ノイズ対策部品

EMIガスケットの種類と注意点

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電磁波シールドに欠かせない部品である「EMIガスケット」。

今回はそんなEMIガスケットの種類と使用上の注意点について考えてみます。

動画はコチラ↓

 

ガスケットとは

ガスケットという用語は、電磁波シールドに限らず隙間を埋めるためシール材として他の分野でも使用されています。

ガスケットは、配管の継ぎ手や圧力容器のマンホールやバルブボンネットへ挟み込んで圧縮し、その隙間を塞ぐと同時に、流体の漏れまたは外部からの異物の進入を防止するものである。耐熱、耐圧力、耐薬品性、施工性、加工性、価格などの見地で様々な種類のものが使用される。ガスケットは石油精製・石油化学・電力・製紙などの各種プラント、ビル設備、造船等の産業分野で、内部圧力や温度が低い流体には軟質ガスケット、圧力・温度が高い流体にはセミメタル・メタルガスケットが使用されることが多い。

Wikipediaより

このうちノイズ対策用のガスケットを総称して「EMIガスケット」と呼びます。

 

 

EMIガスケットの種類

そしてそんなEMIガスケットには、いくつかの種類があります。

代表的なものとしては、金属製で板バネ構造となっている「フィンガーガスケット」

フィンガーガスケット 出典:Holland Shielding Systems BV

 

スポンジ基材に導電フィルムや導電繊維を巻きつけた「ソフトガスケット」

ソフトガスケット 出典:Holland Shielding Systems BV

 

ゴムに導電粒子を混ぜ込んだ「エラストマーガスケット」などがあります。

いずれのガスケットも金属筐体の隙間から漏れる電磁波をシールドするために使用されますが、このうち多くの電子機器では ソフトガスケット がよく使用されています。

 

ガスケットの使用上の注意点

電磁波シール対策としてガスケットを使用する上で、注意すべきことが3つあります。

ここでは「ソフトガスケット」を例にして、使用上の注意点を紹介します。

導電部に使用する

非常に基本的なことですが、ガスケットが電磁波をシールドできるのは導電性を有するためです。

そして、ガスケットがただ単に導電性を持つだけでは、隙間からの電磁波の漏れをシールドすることはできず、金属筐体の導電面とガスケットを電気的に接続することが必要となります。

電気的な接続とは、例えば金属筐体の場合、一般的に意匠性やサビ防止のために表面が塗装されていますが、塗装部分というのは導電性を持たないため絶縁状態となります。

つまり、この塗装部分にガスケットを挿入しても、金属筐体と電気的な接続が得られず、塗装部分とガスケットの隙間から電磁波が漏れるということですね。

そのためガスケットを使ってキチンと電磁波をシールドするためには、隙間部分の塗装を剥がして、導電部を露出させた上で金属筐体とガスケットの電気的な接続を得る必要があります。

またこのときに、単純に接続するのではなく、できる限り低いインピーダンスで接続するために、面で接触させることが高いシールド効果を得るためには重要となります。

 

両面テープの導電性

ガスケットを電子機器内部に取り付けるときに、多くの場合両面テープによって固定されます。

この両面テープには、メーカーあるいは型式によって導電性の両面テープのものと通常の両面テープのものがあり、この導電性があるかどうかによって、ガスケットのシールド効果に差が生じます。

通常のエミッション試験などで要求される程度のノイズレベルであれば、筐体の通気孔の影響などもあるため、テープの導電、非導電によるノイズレベルの差はそこまで大きくありません。

一方、電波暗室など非常に低いノイズレベルが要求される用途においては、このテープの導電、非導電によるシールド効果の差が全体のシールド性能に大きな影響を与えることもあります。

そのため、ガスケットに高いシールド性能を求める場合には、導電性の両面テープのガスケットを使用する必要があります。

テープの種類 出典:太陽金網

 

メーカーによっては、導電性のテープと非導電性のテープのどちらを使用するか、選択できるようになっているので、用途に合わせて適切なタイプを選択してください。

 

圧縮の程度

注意点の3つ目は、ガスケットをどの程度圧縮させるかです。

ガスケットは隙間の寸法をもとにしてガスケットの高さを選択しますが、このときにガスケットの圧縮率によって金属筐体との電気的な接続の度合い、つまり抵抗値が変化します。

圧縮抵抗 出典:太陽金網

メーカーのカタログには多くの場合、圧縮率と抵抗値の関係や隙間の大きさと抵抗値の関係がグラフで掲載されています。

ここで注意すべきこととしては、このグラフだけ見ると圧縮率が高いほど、つまりガスケットを押しつぶす力が強いほど抵抗値が低くなるので、高いシールド効果が得られるように感じます。

しかし、実際に使用するにあたっては、過度な圧縮負荷はガスケットの芯材のスポンジの反発力の低下を招き、長期的に見るとシールド効果を低下させてしまうことがあります。

そのためガスケットの高さは、隙間の寸法に対して1.4倍程度の高さ、つまり圧縮率が 30%程度で使用することが推奨されています。

 

 

おわりに

今回の記事では、ガスケットの種類と使用上の注意点について紹介しました。

ガスケットは正しい使い方をすれば、電磁波シールドにおいて非常に有効ですが、一方で使い方が間違っているとその効果が得られません。

そのため使用するにあたっては、きちんと導電性が確保できているか、また圧縮率は問題ないかを、きちんと確認してくださいね。

 

今回は以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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