EMC村の民
~iNarte EMCエンジニアへの道~
EMC設計

LCフィルタの設計方法

 

ノイズ対策で使用するフィルタ回路。

その多くは「LCフィルタ」によって構成されています。

LCフィルタはその名の通り「コイル」と「コンデンサ」によって構成されるフィルタ回路で、別名パッシブフィルタとも呼ばれます。

今回の記事では、このLCフィルタの設計方法について紹介します。

 

Youtubeでも設計方法を解説しています。

 

パッシブフィルタの特徴

パッシブフィルタと紹介しましたが、このパッシブとは「受動素子」のことを指します。

 

反対に能動素子を使用したフィルタを「アクティブフィルタ」と呼びます。

アクティブフィルタに関しては、以前の記事で紹介しているので興味のある方はご覧になってください。

オペアンプを使用したローパスフィルタの設計方法オペアンプを使用したローパスフィルタ(アクティブフィルタ)特徴、用途、設計方法について紹介しています。...

パッシブフィルタはアクティブフィルタと比較して、低周波だけでなく高周波でも使用することができます。

パッシブフィルタのうち、低周波では「抵抗」と「コンデンサ」によるRCフィルタが使用され、高周波ではLCフィルタが使用される傾向があります。

 

EMC試験時のノイズ対策として使用されるのはLCフィルタで、かつローパスタイプのものが多いです。

例えば、市販されているノイズフィルタなんかがその典型です。

ノイズフィルタを効果的に使用するためのノウハウノイズフィルタの効果的な使用方法を紹介しています。...

LCフィルタにも、減衰特性の傾き方やリップルの大きさによってタイプが分かれますが、ノイズ対策においてはあまり気にすることはありません。

フィルタ回路の種類と特徴を紹介フィルタの種類として「ベッセル」「バタワース」「チェビシェフ」の特徴を紹介しています。...

それよりもどの周波数で、どの程度レベルを下げるかが重要になるため「カットオフ周波数」と「減衰傾度」が大切になります。

カットオフ周波数はコイルとコンデンサの定数によって決まり、減衰傾度はコイルとコンデンサの数(次数)によって決まります。

ここがLCフィルタの設計において重要なポイントです。

 

では、どのように設計するのか「ローパスフィルタ」を例に見ていきましょう。

 

LC型ローパスフィルタの設計例

ここでもいつもどおり「QucsStudio」を使用します。

まだインストールされていない方は、下記の記事を参考にインストールしてみてください。

高周波回路シミュレーター「QucsStudio」の導入方法(無料) 以前、フリーのツールとして「AppCAD」の機能を紹介しましたが、さらに無償ツールのご紹介です。 ...

まずは「Tools」から「Filter synthesis」を選択します。

ここでは電源ラインの伝導エミッションノイズ対策をイメージして設定していきます。

  • Realization(フィルタの実現方法)    :「LC ladder」を選択
  • Filter type(フィルタのタイプ)    :素直な特性で良いので「Butterworth」
  • Filter Class(フィルタの種類)     :「Low pass」を選択
  • Order(次数)            :減衰傾度に応じて指定(今回は3次)
  • Corner Frequency(カットオフ周波数):通過帯域に応じて指定(今回は50kHz)
  • Voltage Gain(回路全体のゲイン)    :ゲインは必要ないので「1」

 

「Calculate and into Clipboard」を選択すると、回路がコピーされた状態になるので回路図上に貼り付けます。

そのままシミュレーションを実行すると、エラーが出ます。

実は「QucsStudio」では、「μ」の文字がうまく表示されず「オ」と表示されてしまいエラーになります。

そこでコイルの定数の単位を「オH」から「uH」に変更してください。

これでシミュレーションが実行できます。

ローパスフィルタの特性を確認することができます。

150kHzにおいて、およそ30dBの減衰量を持つフィルタが設計できました。

フィルタの特性に不備があれば、「Filter synthesis」に戻って設定を変更した上で再シミュレーションします。

シミュレーション完了後は、コイルとコンデンサを実際に存在する定数に調整して終了です。

 

LCフィルタの設計も複雑な計算なしにできることがわかりますね。

 

おわりに

LCフィルタの特徴と設計方法(ローパスフィルタの設計例)について紹介しました。

 

設計方法に関しては「QucsStudio」を使用することで簡単に設計できますが、フィルタそのものの原理や使い分け方については理解しておく必要があります。

LCフィルタの原理については「LCフィルタの設計&製作」でわかりやすく解説されています。

初心者から上級者まで、すべての方に何かしらの気づきを与える内容をなっており、フィルタ設計においてはなくてはならない一冊です。

フィルタ設計に関わる方はぜひチェックしてみてください。

 

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

ABOUT ME
エンジャー
EMCやノイズ対策に関する情報発信を日々行っています。 ( iNarte EMC Engineer、第一級陸上無線技術士)

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