。

ちなみに、NPN型とPNP型の見分け方についてはエミッタ端子の矢印の向きで見分けることができます。このエミッタ端子の矢印は電流の流れる向きを表しており、外側に向いていものがNPN型、内側を向いているのがPNP型になります。

 

 

トランジスタの端子

NPNとPNPのそれぞれの半導体を制御するために、トランジスタは3つの端子で構成されており、それぞれの端子を「B:ベース」「C:コレクタ」「E:エミッタ」と呼びます。

3つの端子の覚え方としては、E:エミッタ、C:コレクタ、B:ベースの順に「エクボ(ECB)」と覚えるのが定番です。

これはトランジスタの端子がこのエクボの順に配置されていることが多いためですが、すべてのトランジスタがこの順に配置されているわけではありません。

端子の役割

各端子の役割は、コレクタが収集するという意味を持っていて電子を集めるように作用し、反対にエミッタは放出するという意味を持っているので電子を吐き出すように作用します。

そしてベース端子は、コレクタとエミッタ間に流れる電流を制御するための土台としても機能します。

これをもう少し回路的に考えると、トランジスタはベースに流れる小電流をもとにコレクタとエミッタ間に流れる大電流を制御すると捉えることができます。

これがトランジスタが電流を増幅する言われる由来となっています。

実際にトランジスタがどれほど電流を増幅できるかは電流増幅率hfeによって規定されており、 hfe = Ic/Ib として計算することができます。

 

トランジスタの種類

NPN型とPNP型の2種類のトランジスタがありましたが、さらに低周波用と高周波用の2つの用途で分類されることがあります。

この低周波用と高周波用という分類をすることによって、「PNPの高周波用」「PNPの低周波用」「NPNの高周波用」「NPNの低周波用」と4つの種類に分類することができます。

この4つに分類されたトランジスタは、2SA~2SDまで種類が規定されています。

  • 2SA: PNPの高周波用
  • 2SB: PNPの低周波用
  • 2SC: NPNの高周波用
  • 2SD: NPNの低周波用

この分類では2Sというのがトランジスタのことを意味していて、その後ろのアルファベットで種類がわかるようになっています。

2Sというのは、2がP型とN型が2箇所接合されていることに由来していて、Sは半導体を意味する Semiconductorの頭文字を取ったものになっています。

なお低周波用と高周波用については、明確なスペックとして種類が分かれているわけではありませんが、主な用途として低周波用はオーディオ帯、高周波用はラジオやテレビ帯の部品として扱われていることが多いです。

電流容量

小信号と大信号というように、電流容量をもとに分類されることもあります。

この小信号と大信号についても、スペックとして明確な基準があるわけでありませんがパッケージに大きな違いがあります。

小信号用のトランジスタは基本的に発熱が小さいため、TO-92のようなサイズの小さいケースにパッケージングされます。

一方で大信号用のトランジスタは、発熱が大きいためにヒートシンクと接続するための放熱プレートを備えています。

この放熱用のプレートは、ヒートシンクに対してビス止めできるようなっていて、大きな電流を流したときに発生する熱を効率よく放熱できるようになっています。

放熱プレートを持つパッケージとしてはリード付きの場合は TO-220、表面実装の場合は TO-252といったタイプが使用されています。

 

 

代表的な回路

トランジスタを使った代表的な回路としては「エミッタ接地回路」「ベース接地回路」「コレクタ接地回路」の3つの回路があります。

この3つの回路は名前のとおり、トランジスタのどの端子が接地されているかによって種類が分かれています。

エミッタ接地回路

このうち最もよく使用されるのがエミッタ接地回路です。

このエミッタ接地回路は、電圧増幅率と電流増幅率がともに高く、入出力のインピーダンスも中程度と様々な用途で使いやすい回路です。

ただし高周波特性には優れず、出力の位相も反転してしまうため、出力信号の取り扱いには注意する必要があります。

コレクタ接地回路

コレクタ接地回路は別名「エミッタフォロワ」とも呼ばれており、ベース端子に入力された信号がエミッタ端子から出力される回路です。

回路の特徴としては入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスが低いため、バッファ回路のようにインピーダンス変換を目的として使用されることが多いです。

また出力インピーダンスが低い特徴を生かして、スピーカーのような大電流を必要とする電力増幅回路にも使用されます。

ベース接地回路

ベース接地回路は入力インピーダンスが低く、出力インピーダンスが高いということで、やや使い勝手の悪い回路になっていて最近ではあまり使用されることの少ない回路方式です。

ただし、エミッタ接地回路の高周波特性を改善するために2つの回路を組み合わせたカスコード回路として使用されることがあります。

回路の違い

この3つの回路はそれぞれに異なる特徴を持っていて、使用される用途が異なります。

そのため座学だけで回路を理解するのは難しく、実験やシミュレーションなどを通じて回路の動作について学んでいくのが良いです。

 

おわりに

今回はトランジスタの基本をテーマに、トランジスタの種類や代表的な回路について解説しました。

電子回路においてトランジスタは非常に奥深い部品ではありますが、初心者のうちは基本的な安全を確保した上でまず使ってみるということが大切になります。

そのためトランジスタの概要をそこそこ理解したら、あとは実験やシミュレーションを通じて試行錯誤してみてください。

 

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

Print Friendly, PDF & Email
にほんブログ村 科学ブログへ

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください