dB(デシベル)は高周波や無線に関連する分野では必須とも言えますが、やはり苦手意識を持つ方が多いです。そこで今回は、実務レベルで「ここまで理解しておけば大丈夫」という範囲に絞ってわかりやすく解説します。
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デシベルとは
デシベルは日本語で「対数」と訳され、大きい値と小さい値を同じスケールで比べるための道具として使用されています。
例えば 100万という値と 0.001 という値があったとします。このときにこの2つの値にどれくらいの差があるのかを直感的に理解するのは難しいかと思います。
このような場合に、双方とも10のべき乗として同じ指数形式で表すことで2つの値の関係性が整理でき、よりわかりやすく数値で表すことができるのがdB(デシベル)です。
この例の場合、100万は 10の6乗なので「6」、0.001は 10の-3乗なので「-3」。そしてこの値を10倍して、さらに差を取ることで 90dB の差があると表されます。
ここでそれぞれの値が 60 と -30 という単純な数値になったことで、計算が非常に簡単になりましたよね。このように桁数の異なる数値同士を計算するための道具が「デシベル」です。
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デシベルへの変換
続いてはデシベルへの変換方法です。
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対数にはいくつか種類がありますが、高周波や電気回路の分野では「10」を底とした Log10(○○)といった形、いわゆる「常用対数」を使用します。
そしてこの常用対数は、5つの値の組み合わせさえ覚えておけば、大抵の値を数値(真数)からデシベル(対数)に変換することができます。
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例えば 125 という値の場合、以下のように計算できます。
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もちろん普段は、電卓やエクセルシートを使って計算すればいいので、必ずしも覚える必要はありませんが、余裕のある方は覚えておくと良いかと思います。
ちなみに陸上無線技術士の試験を受ける方は、このデシベルへの変換は計算問題で必須となるので必ず覚える必要があります。
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デシベルの計算
電気回路においては、「電力」をデシベルで表すのが基本となります。「dBm 」という単位がありますが、この単位は 1mW を基準としたときの電力を表したものです。
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例えば 1W は、1mW の 1000倍なので30dBm というように計算されます。
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電圧の計算
デシベルの計算は、電力の場合は係数が「10」ですが、電圧の場合は係数が「20」に変化します。(下図参照)
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そのため電圧をデシベルで計算する場合は、5つの組み合わせが以下のように変化します。
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高周波の回路では、電圧の基準となる単位は「uV」で表されます。そのため、例えば 20mV は 86dBuV と計算されます。
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このように電力の場合と電圧の場合では、同じデシベルの計算でも係数が異なるので、間違えないように注意してください。
ちなみに電流も電圧と同じく係数は 20 になります。
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電力「dBm」と電圧「dBuV」の変換
高周波においては、基準インピーダンスが 50Ωとして計算することがほとんどです。そのため 0dBm ≒ 107dBuV と変換することができます。(変換方法は下図参照)
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dBm と dBuV の変換は実務でもよく使うので、覚えておいて損はありません。
![](https://engineer-climb.com/wp-content/uploads/2024/07/art-denshi-noise-handbook.jpg)
おわりに
今回はデシベルの基本として「デシベルへの変換方法」や電気回路における「デシベルの計算方法」について解説しました。
とりわけ最後のデシベルの計算方法に関しては、電力、電圧ともに実際に計算する機会も数多くあるので、係数の違いや計算方法についてはきちんと理解しておく必要があります。
デシベルに対する苦手意識はすぐには無くならないかもしれませんが、計算そのものはそれほど難しいものではありません。回数をこなすうちにデシベルの扱い方が身についてくるので、ぜひ実務でも使ってみてください。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。