この記事では、三相交流電源における結線方式と電圧の関係性の違いを解説しています。
三相交流とは
まずは交流電源の方式の違いについて、簡単におさらいしておきましょう。交流電源は大きく分けて、単相交流電源と三相交流電源に分類されます。
単相交流
単相交流電源は家庭用の電源として供給されているもので、100Vの単相2線式と100Vと200Vの両方が使える単相3線式の2つの方式が存在します。
三相交流
三相交流電源は、主に工場やオフィスなどの産業機器用の電源として供給されています。
そもそも三相交流というのは3本の線に対して120°ずつ位相をずらして交流電圧を供給するもので、単相交流電源と比較すると供給可能な電力量が大きいことが特徴です。
三相交流の結線方式
三相交流電源を使用する上で知っておくべきポイントとして、日本と世界で三相交流電源の結線方式と電圧が異なることが挙げられます。
結線方式についてはデルタ結線(△)とスター結線(Y)という2通りの方式が存在します。
デルタ結線
このうちデルタ結線方式はトランスの3つの巻線の交点から電源線を引き出すため、三相の交流電圧に対して3本の線を接続する3相3線式となります。
スター結線
一方でスター結線方式ではトランスの3つの巻線の片方を中性点に一括して接続し、他方から電源線を引き出す方式になります。このとき中性点も線として引き出すかにどうかによって、3相3線式と3相4線式に分かれます。
なおスター結線の3相3線式と3相4線式は、いずれも電気的な性質に違いはなく、3相4線式のことを3相3線+ニュートラルと呼ぶこともあります。
相電圧と線間電圧の関係性
デルタ結線とスター結線の違いとして重要なるのが、相電圧と線間電圧の関係性です。
線間電圧はその言葉通り三相交流の各線間に掛かる電位差のことで、反対に相電圧というのは各線と中性点(GND、アース)との電位差を表すものです。
そしてこの相電圧と線間電圧の関係性は結線方式によって違います。
デルタ結線の場合
デルタ結線ではトランスの交点がそのまま引き出されているため、相電圧と線間電圧が等しくなります。
つまりデルタ結線方式で三相200Vと記載されている場合は、線間電圧と相電圧がそれぞれ200Vになるということです。
スター結線の場合
スター結線はトランスの片方が中性点で一括接続されているため相電圧と線間電圧が一致せず、ベクトル図をもとに計算すると相電圧が線間電圧の 1/√3倍、または線間電圧が相電圧の√3倍になります。
これは例えば線間電圧が400Vのときには相電圧が230V、線間電圧が200Vの場合は相電圧が115Vになることを意味します。
なおスター結線方式で三相200Vや三相400Vと表記されている場合は線間電圧を表してますが、相電圧と線間電圧を併記した 230/400Vと記載されていることもあります。
おわりに
三相交流電源においては結線方式によって相電圧と線間電圧の関係性が異なります。
ここでは、スター結線の場合は相電圧が線間電圧の1/√3倍になるということを覚えていおいてください。
ちなみに結線方式の違いについては、アメリカやヨーロッパをはじめとして多くの国がスター結線であるのに対して、日本ではデルタ結線が主流となっており、このあたりがグローバル販売する産業機器のノイズ対策を実施する上で難しいポイントの1つとなっています。
これらの対処方法は以下の記事で解説しています。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。