ノイズ対策

フェライトビーズとは

フェライトビーズは、基板実装用のノイズ対策部品として様々な電子回路の中で使用されています。

そこでこの記事では、フェライトビーズの「形状」「材質」「使用上の注意点」について解説します。

動画はコチラ↓

 

フェライトビーズの形状

フェライトビーズはコイルの1種であるため、基本的にはコア材に巻線を施したものですが、代表的な形状として「リード付き」か「表面実装型」かに分かれます。

リード付き

リード付きは、トロイダル状の小型のフェライトコアをリード線に通した構造となっており、これは言わば1ターンのコイルとして捉えることができます。

そしてフェライトコアと同じように、トロイダル状のフェライトがノイズ電流による磁束を取り込んで、それを熱に変換することでノイズを抑制することができます。

表面実装型

表面実装型は、チップコイルと同じような構造となっており、内部の電極がスルーホールを介して幾層にも積層されることによって、高いインピーダンスが得られるようになっています。

フェライトビーズのインピーダンスは、ターン数の2乗に比例するため、内部電極の巻数が多いほどインピーダンスが高くなり、ひいては高いノイズ抑制効果が期待できます。

そして表面実装型においては、より高い周波数まで高いインピーダンスが維持できるよう巻線を垂直方向に構成するのではなく、水平方向に構成したものがあります。

一般的な垂直方向の巻線タイプの場合、巻き始め側の外部電極と巻き終わり側の内部電極との間に寄生容量が生じてしまい、その事によって高周波になるほどインピーダンスが低下しやすくなっています。

一方で水平方向の巻線タイプの場合には、外部電極に対して内部電極の巻き始めと巻き終わりがそれぞれ離れた構造となっているため、高周波まで高いインピーダンスが維持できるようになっています。

この巻き方の違いに関しては、メーカーによって明示されている場合もあれば、そうでない場合もあります。

 

材質

フェライトビーズとコイルの最大の違いは、コア材に使用している材質にあります。

フェライトビーズはその名の通りフェライトをコア材としていますが、コイルの方は鉄やケイ素などの金属を混ぜた金属合金がコア材として使用されています。

フェライトのメリット

それぞれの材質ごとに長所と短所がありますが、一般的に金属合金は導電性が高いために高周波においては渦電流損失が大きく、そのために高周波でインピーダンスが低下しやすくなっています。

一方でフェライトは、主原料が酸化鉄で構成されているため導電率が非常に低く、そのため高周波においても高いインピーダンスが維持できるようになっています。

これがコイルとの特性の違いを生み出す最も大きな要因となります。

フェライトのデメリット

一方で、フェライトビーズも金属合金と比較すると飽和磁束密度が低いために磁気飽和を起こしやすいという短所があります。

フェライト材での違い

同じフェライトビーズの中にも材質の違いがあります。

例えばフェライトビーズのインピーダンスは、多くの場合100MHzで値が規定されますが、100MHzにおけるインピーダンスが同じようなフェライトビーズ同士でも、周波数特性としてみるとインピーダンスカーブが大きく異るといったこともあります。

これはフェライトビーズのコア材の複素透磁率や誘電正接が異なるためですが、このように特定の周波数におけるインピーダンスをもとにフェライトビーズを選定することは非常にリスクが高いため、全体の周波数特性見た上で部品を選定する必要があります。

ちなみに、フェライトビーズのインピーダンス特性は、複素インピーダンスとして「抵抗」と「リアクタンス」を分けて表されていることがあります。

このうちフェライトビーズは、損失に係る抵抗 R が大きく、このことがノイズを熱に変換すると言われることの所以となっています。

 

使用上の注意点

フェライトビーズには、主に「電源用」と「信号用」という2つの大きな分類がありますが、ここではそれぞれの用途ごとに注意事項を1つずつ紹介します。

電源ライン用

電源用の方で注意しなければならないのは、フェライトビーズの直流重畳特性です。

フェライトビーズに直流電流が流れることによってコア材が磁気飽和を起こし、インピーダンスが低下してしまいます。

フェライトビーズの直流重畳特性 出典:アナログ・デバイセズ

フェライトビーズには定格電流値が規定されていますが、これはあくまでも内部電極がどれほどの電流容量を持っているかを示したもので、直流電流によるインピーダンスの低下を示しているものではありません。

つまり定格電流値以内で使用していたとしても、回路に流れる直流電流によってフェライトビーズのインピーダンスが低下して、思ったようなノイズ抑制効果が得られないといったことが起こります。

そのためフェライトビーズを使って設計する際には、直流電流を重畳させてインピーダンスを計測するか、あるいは対処療法的にいくつかのフェライトビーズを試してみるといったことが必要となります。

信号ライン用

信号用の方は、ダンピング抵抗の代わりとしてフェライトビーズを使用する場合に気をつけるべきこととなります。

フェライトビーズのインダクタンスとICの入力容量によって共振が発生し、その影響で
信号波形にオーバーシュートやアンダーシュートが出たり、あるいはリンギングが大きくなることがあります。

これはインピーダンスカーブが急峻なものほど、つまりはQ値が高いものほど発生しやすくなっており、そのため信号用として使用するフェライトビーズには緩やかなインピーダンス特性を持つものを選ぶ必要があります。

ちなみに信号用のフェライトビーズでは、フェライトビーズの定格電流に対して、回路中に流れる電流が小さいため、直流重畳特性を気にする必要はありません。

 

おわりに

今回はフェライトビーズをテーマとして、フェライトビーズの「形状」「材質」「使用上の注意事項」について解説しました。

フェライトビーズは、見た目こそチップコイルと似ているので、同じようなものとして捉えている方も多いかと思いますが、構造や材質が違うことによってインピーダンス特性がかなり違っているので、使用する際にはそのあたりを意識して使い分けるようにしてください。

 

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

ABOUT ME
エンジャー
EMCやノイズ対策に関する情報発信を日々行っています。 ( iNarte EMC Engineer、第一級陸上無線技術士)

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください