「iNarte EMC Engineer」と並んで、EMCエンジニアが目指す資格。それが「第一級陸上無線技術士」です。
今回の記事では、陸上無線技術士の「資格概要」と「勉強方法」について紹介します。
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陸上無線技術士とは
まずはWikipediaからの引用です。
陸上無線技術士(りくじょうむせんぎじゅつし)は、無線従事者の一種で電波法第40条第4号のイからロに規定するものであり、同時に 第一級陸上無線技術士は無線設備の技術操作に関して最高の資格である。
なかなかすごい表現ですね。
しかし、正直言ってEMCエンジニアには必須の資格ではありません。
もともと陸上無線技術士は、電波法に定められたテレビ局や放送局などの無線設備の技術操作及び設備管理を行うための資格であるためです。
ではなぜEMCエンジニアもこの資格を目指すべきなのか?
ひとつは、技術系の難関国家資格のひとつとして認知されていることから、エンジニアとしてのアピールポイントになるためです。
実際、転職活動においてもかなりのアピールポイントになります。
しかもそれだけではなく、陸上無線技術士の勉強を通じて、EMCエンジニアとしてのレベルアップも実感できます。
難易度(偏差値 66 相当)を見てわかる通り、簡単な資格ではありません。(個人的には「iNarte 資格試験」よりも難しく感じました。)
が、その分得られる知識や達成感は大きいです。少しでも興味があれば、ぜひチャレンジしてみましょう。
出題範囲
陸上無線技術士の試験科目は4つあります。
- 無線工学の基礎(25問/2時間30分)
- 法規(20問/2時間)
- 無線工学A(25問/2時間30分)
- 無線工学B(25問/2時間30分)
2日間にわたって実施される、長丁場の試験です。ただし、科目合格が認められているので、3年以内に4つの科目を合格できれば資格認定を受けられます。
それぞれの科目毎に、求められる技術分野が異なります。
無線工学の基礎は、各分野ごとにかなり「専門的」な問題が出題されます。
法規は、「電波法」に関する内容です。
無線工学Aは、「受信機」や「変調」に関する問題が中心です。計算問題が主となります。
無線工学Bは、「アンテナ」や「電波伝搬」に関する問題が中心です。こちらも計算問題が主となります。
iNarte資格試験と異なり、参考資料の持ち込みは許可されていないので、暗記も含めて知識量が問われる試験となります。
合格基準
合格判定の基準は「法規」は100点満点中 60点以上、その他の科目は125点満点中 75点以上となっており、正解率60%以上が求められます。
そして科目毎の合格率は、おおよそ 20%程度と言われており、iNarte資格試験と同じくらいの合格率です。
大袈裟な言い方になりますが、陸上無線技術士の資格試験を一回で全科目合格するには、iNarte資格試験を4回連続で合格することと同じくらいの難易度になります。
おそらく、全科目一発での合格率は 10%以下と思われます。
勉強方法
基本的にはほとんどが過去問から出題されるため、勉強方法としてはひたすら過去問を解くことになります。
ただし、はじめのうちは解説を読んでも理解できないことも多いです。そういった時には都度、参考書を開いて理解を深めていきます。
勉強の中心となる過去問は日本無線協会のWEBサイトでも公開されていますが、「無線従事者国家試験問題解答集」を購入したほうが圧倒的に効率よく勉強できます。
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過去問集としては「吉川先生の過去問解答・解説集」もありますが、資格試験対策としては実際の試験形式で学習した方が効率が良いと感じているので、「無線従事者国家試験問題解答集」の方をオススメします。
参考書は各科目ごとに準備しておくと、探す手間も省けるので便利です。
無線工学の基礎
ただし、無線工学の基礎は出題範囲が広いので、これだけではおそらく不十分です。
足りない部分の補完は、iNarte資格試験のときの参考書を流用してください。
法規
法規はこの1冊があれば十分です。
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無線工学A
試験に必要な知識は、ひと通り記載されています。
無線工学B
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アマゾンのレビューでも高評価な参考書。
計算過程が丁寧に解説されているので、勉強しはじめたときに特に活躍する一冊です。
その他
隙間時間での勉強に役立つ参考書。
持ち運びしやすい大きさなので、通勤時の勉強に最適です。
おわりに
陸上無線技術士の「資格概要」と「勉強方法」について紹介しました。
難易度の高い国家資格であるため、合格に向けてはしっかりとした準備が必要です。1から勉強をはじめる場合、1日あたり2時間勉強するとして、合格には1科目あたり2ヶ月程度の期間が必要になると思います。
一発合格を目指す場合には、更に長い準備期間が必要になります。
それらを踏まえた上で、まずは受験までのスケジュールを立ててみてください。
スケジュールを立てれば、あとは過去問を解きまくるのみです。
まずはチャレンジしてみましょう!
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
些細なことですが、 資格の取り方 偏差値リストのなかで、赤枠かこみしてあるのは、陸上無線技術士 ではなく、陸上無線通信士 ではないでしょうか。
また、資格を取ることによって
・電波法第24条の2に規定する登録検査等事業者等の点検員
・電波法第102条の18第9項に規定する指定較正機関の較正員
になることができるはずです。
ご指摘ありがとうございます。
図の枠線は、完全に間違えていましたので、修正しました。
資格を取ることによってできる業務内容に関しては、当方で理解できていないため、しばらくは追記しないこととしました。
偏差値リストのなかで、赤枠かこみしてあるのは、陸上無線技術士 ではなく、総合無線通信士 ではないでしょうか。
合わせて
難易度(偏差値 67 相当) (2総通)ではなく
難易度(偏差値 66 相当)(1陸技)では?
合格基準について
科目に関係なく、60%以上です。
説明文中法規以外の100満点換算の56点ではありません。
せっかくの記事が勿体ない。
ご指摘ありがとうございます。
以前にも指摘を受けて、修正したつもりだったのですが、できていませんでしたね。
合格基準についても、60%以上ですね。そちらも合わせて修正しました。