ひとくちにEMI試験といっても、様々な種類があります。
最もメジャーな試験項目は
- 放射エミッション試験(30MHz ~ 1GHz)
- 伝導エミッション試験(電源ライン)
これらの試験に加えて、例えば VCCI規格では、以下の試験が追加されます。
- 1GHz超放射エミッション試験(1GHz ~ 6GHz)
- 伝導エミッション試験(通信ポート)
また照明機器(CISPR15)や電磁調理器(CISPR11)では、磁界や電力の試験が追加されます。
- 磁界エミッション試験(ラージループアンテナ)
- 磁界エミッション試験(ループアンテナ)
- 妨害電力試験
- CDNE試験
少し毛色の違う試験方法として、車載機器(CISPR25)のEMI試験もあります。
- 車載放射エミッション試験
- 車載伝導エミッション試験
というわけで、それぞれの試験項目の概略を紹介していきます。
放射エミッション試験(30MHz ~ 1GHz)
EMI試験といわれたときに、まずこの試験が思い浮かぶという方は多いと思います。
VCCI規格でも行われるため、最もメジャーなEMI試験かもしれませんね。
3mまたは10m離れた位置にアンテナを設置し、電界強度を評価します。
測定距離の違いによる影響については、下記の記事を参照ください。
伝導エミッション試験(電源ライン)
こちらもメジャーなEMI試験です。
電源ラインに流れるノイズ電圧を評価します。
電気用品安全法など一部の規格では、周波数範囲が異なるので注意が必要です。
【例】
- VCCI 150kHz ~ 30MHz
- 電気用品安全法 526.5kHz ~ 30MHz
- CISPR15 9kHz ~ 30MHz
- CISPR25 150kHz ~ 108MHz
1GHz超放射エミッション試験(1GHz ~ 6GHz)
VCCI規格においては、機器内部のクロック周波数が108MHz以上の場合に適用される試験です。
1GHz以下との違いとしては、測定距離が3mになること、床面に電波吸収体を敷くことが挙げられます。
伝導エミッション試験(通信ポート)
こちらもVCCI規格において適用される試験です。
LANなどの通信ポートに対して、伝導エミッション試験を行います。
シールドの有無や通信規格によってISN(LISNのようなもの)の種類が違うので、試験時には注意が必要です。
磁界エミッション試験(ラージループアンテナ)
「CISPR11」や「CISPR15」に適用される試験です。
ループ径は2mであることが一般的ですが、EUTのサイズによって2m以上のループ径で試験されることもあります。
磁界エミッション試験(ループアンテナ)
60㎝ループアンテナで磁界を評価する試験です。
ループアンテナの偏波を変えて磁界強度を評価します。
基本の測定距離は10mです。
妨害電力試験
電気用品安全法において、放射エミッション試験の代替として実施される試験です。
走行台上の吸収クランプを移動させて、電源ラインに流れるノイズレベルを評価します。
周波数範囲(30MHz~300MHz)です。
CDNE試験
こちらも放射エミッション試験を代替する目的で実施される試験で、CIPSR15で適用されます。
普通の伝導エミッション試験と比較して、EUTとCDNEの距離が近く(20cm)なります。
周波数範囲(30MHz~300MHz)です。
車載エミッション試験
CIPSR25で規定されている、車載機器向けのエミッション試験です。
伝導エミッション試験と放射エミッション試験、それぞれを評価します。
おわりに
代表的なEMI試験の試験項目について紹介しました。
ひとくちにEMI試験といっても、様々な試験方法がありましたね。
EMI試験では、それぞれの規格ごとに試験項目や試験方法が定められています。
試験時には、抜けやミスがないよう規格の中身を正しく理解しましょう。
わからない点は、試験所などに教えてもらいながら理解していけばいいと思います。
今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。