前回の記事で、抵抗のモデリング方法について紹介しました。
今回は抵抗の種類による、周波数特性の違いについて考えてみます。
炭素皮膜抵抗
カラーコードで抵抗値を表示する、最もイメージしやすい抵抗器です。
内部構造は、炭素を薄い被膜で構成することで抵抗体とし、らせん状の溝を切ることで抵抗値を調整しています。
らせん状の抵抗体がコイルとして作用することでインダクタンスを持ちます。
さらに抵抗体間には寄生容量が発生するため、キャパシタンスも持ちます。
このように抵抗器の構造と等価回路(3素子モデル)を関連付けることで、現実に即したモデルを構築できるようになります。
一般的に炭素被膜抵抗は、他の抵抗器と比較しインダクタンスが小さいと言われています。
等価回路は、前回紹介した3素子モデルです。
高周波ではコンデンサ成分が支配的になります。
セメント抵抗
電流容量が必要な回路で使用される抵抗です。
セメント抵抗も巻き線型の抵抗器なので、炭素被膜抵抗とおなじような構造です。
ただし巻き線によるインダクタンスが非常に高く、一般的には高周波に向いていないと言われます。
確かにコイルのターン数が非常に多いですね。
等価回路モデルでも、インダクタンスは炭素被膜抵抗より10倍以上高くなります。
インピーダンス特性の波形も、炭素被膜抵抗とは傾き方が異なります。
1MHz以上の周波範囲で、徐々にインピーダンスが上昇していき50Ωから外れていきます。
位相特性を見ると、インダクタンスの影響であることがわかります。
おわりに
「炭素被膜抵抗」と「セメント抵抗」のインピーダンス特性の違いを紹介しました。
それ以外の抵抗器でも構造によって等価回路が異なるので、いろいろなバリエーションを試してみてください。
今回の記事では、CQ出版「LTspice 部品モデル作成術」を参考にしました。
この書籍では、抵抗だけではなく、様々な電子部品のモデリング例が紹介されています。
部品の「モデリング方法」と「適用回路」がセットで紹介されているので、シミュレーションしながらモデリングの理解を深めることができます。
EMC設計におけるモデリングの「はじめの一歩」としてどうぞ。
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今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。