QucsStudio

インピーダンスマッチング【QucsStudio】

前回の記事でスミスチャートの学習用のツールとしてQuickSmith を紹介しました。

Quick Smithの使い方【無料】前回の記事では「Quick Smith」を使ってインピーダンスマッチングしました。 https://engineer-climb....
Quick Smithの使用例前回の記事では「Quick Smith」の使い方について紹介しました。 https://engineer-climb.com/qu...

 

しかし、実際の設計においては回路シミュレータを使って回路を設計することが主流です。

そこで今回は、フリーの高周波用 回路シミュレータ「Qucsstudio」を使ってインピーダンスマッチングする方法を紹介します。

Qucsstudio は、インピーダンスマッチング用の計算ツールが用意されていたり、回路のパラメータチューニングができたりと、高周波の回路設計において非常に有用なツールです。

これらのツールの使い方も紹介するので、ぜひ最後まで読んでください。

動画はコチラ↓

 

 

回路図作成

まずは解析対象となる回路を作ってきます。

負荷の条件は、前回と同じく 50Ωの伝送線路に、25Ωの負荷が接続されている例で考えていきます。

Qucsstudioを起動したら「Components」から「Lumped Components」を選択し、抵抗を回路図エディタ上に配置します。

抵抗の値は 50Ω から 25Ωに変更します。

次に信号源を配置したいので「Sorces」から「Power Source」を選択し、こちらも回路図エディタ上に配置します。

そしてそれぞれの部品にGNDを接続して、ワイヤーで部品同士を接続すればこれでマッチング回路がない状態の回路が完成です。

 

マッチング回路の設計

つづいてマッチング回路を追加していきます。

ここではQucsstudioの Calculator ツールを使ってマッチング回路を作ります。

メニューバーの「Tools」から「Matching Circuit」を選択すると「Create Matching Circuit 」という専用のウィンドウが立ち上がります。

今回は 負荷の抵抗が25Ωなので、右下の Impedance 2のテキストボックスを50Ωから 25Ωに変更し、周波数「Frequency」を100MHzに変更します。

これで条件の入力は完了しているので、「Create」をクリックします。

すると自動で計算された回路が選択された状態で回路図エディタに戻ってくるので、この部品を先ほど作成した25Ωの負荷が接続されている回路に接続します。

これでインピーダンスマッチングのための作業は終了です。

何だかあっけないほど簡単でしたね。

一応回路の中身を確認しておくと、負荷に対して直列に 約40nH のコイルが接続され、さらにその前段に約32pF のコンデンサが接続されています。

 

 

シミュレーション実行

「Simulations」から「S-parameter Simulation」を選択して、回路図エディタ上に配置します。

シミュレーションの条件は「50MHz ~ 150MHz」 の周波数範囲を、リニアスイープで1MHzステップとします。

あとは歯車マークをクリックしてシミュレーションを実行するだけです。

ファイル名をつけていない場合は、適当な名前をつけて保存してくださいね。

 

マーカー設定

シミュレーションを実行すると右側にスミスチャートのグラフが表示されています。

今回はこのグラフを使って部品のパラメータを変更した時の変化を見ていきたいので、このグラフをコピーして、回路図エディタに戻った状態で貼り付けます。

そしてこのグラフにアドミタンスチャートを追加してイミッタンスチャートとしたいので、グラフ上でダブルクリックして、「Properties」のタブから「Show Admittance Circles」にチェックを入れて「OK」をクリックします。

するとチャートの表示がイミッタンスチャートとなります。

あとは上のアイコン群の右から2番目にある「Set Maker on Graph」を選択して、グラフのデータ上でクリックすると特定の周波数におけるS11が数値として表示されます。

このマーカーを100MHz に移動します。

するとS11の大きさは「2.2×10^(-5)」 ということで、ほとんど信号が反射していないことがわかります。

 

 

パラメータチューニング

コイルとコンデンサの定数を変えてみながら、チャートがどのように変わるのかを確認してみます。

アイコン郡の右から4番目「Tune」を選択して、コイルとコンデンサの上でクリックします。

すると「Parameter Tuning」というウィンドウが立ち上がり、そこにコイルとコンデンサの定数を調整するためのスライダーが表示されます。

このスライダーを上下することで、部品の定数を変更することができます。

まずはそれぞれの部品の定数の最大値と最小値を設定します。

今回は、コイルは「1nH ~ 100nH」、コンデンサは「1pF ~ 100pF」とします。

そしてスライダーを一番下に下げてみると、中央から大きく離れて S11 の大きさは 0.332 と信号の 1/3 が反射している状態となります。

ここからまずはコイルの方のスライダーを上に上げていくと、スミスチャートの等レジスタンス円に沿うようにして時計回りにマーカーが移動していきます。

そしてアドミタンスチャートの2つ目の等コンダクタンス円と交差するところに来るよう定数を調整します。

さらにそこからコンデンサの方のスライダーを上に上げていくと、アドミタンスチャートの等コンダクタンス円上を時計回りにマーカーが移動していき、マーカーがチャートの中央に来たときにインピーダンスマッチングしているということになります。

この時の定数を確認すると、コイルが 約40nH で、コンデンサが 約32pF で先ほどと同じ定数になっていますね。

このようにパラメータチューニングの機能を使えば、「Qucsstudio」においても「Quick Smith」と同じように各素子の影響を確認することもできます。

 

おわりに

今回はQucsstudioを使ったインピーダンスマッチングの方法を紹介しました。

今回使用した「Matching Circuit」というツールは、インピーダンスが既知の負荷に対しては回路を自動で計算して作ってくれるという非常に便利なツールです。

実際の設計においては使える場面が限られてきますが、学習用や簡単な回路の場合には非常に有用です。

 

またパラメータチューニングは、今回のインピーダンスマッチングに限らず、様々な用途で使える非常の便利な機能です。

こちらは回路を設計するにあたっては必須となるツールなので、これからQucsstudioを使っていくという方は覚えておくと良いかと思います。

 

回路シミュレータは、使い慣れるのには少し時間がかかるかもしれませんが、一度使い方がわかってしまえば様々な場面で応用が効きます。

はじめのうちは億劫に感じるかもしれませんが、エンジニアとしてレベルアップするためにも、怖がらずにぜひ一度使ってみてください。

Qucsstudioのインストール方法はコチラ↓

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今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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