EMC村の民
~iNarte EMCエンジニアへの道~
EMC規格

バースト試験【IEC61000-4-4】の概要紹介

 

前回から引き続き、イミュニティ試験のご紹介です。

静電気放電試験【IEC61000-4-2】の概要紹介静電気放電試験「IEC61000-4-2」の概要について紹介しています。...

 

EFT/B(Electrical Fast Transient / Burst :電気的ファストトランジェント/バースト)試験です。

読みにくい名称ですが、一般的には「バースト試験」と呼ばれることが多いです。

IEC規格においては「IEC61000-4-4」にて規定されている試験です。

今回は、そんなバースト試験の概要について紹介します。

 

動画でも解説しています。

 

バーストノイズとは?

バーストノイズは、誘導性負荷の接点の遮断に伴うギャップ放電を模擬したものです。

誘導性負荷の接点とは「モーター」や「リレースイッチ」などが代表的なものになります。

リレースイッチの構造 出典:エンプロウェル

 

上のリレー回路の場合、右側の回路の誘導性負荷が「OFF」になったときに逆起電力によって高電圧が生じ、ギャップ間で放電が起こるイメージです。

またこのような物理的なスイッチは一度でスムーズに接点が切り替わるわけではなく、非常に速い機械的振動が加わることで「チャタリング」が起こります。

 

このように間欠的で複数回繰り返される放電現象を「シャワリングアーク」といい、バースト試験ではこのシャワリングアークを模擬したノイズの耐性を評価します。

 

 

試験波形

バースト試験は「間欠的」でかつ「繰り返し放電」を模擬した試験波形になります。

バースト波形 出典:Embedded Systems Design

 

3つの波形が表示されていますが、それぞれ時間軸が異なります。

 

一番上の波形が最も時間が短いもので、バースト波形を構成するインパルス状のノイズ波形で「バースト波形」と呼ばれます。

静電気試験ほどではありませんが、立上り時間が「nsオーダー」で構成されているため、比較的周波数の高いノイズになります。

イミュニティレベルの比較 出典:TDK

 

周波数帯域としては「1MHz~1GHz」程度です。

 

真ん中の図のように、バースト波形は「パルス周期」で規定される期間ごとに発生します。

パルス周期は「5kHz」または「100kHz」のいずれかで規定されているため、パルスの間隔は「200us」または「10us」となります。

またパルス周期に関わらず、それぞれ75回のインパルスノイズが印加されます。

このインパルスノイズが印加され続ける時間を「バースト期間」と呼びます。

パルス周期が5kHzの場合は「15ms」、100kHzの場合は「0.75ms」の間、インパルスノイズが印加され続けます。

 

下の図はインパルスノイズが印加される周期を表しており、「バースト周期」と呼びます。

バースト周期は「300ms」で規定されており、1秒間におよそ3回バーストノイズが印加されることになります。

 

 

バーストノイズ発生回路

バーストノイズ発生回路は、インパルス性のノイズを発生させる必要があります。

バーストノイズ発生回路 出典:T.Sato

 

コンデンサに高電圧をチャージし、スパークギャップを介して放電します。

放電されたノイズは、インピーダンスマッチング用の「抵抗」とDCブロック用の「コンデンサ」を介して、供試品へ入力されます。

試験機の内部には、電源供給側の回路へノイズが流れないようにデカップリング用のLCフィルタが挿入されています。

 

 

ノイズの結合方法

バースト試験では「CDN結合」と「クランプ結合」のうち、いずれかの方法で供試品にノイズを印加します。

結合方法 出典:OKIエンジニアリング

 

CDN(Coupling Decoupling Network)は先述のデカップリング回路を内蔵した結合器です。

注入クランプは、バースト試験においては「容量性クランプ」が使用されます。

容量性クランプ 出典:Teseq

 

容量性クランプはノイズを印加するケーブルを上下から金属板で挟み、コンデンサ結合させることでノイズを印加します。

 

 

試験レベル

試験レベル 出典:OKIエンジニアリング

 

 

試験配置

床置きクランプ結合 出典:ノイズ研究所

 

バースト試験では、供試品、及びノイズを印加するケーブルをグランドプレーンから 10cm浮かせます。

ケーブルの長さは 50~60cmに加工する必要があります。

 

床置きクランプ結合 出典:ノイズ研究所

 

床置きの場合も同様に、供試品とケーブルはグランドプレーンから 10cm浮かせます。

補助器と接続するケーブル長は規定されていませんが、供試品とクランプとの距離は 1m±0.1mと規定されています。

試験中に補助器が誤動作する場合には、補助器側へフェライトコアなどの減結合回路を挿入することも可能です。

 

 

おわりに

EFT/B試験(バースト試験)「IEC61000-4-4」の概要について紹介しました。

規格の詳細について、図や表を除けば「kikakurui.com」から確認できます。

 

他の「IEC61000-4シリーズ」の試験については、下記のリンクからチェックできます。

IEC61000-4シリーズの要点をまとめてチェックIEC61000-4シリーズで規定されているイミュニティ試験について、各試験ごとに要点を紹介しています。...

 

また「IEC61000-4 シリーズ」は、JISハンドブックとして販売されています。

規格書の原本を購入することを考えれば、かなりお手頃に規格の情報が得られます。

また「iNarte資格試験」でも役立つ書籍であるため、手元に置いておきたい1冊と言えます。

 

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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エンジャー
EMCやノイズ対策に関する情報発信を日々行っています。 ( iNarte EMC Engineer、第一級陸上無線技術士)
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