抵抗

ノイズ対策における抵抗の役割

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今回の記事では、ノイズ対策における「抵抗:Resistor」の役割について考えてみます。

動画はコチラ↓

 

抵抗の用途

ノイズ対策で抵抗を使用することは、実はあまり多くありません。

使用するケースとしては「スナバ回路」や 「ゲート抵抗」 「ダンピング抵抗」といったところでしょう。

すべての用途で「波形をなまらせる」ために抵抗を使用します。

ダンピング抵抗の例 (出典:宮崎技術研究所 技術講座)

リンギング(波形の急峻な振動)を抑制できるということは、高周波ノイズを低減できることと等価です。

回路中の高周波ノイズが小さくなるので、外部へ流出するノイズを低減できます。

 

スナバ回路

スナバ回路は電源回路でよく使用されます。

出典:Electrical Information

使用する回路によって「定数」や「容量」が異なりますが、あまり大きな定数のものを使用すると回路のロス(消費電力)が大きくなるため、一般的には小さめの抵抗値とします。

定数の選定方法は下記のサイトで解説されています。

https://detail-infomation.com/snubber-power-dissipation/

抵抗値が高いほど波形がなまるためノイズが小さくなりますが、消費電力とのトレードオフになるので注意しましょう。

 

ゲート抵抗

電源回路では、ノイズ対策のために「FET(ノイズ源)」のゲート端子に抵抗を挿入し、スイッチング波形をなまらせます。

このときに使用される抵抗が「ゲート抵抗」です。

出典:ローム

スナバ回路と同様に、機器として見たときの消費電力が大きくなります。

ロームの「Techweb」では、電源回路に関わるノイズ対策の情報が公開されています。

https://micro.rohm.com/jp/techweb/knowledge/dcdc/dcdc_pwm/dcdc_pwm03/5771

電源回路のノイズ対策でお困りの方には役立つ情報が数多く紹介されているので、参考にしてみてください。

 

ダンピング抵抗

「ダンピング抵抗」は「デジタル回路」のノイズ対策として使用されます。

デジタル回路では、信号品質(シグナルインテグリティ)を保つために伝送線路の特性インピーダンスをコントロールします。

(シングルエンドでは50Ω、差動では100Ωに設計されることが多いです)

デジタル回路で使用される「IC」の出力インピーダンスは、伝送線路の特性インピーダンスと比較してかなり低く、10Ω以下であることが一般的です。

そのため、伝送線路に直接「IC」を接続するとインピーダンス不整合により信号が反射し、リンギングが発生します。

その対策としてICの出力直近にダンピング抵抗を挿入し、伝送線路の特性インピーダンスと整合(マッチング)させます。

出典:Tech Village

インピーダンスがマッチングするとリンギングが抑制されるため、高周波ノイズのレベルも低減されます。

ダンピング抵抗の定数の決定方法は、下記のページを参考にしてみてください。

http://www.kumikomi.net/archives/2010/05/co10in01.php

 

おわりに

ノイズ対策における抵抗の使い方を紹介しました。

すべての用途において、抵抗は波形をなまらせる効果を狙って使用されています。

つまり、抵抗を使うことで「ローパスフィルタ」として作用させているわけです。

回路ごとに最適な定数は異なるので、それぞれの定数の選定方法を確認してください。

 

今回は以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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