EMI試験をするときに、どの規格で試験するのか?
規格を調べてみると、CISPR、VCCI、FCC、ENなどいろいろと出てくるかと思います。
そこで今回は国際規格や地域規格についてご紹介します。
CISPR規格
そもそもCISPR(シスプル)とは何か?
”CISPR(国際無線障害特別委員会)は、無線障害の原因となる各種機器からの不要電波(妨害波)に関し、その許容値と測定法を国際的に合意することによって国際貿易を促進することを目的として1934年に設立されたIEC(国際電気標準会議)の特別委員会です。”
総務省 電波利用ホームページ
この委員会の中で規定された、それぞれの製品群に対する規格がCISPR〇〇と呼ばれる規格です。
メジャーどころとしては
CISPR 11 工業用、科学用、医療用(ISM)高周波装置の電磁妨害の許容値および測定法
CISPR 12 自動車、ボートおよび内燃機関駆動の装置の無線妨害特性の許容値と測定法
CISPR 14 電磁両立性―家庭用機器、電動工具および類似機器に対する要求事項
CISPR 15 電気照明用および類似の機器の無線妨害波特性の許容値と測定法
CISPR 16 無線妨害およびイミュニティ測定装置並びに測定方法の仕様書
CISPR 25 車載受信機保護のための妨害波の推奨限度値および測定法
CISPR 32 マルチメディア機器のエミッション規格
CISPR規格は国際規格なので、この規格自体に法的な拘束力はありませんが、各国のEMI規制はCISPR規格を引用していることが多いので、ほとんどの場合CISPR規格に則って試験が行われます。
VCCI規格
VCCI規格は、日本国内におけるEMIの自主規制規格です。
”(社)日本電子工業振興協会(JEIDA)、(社)日本事務機器工業会(JBMA)、(社)日本電子機械工業会(EIAJ)、通信機械工業会(CIAJ)*、が協力して早急に自主規制措置をとることといたしました。
VCCIについて 設立趣旨
1985年12月19日、関係4団体は、情報処理装置、電気通信機器および電子事務用機器からの妨害波がもたらす障害を自主的に防止するため「情報処理装置等電波障害自主規制協議会(略称VCCI)」を設立いたしました。”
自主規制なので法的な拘束力はありません。
規格の対象はマルチメディア機器です。
規格の中身は「CISPR35」がベースとなっています。
「EMI試験=VCCI」と思っている方もたまにいますが、それは違います。
産業機器や照明機器など、他の製品群はVCCIの適用対象外ですので別の規格を適用して試験を行います。
FCC規格
FCC(Federal Communication Commission)は米国の通信法と規制を実施する機関の名称です。
非常にメジャーな企画ですが、CISPR規格とは異なるFCC独自の試験方法や限度値が規定されています。
少し古いデータですが、例えばVCCI規格とFCC規格では同じアプリケーションであっても限度値が異なります。
EN規格
EN規格はEUの統一規格で、CEマーキングに適応させるための規格として用いられます。
EMI試験に関しては、おおむねCISPR規格がベースとなっています。
例えば、EN55011とCISPR11といったように、EN550〇〇の「〇〇」の部分がCISPR規格の番号に対応しています。
製品固有のEN規格の検索方法は、国立国会図書館のリサーチ・ナビを参考にするとよいと思います。
https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-400383.php
おわりに
EMI試験における、国際規格と地域規格についてご紹介しました。
国際規格のCISPR規格に関しては、多くの地域規格の引用元となっているので製品群ごとに別の記事でご紹介したいと思います。
今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。