高周波回路

伝送線路のキホン

この記事では、高周波を学ぶ上ではじめに抑えておくべき伝送線路の基礎知識について解説します。

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伝送線路とは

伝送線路は電気エネルギー、あるいは電磁波を伝搬するための媒体の総称です。

基本的に電気を流すものや電磁波を通すものであれば何でも伝送線路として機能しますが、伝送線路の捉え方は信号の波長と伝送線路の長さの関係によって変わります。

この伝送線路の捉え方の違いは、一般的に集中定数回路と分布定数回路と分類されます。

集中定数回路

集中定数回路は、教科書に出てくるような部品と線によって表された回路のことで、信号の波長に対して伝送線路の長さが無視できる場合に適用される回路です。

集中定数回路は、信号の周波数が 100MHz以下の場合に適用されることが多いです。

この 100MHzの波長は 3mで、大体の伝送線路においてはこの 3mよりもかなり短い(λ/20以下)ため、ここでは 100MHzを一つの基準としています。

集中定数回路においては、伝送線路は部品同士を接続する線に相当しますが、この線は単純に部品同士が電気的に接続されていること以外に意味はなく、伝送線路の長さによる損失などは無視して考えます。

分布定数回路

分布定数回路では、信号の位相の変化を考慮する必要があります。

位相というのは信号の角度を表す用語で、周波数の高い信号の場合、波長が短いため伝送線路上で位相が変化します。

この位相の変化は、伝送線路の場所によって電圧が異なることを意味し、そのため伝送線路の各箇所の状態を適切に表すためには、直列のコイルと並列のコンデンサが分布した回路として考える必要があります。

 

特性インピーダンスとは

特性インピーダンスは分布定数回路において必要となる考え方で、伝送線路上における信号の電圧と電流の比をとったものです。

インピーダンスは、交流回路における抵抗のようなものなのです。

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そして分布定数回路においては、コイルとコンデンサの合成インピーダンスによって伝送線路に流れる電流が決まります。

つまり、伝送線路に流れる電流は回路の負荷によって決まるのではなく、伝送線路に分布するコイルとコンデンサの特性によって決まることを意味します。

そして、これがあたかも伝送線路ごとに特有のインピーダンスを持っていると捉えられるために、特性インピーダンスと呼ばれています。

この特性インピーダンスは、コイルのインダクタンスとコンデンサのキャパシタンスによってその大きさが変化するため、伝送線路の形状や構成によって特性インピーダンスが変化します。

インピーダンスマッチングの必要性

この特性インピーダンスが高周波においてなぜ重要になるかというと、高周波ではインピーダンスの変化する点において信号が反射するためです。

回路中でインピーダンスの変化する箇所があると信号が反射し、それによって信号の位相が変化します。

つまり、信号が歪むということです。

そしてこの信号の歪みは、通信エラーになったり、ノイズの増加につながってしまうため、高周波回路では回路のインピーダンスを変化させないことが重要になり、伝送線路においては特性インピーダンスをコントロールする必要があります。

電磁波の特性インピーダンス

電磁波が伝搬するときの特性インピーダンスは、インダクタンスとキャパシタンスではなく、電界と磁界の比によって規定されます。

そして、この電界と磁界の比は、誘電率と透磁率の比として置き換えることもでき、ここから空気の特性インピーダンスが 377Ωということも求まります。

空気の特性インピーダンスについては、電磁波のシールドを考えるとき必要となるので余裕があれば覚えておくと良いです。

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伝送線路の種類

ここでは、代表的な伝送線路の特徴と特性インピーダンスの計算方法を紹介します。

マイクロストリップライン

マイクロストリップラインは、プリント基板の伝送線路として使用されています。

プリント基板の外層に配線され、絶縁体を挟んで反対側にGNDプレーンが配置された構造となっています。

マイクロストリップラインは、特性インピーダンスの調整が必要なプリント基板の配線で最も一般的な伝送線路です。

特徴としては外層に配線されているため、絶縁体の損失の影響を受けづらい反面、電気力線が外部へと発散するためにややノイズ耐性に弱いことが挙げられます。

マイクロストリップラインの特性インピーダンスは、配線の線幅wと絶縁材の厚み h によって決まります。

プリント基板の厚みが薄いほど特性インピーダンス低下していくため、それに合わせて線幅を調整して特性インピーダンスをコントロールします。

ストリップライン

ストリップラインもプリント基板の伝送線路として使用されます。

ストリップラインはプリント基板の内層に配線され、上下からGNDプレーンで挟み込んだ構造となります。

上下のGNDプレーンによって電磁的なエネルギーが閉じ込められるため、ノイズの影響を受けにくい伝送線路です。

また同じ特性インピーダンスの場合、マイクロストリップラインよりも配線幅を細くできるため高密度配線にも向いています。

一方で絶縁体の損失の影響を受けやすく、また層間を接続するときのビアによって特性インピーダンスが変化しやすいため、高周波信号の伝送に適用できないこともあります。

コプレーナ線路

コプレーナ線路は、マイクロストリップラインの配線の側面をGNDプレーンで挟んだ構造です。

コプレーナ線路も、側面のGNDプレーンが線路から出る電界を閉じ込めるように作用するため、ノイズに強い特徴を持ちます。

特性インピーダンスは、配線幅 aと絶縁材の厚み hに加えて、側面のGNDプレーンの間隔 bによって決まります。

同軸ケーブル

同軸ケーブルは、高周波の信号伝送で欠かすことのできない伝送線路です。

同軸ケーブルの構造としては、信号を伝送するための中心導体とそれを覆う絶縁体、さらに最外殻にGNDプレーンとして機能する外導体によって構成されます。

中心導体から発生する電界は、全て外導体へと収束するため電磁的なエネルギーの漏洩はなく、ノイズの影響を非常に受けづらい伝送線路と言えます。

同軸ケーブルの特性インピーダンスは、中心導体の直径 aと外導体の内径 bの比によって決まります。

また販売されている同軸ケーブルにおいては、ケーブル径と特性インピーダンスによって
種類が分かれており、名称からケーブルの特徴を読み取ることができます。

導波管

導波管は、マイクロ波やミリ波などの非常に高い周波数の信号を伝送する無線設備や実験室で使用される伝送線路です。

導波管の特徴は、信号を電磁波として伝送するという点で、ほかの伝送線路と違って信号を伝送るための導体が内部に存在しません。

導波管の構造は、金属製の中空のパイプによって構成され、中空の断面積によって伝送可能な周波数が決まります。

この伝播可能な周波数の境界のことを遮断周波数と呼び、遮断周波数に応じて導波管の種類が分類されます。

またその他の特徴としては、他の伝送線路と比較して損失が小さいことが挙げられ、そのため大電力のエネルギーの伝送に適しています。

導波管の特性インピーダンスは、空気の特性インピーダンス(Z0 = 377Ω)をもとに、信号の波長 λ と導波管の長辺 a の比に応じて変化します。

 

おわりに

今回は伝送線路の特徴と種類、さらには特性インピーダンスについて解説しました。

高周波では、単純な線に見える伝送線路一つとっても回路として機能するため、まずは基礎となる知識を理解しておくことが大切です。

また伝送線路を回路に接続するにあたっては、インピーダンスマッチングが重要になりますが、そちらは別の記事で解説しているのでチェックしてみてください。

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今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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