電気回路

【入門】電気回路で必須の用語・単位【10選】

電気回路では様々な用語や単位が出てきますが、ここでは特に電気回路初学者のうちから理解しておくべき 10個の用語について解説します。

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電圧

電圧は、2点間の電位差(高低差)を表すもので、単位は「V:ボルト」で表されます。

電気回路における電圧は GNDとの電位差として表され、多くの場合 GNDの電位が 0Vとして考えるため「電圧 = GNDとの電位差」として考えることができます。

またこの電位差は、電気的な位置エネルギーとして捉えることもでき、力学的な位置エネルギーと同様に、高い方から低い方へと力が働くという性質を持ちます。

そして電気回路における電圧には、直流電圧と交流電圧に分類されます。

このうち直流電圧については、以下の電圧がよく使用されます。

乾電池 1.5V
USB電源 5V
USB PD(パワーデリバリー) 5V, 9V, 15V, 20V
リチウムイオンバッテリー 3.7V
鉛蓄電池(車) 12V

また交流電圧については、以下の電圧を見かける機会が多いです。

商用電源(コンセント) 100V(単相)
商用電源(エアコンなど) 200V(単相3線)
工場設備 200V(3相)

 

電流

電流は、回路中に流れる電荷の量を表したもので、単位は「A:アンペア」で表されます。

この電流の流れる向きは回路中の電圧(電位差)によって決まっており、電圧の高い方から低い方へと流れる性質を持ちます。

※電流は電荷ではなく自由電子の向きと説明されることがありますが、はじめのうちは電荷と自由電子を意識する必要は特にありません

また電気回路においてよく使用される電流値というものはありませんが、感覚として 1Aを超えてくると大きな電流と捉えることが多いです。

これは特に半導体部品を使用する電子回路において顕著ですが、多くの回路は「mA」や「μA」といったオーダーで動作します。

ちなみに「m:ミリ」や「μ:マイクロ」といった接頭語が規定されており、「p:ピコ」から「T:テラ」の範囲まではよく使用するため必ず覚えておくべきです。

記号 接頭語 べき乗
T テラ 10 ^ 12
G ギガ 10 ^ 9
M メガ 10 ^ 6
k キロ 10 ^ 3
m ミリ 10 ^ -3
μ マイクロ 10 ^ -6
n ナノ 10 ^ -9
p ピコ 10 ^ -12

 

 

抵抗

抵抗は、電流の流れにくさを表すもので、単位は「Ω:オーム」で表されます。

抵抗は、そもそもの電圧と電流の比として定義されており、「1V」の電圧に対して「1A」の電流が流れる場合に「1Ω」と定義されています。

そしてこの定義を図式化したものが、学校の授業で習う「オームの法則」です。

図を見てわかるとおり、「電圧」「電流」「抵抗」はそれぞれ掛け算、あるいは割り算をすることで求めることができます。

オームの法則の詳細についてはこちら↓

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インピーダンス

インピーダンスは、交流回路における電流の流れにくさを表すもので、抵抗と同じく単位は「Ω:オーム」で表されます。

インピーダンスという用語だけで見ると難しそうに感じますが、はじめのうちは抵抗の交流バージョンと理解しておくだけでも問題ありません。

抵抗との違いとしては、抵抗素子の他に「コンデンサ」と「コイル」の影響も受ける点で、それによって電流の流れにくさに周波数特性をもったり、あるいは位相(後述)の変化を加味する必要があったりします。

またインピーダンスは複素数によって大きさや向きが表現されますが、数式ではなく図をもとして性質を理解できていれば、とりあえずは大丈夫です。

インピーダンスについて、詳しく理解したい方はこちらをご参考ください↓

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電力

電力は、読んで字の如く電気の力を表すもので、単位は「W:ワット」で表されます。

電力は、電気の「エネルギー」や「仕事量」として定義されていますが、電気回路においては「発熱量」を表す際に出てくることが多いです。

電気回路における発熱はエネルギーの損失、つまり無駄に消費されたエネルギーとして捉えられ、回路を設計する場合にはこの損失を如何に小さくするかが重要になります。

そして損失という観点において、電力Wは「電圧V」と「電流I」の掛け算(W=V×I)によって決まることから、低損失化(省エネ化)のために回路を低電圧化することが多いです。

