ノイズ対策部品

二刀流のノイズ対策部品!X2Yコンデンサの活用方法

この記事ではディファレンシャルモードとコモンモードの2種類のノイズ対して活用できるX2Yコンデンサについて解説しています。

動画はこちら↓

 

X2Yコンデンサとは

X2Yコンデンサは、1つの部品の中に2つのコンデンサが内蔵されています。

それぞれの端子をA、B、G1、G2と呼び、G1とG2の端子に対して、A、Bの端子からコンデンサが接続された構造になっています。

このX2Yコンデンサの構造は、2端子のMLCCに中間極板と側面端子を加えた構造と捉えることができ、寄生成分のESRとESLが非常に小さいという特徴を持ちます。

インピーダンス特性

2端子のMLCCとX2Yコンデンサのインピーダンスを比較してみると、静電容量の異なるMLCCを3つ並列接続したものよりもX2Yコンデンサ1つの方がすべての周波数帯でインピーダンスが低いです。

これはもちろんX2Yコンデンサの寄生抵抗ESRと寄生インダクタンスESLが、MLCCよりも小さいためです。

専用のテストフィクスチャを使って両者の寄生インダクタンスESLを比較すると、X2YコンデンサのESLがMLCCとくらべて一桁小さい値となっています。

このようにX2Yコンデンサはたった1つで複数個のMLCCと同等のノイズ抑制効果を持つため、うまく使いこなせればノイズ対策に掛かるコストを削減したり、部品の実装面積を低減したりできます。

仕様に関する注意点

ちなみにX2Yコンデンサには2つのコンデンサが内蔵されていますが、データシートに記載されている静電容量はコンデンサ1つあたりの静電容量を意味しています。

そのため例えば 100nFと表記されている場合は、100nFのコンデンサが2つ搭載されているという意味になります。

 

 

3端子コンデンサとの違い

X2Yコンデンサと3端子コンデンサは外観は全く同じように見えますが、内部の電極構造が異なることによって「使用方法」と「用途」に違いがあります。

それぞれの電極構造を比較すると、3端子コンデンサはA端子とA’端子がつながっているために部品内部に信号電流が流れます。これはパスコンとして使用する場合に部品内部に電源電流が流れることを意味し、そのためデータシートでは定格電流値が規定されています。

一方でX2Yコンデンサは、部品内部でG1端子とG2端子がつながっています。この部品内部で接続されたGNDにはノイズ成分しか流れないため、X2Yコンデンサでは回路の電流値を気にする必要はありません。

使用方法の違い

このように部品内部の構造が異なるため、バイパスコンデンサという同じ用途であっても使用方法が異なります。

3端子コンデンサの場合は、電源ラインが部品内部を貫通するようにして配線を接続します。一方でX2コンデンサは、電源端子が部品内部でつながっていないため両端のA端子とB端子に対してそれぞれ配線を接続する必要があります。

この配線の違いは、回路の規模や種類によってどちらが優れているかが変わってきますが、それぞれで使用方法が異なるということは知っておくべきポイントの一つです。

用途の違い

X2Yコンデンサと3端子コンデンサのもう一つの違いとして挙げられるのが用途です。

3端子コンデンサは基本的に電源回路のパスコンとして使用されますが、X2Yコンデンサは差動信号ライン用のコモンモードフィルタとしても使用することができます。

これはX2Yコンデンサが信号ライン用の電極を2つ備えているからこそ実現できることで、差動信号ラインのプラス側とマイナス側の配線をそれぞれA、B端子に接続して、G1、G2端子にはGNDを接続します。

このように接続すると、差動信号ラインからGNDへとノイズをバイパスする経路ができるため、X2Yコンデンサがコモンモードフィルタとして働くようになります。

このX2Yコンデンサによるコモンモードフィルタは、一般的なコモンモードチョークコイルとは異なる特性を持ち、特にハイインピーダンスの回路に対しては高いノイズ抑制効果が得られます。

また静電容量の大きさに応じてピーク周波数が変化するため、多種多様なノイズにも対応することもできます。

 

 

