抵抗には様々な種類が存在し、実際に使用する上ではどの種類がいいのか判断するのはそれほど簡単ではありません。
そこで今回の記事では、巻線型の抵抗のそれぞれの特徴について解説します。
部品を選定する上で参考にしてみてください。
抵抗の分類
巻線型の抵抗は、ケースの材質によって「巻線」「セメント」「メタルクラッド」「ホーロー」の4つのタイプに分類することができます。
いずれもほとんどの場合、電力用(負荷、ヒーター)として使用されています。
巻線抵抗
一般的(数W以下)な電力回路用です。
構造
巻線型の抵抗に共通しますが、セラミックにマンガン線やニクロム線を巻きつけた構造となっています。外装は、巻線に対して絶縁塗装したものになります。
長所
瞬時的なサージ電流に対して、高い耐性を持ちます。
短所
抵抗線をコイル状に巻いているためインダクタンスが高く、高周波においてはインピーダンスが上昇します。また放熱機構を持たないため、容量に対してサイズは大きめです。
セメント抵抗
中容量(10W以下)クラスの電力回路用です。
構造
セメント抵抗は、抵抗エレメントをセメントで封入した構造となっています。抵抗エレメントは、多くの場合巻線抵抗ですが、高抵抗(100Ω以上)の場合には酸化金属皮膜抵抗が使用されることもあります。
長所
不燃性のセメントでケーシングしているため、発熱しても発火することがなく、そのため基板に直接実装することが可能です。
短所
基板に実装する際に、発火はしないものの、発熱によって雰囲気温度が高くなるため、周辺部品の配置には注意する必要があります。また巻線タイプの場合は、インダクタンスが高いため、高周波でインピーダンスが上昇します。
メタルクラッド抵抗
中容量(数10W以下)の電力回路用です。
構造
メタルクラッド抵抗は、巻線抵抗を放熱フィン付きの円筒形のケースで覆い、そこにシリコン樹脂で封入した構造となっています。
長所
放熱フィンによって効率的に冷却できることに加えて、ケースを別の金属に取り付けることで熱伝導による冷却が可能です。冷却性能が高いため、他の電力用抵抗と比較すると小型です。
短所
ケースを金属に取り付けない場合は、定格通りのスペックが得られません。
ホーロー抵抗
大電力(10W以上)用の電力回路用です。
構造
ホーロー抵抗は、巻線抵抗をホーロー(ガラス質の釉薬)で被覆した構造となっています。
長所
他の抵抗と比較して、電力容量が非常に大きいことに加えて、可変抵抗タイプなどもありバリエーションが豊富です。
短所
他の抵抗と比較して、サイズが非常に大きいです。
おわりに
今回は、巻線型の抵抗の特徴について解説しました。
巻線型の抵抗は、すべて用途(電力用)が同じですが、電力容量や許容サイズによって使い分けることが重要です。
リード付きや表面実装型の抵抗についても、それぞれの特徴を解説しているので、そちらの記事もチェックしてみてください。
実際の回路における使い分け方については「基本電子部品大事典」が参考になります。
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抵抗に限らず、様々な電子部品の特徴や使い方が多くの図とともに解説されているので、まさに日頃の業務の中で辞書として使うのに最適な一冊です。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。