またエネルギーとして捉えた場合の電力は、その回路が出力可能なパワーに相当し、ACアダプタの場合には供給可能なエネルギー、アンテナの場合には送受信が可能なエネルギーとして表されます。

このエネルギーとについては、交流回路においては「有効電力」と「無効電力」の2つの電力が存在し、電源回路では「電源高調波」、高周波回路では「インピーダンス・マッチング」の考え方へと繋がります。

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インダクタンス

インダクタンスは、コイルの誘電起電力の大きさを表すもので、単位は「H:ヘンリー」で表されます。

電気回路においては、コイルの定数として用いられており、インダクタンスが高いほど高周波でインピーダンスが高いという性質を持ちます。(インピーダンスがインダクタンスに比例するため)

ただし、このインダクタンスとインピーダンスの関係性はコイルの自己共振周波数以下で成り立つ性質で、自己共振周波数以上になるとインピーダンスが低下します。

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実際の回路においては「mH」~「nH」あたりのインダクタンスを持つコイルがよく使用されます。

インダクタンスの基となるコイルの原理については、以下の記事で解説しています。

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キャパシタンス

キャパシタンスは、コンデンサが蓄えられる電荷量を表したもので、単位は「F:ファラド」で表されます。

キャパシタンス以外に「静電容量」と呼ぶこともあります。

電気回路においては、コンデンサの定数として用いられており、キャパシタンスが大きいほど高周波でインピーダンスが低いという性質を持ちます。(インピーダンスがキャパシタンスに反比例するため)

実際の回路においては「μF」~「pF」あたりのキャパシタンスのコンデンサがよく使用されます。

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デシベル

「dB:デシベル」は、電気回路においてゲインやロスを表す際に用いられる単位です。

デシベルという単位そのものには物理的な意味はなく、あくまでも「入力」と「出力」の比、あるいは「基準」と「出力」の比を表したものになります。

具体的には、ゲイン(後述)の場合には入力に対して出力が X倍となるため +Y[dB]、ロスの場合は入力に対して出力が 1/X倍となるため -Y[dB]というように表されます。

回路におけるデシベルの使い方は、以下の記事で解説しています。

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ゲイン

ゲイン(Gain)は、オペアンプを使った増幅回路で使用される用語で、単位は「dB:デシベル」で表されます。

入力信号に対して出力信号がどの程度増幅されたかを対数(デシベル)で表し、一般的には電圧を基準にすることが多いです。

電圧を基準として場合は、以下の表に従っておおよその値を計算できます。

 

位相

位相(Phase)は、交流回路における信号の角度を表すもので、単位は「degree:ディグリー」または「rad:ラジアン」で表されます。

電気回路においては、単純に角度を表すよりも基準信号との「角度のズレ」として用いられることが多いです。

具体的には、電圧波形と電流波形を比較したときに、コンデンサを接続すると電流波形の位相が90°進む(前倒しになる)、あるいはコイルを接続すると電流波形の位相が 90°遅れる(後ろ倒しになる)といったように表現します。

この電圧波形と電流波形の位相のズレは、無効電力を増加させて力率が低下するため重要になります。

また電子回路においては、信号電圧の時間的な遅れを周波数領域で表現するために位相が使用されます。

位相を周波数領域で表示するメリットとしては、位相がプラスの場合はコンデンサが支配的、マイナスの場合はコイルが支配的といったように、周波数別に信号に作用している要素を特定できることが挙げられます。

 

 

おわりに

今回は、電気回路でよく使われる「単位」と「用語」について解説しました。

いずれの用語・単位とも、電気回路を学んでいく上では避けては通れない重要なものとなっているので、専門書を読みはじめる前にぞれぞれの意味をきちんと理解しておくことが大切です。

それぞれの用語には詳細を説明したリンクも掲載しているので、ぜひ何度も読み返して基礎知識を定着させてください。

 

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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