X2Yコンデンサの由来

X2Yコンデンサには「パスコン」と「コモンモードフィルタ」の2つの用途があり、この用途の違いが名称の由来となっています。

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パスコンとして使用する場合はディファレンシャルモードノイズに作用するため、いわゆる「Xコンデンサ」と呼ばれる用途になります。

一方のコモンモードフィルタとして使用する場合は、こちらはコモンモードノイズに作用するため「Yコンデンサ」として使用していることになります。

つまり1つの部品で「Xコンデンサ」と「Yコンデンサ」の2つの機能を持つということで、これがX2Yコンデンサの名称の由来となっています

 

 

活用事例

X2Yコンデンサには「パスコン」と「コモンモードフィルタ」という2つの用途があります。そこでここでは用途別にノイズ対策の効果を解説します。

パスコン

こちらはFPGAの電源回路のノイズ対策として「MLCC」から「X2Yコンデンサ」に置き換えた事例です。

画像中央のFPGAのピンに対して、周辺に配置されている細かな部品がデカップリング用のコンデンサです。

MLCCの方では、FPGAの上下に多数のコンデンサが配置されていることが確認でき、その数は38個となっています。

一方でX2Yコンデンサの方では、回路の上下にポツポツとコンデンサが配置されています。もちろん1つあたりのサイズはX2Yコンデンサのほうが大きいですが、数が13個とかなり少ないため実装密度が低くなっていることがわかります。

FPGAから出力される 3Gbpsの差動信号のジッターの大きさで電源品質を比較してみます。

するとX2Yコンデンサの方が数が少ないにも関わらずジッターが小さくなっており(49ps→32ps)、デカップリング回路が効果的に機能していると言えます。

このようにパスコンとしてX2Yコンデンサを使用すると、部品数と実装面積を削減することができ、さらに電源品質まで改善することができます。

コモンモードフィルタ

次は差動信号ラインのコモンモードフィルタとして使用した事例です。ここでは差動入力の計装アンプの入力フィルタとしてX2Yコンデンサを使用しています。

ここでX2Yコンデンサの有無によるCMRRの特性を比較すると、対策なしの状態では10kHzを越えたあたりからCMRRが低下し始めているのに対して、X2Yコンデンサ有りの状態ではCMRRが高い周波数まで維持されていることが確認できます。

つまりX2Yコンデンサによってコモンモードノイズが除去されているということです。

差動信号ラインにはコモンモードノイズ対策としてコモンモードチョークコイルやフェライトビーズが使用されることがありますが、これらのノイズ対策部品と比較するとX2Yコンデンサは電流値の制限を受けないことに加えて、高周波におけるコモンモードノイズの減衰量が大きいという特徴を持ちます。

そのため回路のCMRRを改善するだけでなく、放射イミュニティ試験をはじめとしたEMC試験においても有効に機能するといえます。

 

 

使用上の注意点

実例からもわかるように、X2Yコンデンサは様々なノイズ対策の場面で活用できます。ただしどんなノイズ対策部品もそうですが、正しい使い方をしないと適切なノイズ対策効果は得られません。

X2Yコンデンサにおいてもそれは同じで、ノイズ対策効果を高めるためにはただ単にプリント基板上に配置するのではなく、ノイズの流れを意識したプリント基板のレイアウトとアートワークが重要になります。

推奨のアートワークについては「PCB Layout Guidelines 」というドキュメントの中で用途別に紹介されているので、実際に使ってみたい方はそちらを参考にしてみてください。

 

 

おわりに

今回はX2Yコンデンサの概要と実際の活用方法について解説しました。

X2Yコンデンサについて改めて色々調べてみて、ノイズ対策の新たな手段として非常に面白い部品だと感じました。実際に海外の自動車産業などではかなりの数が採用されているようで、日本においてもこうした新しいノイズ対策部品が使われる機会も増えてきそうです。

今回紹介したX2Yコンデンサは「グローバル電子」のサイトより詳細を確認できます。日本語でのサポートにも対応しているので、興味のある方は是非チェックしてみてください。

 

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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