回路

【入門】電気回路と電子回路の違い

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電気回路や電子回路を学び始めたときに戸惑ってしまうのが、この両者の違いについてです。そこでこの記事では、電気回路と電子回路の違いについて解説します。

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電気回路と電子回路の違い

まず電気回路と電子回路の定義としては、下図のようになります。

図を見てわかるように、電気を使用した回路においては全てが「電気回路」に属します。

一方で電子回路は、その中でも「能動素子」あるいは「電子素子」と呼ばれる部品を使用する回路に対して適用されるものになります。

  • 電気回路 : 受動素子のみ
  • 電子回路 : 受動素子 + 能動素子

この能動素子についてはいくつか種類が存在しますが、代表的なものとしてはトランジスタや ICと呼ばれる半導体素子がそれに相当します。

 

 

回路とは

そもそも回路とはどのような存在でしょうか?

一般的に回路と呼ばれるものは、「電源」「素子」「配線」によって構成されます。

このうち電源については、商用電源に接続される場合には「交流電源」、バッテリーやACアダプタに接続される場合は「直流電源」を使用することになります。

素子については、先程も少し触れ通り「能動素子」と呼ばれる半導体素子の他に、「抵抗」「コンデンサ」「コイル」などの「受動素子」と呼ばれる素子が存在します。

そして配線については、最もわかりやすいものとしては「電線」があります。この電線にも様々な種類が存在し、単純な銅線以外にも通信用の特別なケーブル(USBケーブルやHDMIケーブルなど)や同軸ケーブルなど、その種類は多岐にわたります。

また電線以外にも、電気回路や電子回路においては「プリント基板」「バスバー」、そして無線通信を利用する場合には、空気さえも配線の一部としてみなすこともできます。

いずれにしても、この3つの要素「電源」「素子」「配線」が全て揃いつつ、それらが1つの閉回路(環状網)として形成されたものが回路になります。

 

受動素子と能動素子

ここでは代表的な受動素子と能動素子を紹介します。

受動素子

受動素子は、外部から「電圧」や「電流」を印加されることって作用する素子のことです。

抵抗

抵抗は、回路に流れる電流を妨げる性質を持ち、電流値の調整などに使用されます。

抵抗の4つ役割抵抗は汎用的な電子部品ということもあり、その役割は多岐にわたります。 そこで今回の記事では、回路中における抵抗の代表的な役割を4つ...

コンデンサ

コンデンサは、電荷を蓄える性質を持ち、交流電圧を平滑化したり、ノイズをでカップリングするのに使用されます。

【図解】コンデンサの原理コンデンサの原理は、高校の物理の授業の中で交流の電気回路とともに習いますが、その原理や実際の使い方については結局あまり理解できていないと...

コイル

コイルは、コア材と呼ばれる芯材に巻線を施したもので、交流電流を流れにくくする作用を持ちます。

【図解】コイルの原理コイルは、「抵抗」「コンデンサ」と並んで電気回路において基本となる部品ですが、その機能や役割については磁気や磁界が絡んでくるため比較的難...

またトランスについても、巻線を利用した素子であるためコイルの一部として捉えられます。

トランスの3つの機能トランスは電気回路の基本部品として様々な回路に登場するため、一般的に名前はよく知られていますが、実際の機能についてはあまり良くわからない...

能動素子

能動素子は、基本的には半導体を利用した電子部品です。

ダイオード

ダイオードは、p型半導体側にアノード、n型半導体側にカソードという2つの電極を持たせた半導体素子で、一方向へ電流を流す性質を持ちます。

ダイオードの基本ダイオードは様々な回路で使用されていますが、それぞれの回路において異なる特徴を持ったダイオードが使用されていることもあって、ダイオードの...

トランジスタ

トランジスタは、「ベース」「コレクタ」「エミッタ」の3つの端子から構成された半導体素子です。主に小さい電流を増幅して、大きな電流を取り出すとき使用します。

FET

FETは、用途としてはトランジスタと同じですが、電流ではなく電圧を増幅するときに使用します。

IC

ICは、非常に多くのトランジスタやFETを 1つの部品としてパッケージングしたものになります。

トランジスタや FETの場合は、信号を増幅することが基本的な機能になりますが、ICの場合はそれらの部品を内部で組み合わせることによって、1つの部品で多くの機能が実現されています。

 

 

電圧による分類

一般的な分類して、能動素子の有無によって「電気回路」か「電子回路」かに分かれると説明しましたが、実務においては電圧の高さによって分類されることがあります。

※ただしこの分類については、厳密な定義に基づくものではありません

電圧が高い回路のことを「強電」、電圧が低い回路のことを「弱電」と呼びます。

  • 強電 → 電気回路
  • 弱電 → 電子回路

もちろん、強電回路に半導体素子を使用することもありますし、弱電回路が受動部品だけで構成されることもあるのですが、感覚的なイメージとして電圧による分類を知っておくと便利です。

電圧の目安

強電と弱電の境目となる電圧については、強電をベースに考えると 48V、弱電をベースに考えると 12Vが一つの目安になります。

まず強電側の 48Vというのは、感電によるダメージをもとにしたしきい値になります。よく 42V(死にボルト)と言ったりしますが、人体への感電リスクが 48Vあたりから急激に高まると言われています。

一方で弱電側の 12Vについては、半導体部品の信号伝送に使用される電圧の最大値に相当します。かつては 12Vの電圧で通信することも多くありましたが、近年は省エネ化の観点から低電圧化が進んでおり、12Vの電圧で信号伝送することはほとんどありません。

もちろん冒頭にも伝えたとおり、電圧による分類はあくまでも厳密な定義に基づくものではありませんが、感覚値として知っておくと電気回路と電子回路の違いが理解しやすくなります。

 

おわりに

今回は、電気回路と電子回路の違いについて解説しました。

特に両者の回路を学び始めたばかりの頃は、それぞれの何が違うのかがわからずに混乱することがあります。

そのため、まずは能動部品の有無によって両者の分類が違っていることを認識しつつ、実務的な観点においては電圧の違いに着目して捉えてみることをオススメします。

 

今回は以上になります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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