今回は高周波回路初心者の方向けに NanoVNAの活用方法を紹介します。
動画はこちら↓
NanoVNAとは
NanoVNAは名前の通り、超小型のネットワークアナライザです。
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ネットワークアナライザは回路の反射・伝送特性をSパラメータというフォーマットで測定することができる計測機です。
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従来のネットワークアナライザは非常に高価なものでしたが、NanoVNAの登場によって広く使用される計測器の一つとなりました。
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ただし高周波用の計測器であるため、一般的な電気・電子回路においてどのように活用すればいいのかわからず、いまいち活用しきれていない方も多いはずです。
そこでここでは NanoVNAの活用方法を3つピックアップして紹介します。
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フィルタ回路の評価
1つ目の活用方法はフィルタ回路の評価です。
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フィルタ回路は特定の周波数成分を取り出すときに使用されるもので、ローパスフィルタやハイパスフィルタなど様々な特性のものが存在します。
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フィルタ回路の特性は NanoVNAを使用すれば簡単に測定できます。
測定方法
キャリブレーションを行った後に、測定対象となるフィルタ回路(DUT)を
NanoVNAの Port1と Port2を接続し S21を測定します。
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このS21の測定結果が、すなわちフィルタ回路の挿入損失特性です。
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フィルタ回路の測定は NanoVNAのキャリブレーションさえきちんと出来ていれば難しい点はないので、NanoVNAを使用する訓練としては非常に取り組みやすいです。
ちなみにDUTが手元になければ「RF Demo Kit」という基板がアマゾンなどで販売されています。
このデモボードは壊れやすいという難点もありますが、様々な高周波回路の特性の違いを実験を通じて学べるので、はじめの1歩目としてはオススメです。
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アンテナアナライザ
アンテナアナライザは「SWRアナライザ」や「RFアナライザ」とも呼ばれるもので、ネットワークアナライザの S11を測定することに特化した計測機です。
アンテナ、アッテネータ、フィルタ回路などのインピーダンスマッチングを評価するために使用されていますが、NanoVNAを使用してもSWRを測定することができます。
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一般的なSWRアナライザにおいては特定の周波数における SWRを数値として表しますが、NanoVNAではSWRの周波数特性を測定できます。
またインピーダンスマッチングという観点ではスミスチャートを表示できることもNanoVNAの良い点の1つです。
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例えばコンデンサやコイルを使ってインピーダンスマッチングする際には非常に重宝するはずです。
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このようにアンテナ関連の評価において NanoVNAの用途は非常に幅広く、様々な場面で活用できます。
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インピーダンスアナライザ
インピーダンスの測定方法についてはいくつかの手法がありますが、その中の1つに Sパラメータ法というのがあり、この手法をもとにしてネットワークアナライザでインピーダンスを測定できます。
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つまり NanoVNAで電子部品のインピーダンスが測定できるということです。
インピーダンス測定の必要性
ネットワークアナライザを使ったインピーダンス測定の利点は、周波数特性が測定できることが挙げられます。
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例えば一般的な部品テスタの場合、抵抗、コンデンサ、コイルなどの定数を数値として確認できますが、周波数特性については確認できません。
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電子部品の周波数特性は高周波回路においては非常に重要で、電子部品が持つ寄生成分の影響によって思わぬ不具合が生じることがあります。
そのため高周波回路の設計においては、電子部品の寄生成分まで考慮して回路の動作を検証する必要があり、そのときに周波数特性が重要な役割を果たします。
注意事項
ただしNanoVNAを使ってインピーダンスを測定する際の注意事項として、測定ジグの影響を受けることが挙げられます。
このジグの影響が含まれることで、電子部品単体の特性とは若干異なる結果とが表示されます。これらの影響をなくすためにはディエンべディングと呼ばれる手法を使用する必要があります。
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ただし、ディエンべディングまで行うと測定の難易度が高くなってしまうため、まずはジグの影響を受けることを認識しつつ、測定結果を取り扱っていれば問題ないと思います。
おわりに
今回は NanoVNAの活用方法を3つ紹介しました。
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ネットワークアナライザは計測器の中でも最も幅広い用途で使用されており、NanoVNAにおいても様々な場面で活用できるはずです。
はじめのうちは高周波特有のパラメータなどに戸惑ってしまうかもしれませんが、慣れてくるにつれてこれ以上便利な計測器はないと感じるはずなので、ぜひ色々な場面で使ってみてください。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。