VCCI規格(CISPR32)が適用される「マルチメディア機器」のイミュニティ規格。
それが「CISPR35」です。
今回の記事では、そんな「CISPR35」規格の概要について紹介します。
規格概要
CISPR35の試験項目は、「CISPR24」がベースとなっており、その中に「CISPR20」独自の試験項目を組み込んだものとなっています。
CISPR20はテレビなどの放送受信機のイミュニティ規格で、マルチメディア機器の登場によって現在は廃止された規格です。
規格の対象となるマルチメディア機器は、「パソコン」や「テレビ」などです。
試験項目
試験項目の多くは「IEC61000-4シリーズ」から引用されています。
IEC61000-4シリーズの試験概要については、以前概要をまとめていますので、そちらの記事を参考にしてください。
試験項目のうち「広帯域インパルス雑音妨害試験」のみが、CISPR35独自で規定されている試験になります。
この試験の対象となるのが「xDSLポート」です。
上図において、xDSLポート」は「⑥有線ネットワークポート」の1つとして定義されています。
広帯域インパルス雑音妨害試験とは
広帯域インパルス雑音妨害試験は「xDSLポート」のみに適用される試験です。
「xDSLポート」とは、アナログ電話回線を用いて高速なデータ通信のポートで、具体的には「ADSL」や「VDSL」などの方式があります。
インターネット回線の多くが「光通信」に置き換わってしまった現在では、あまり見かけることのないポートです。
試験は広帯域周波数のノイズを同時に印加することが特徴で、「繰り返しノイズインパルス」と「単独ノイズインパルス」の2種類あります。
繰り返しインパルス試験では、ノイズの印加時間が少なくとも2分間以上とされています。インパルスノイズのバースト長は0.7 msで、 バースト間隔は8.3ms(60 Hz) または 10 ms(50 Hz)とされています。
単独インパルス試験は、60秒間隔で最低5個の単独インパルスを印加するこ
ととなっています。バースト長は0.24 ms、10 ms、300 msのいずれかを選択します。
試験配置などは「IEC61000-4-6」がベースとなっています。
信号発生器には、ホワイトノイズをバースト発生できるファンクションジェネレータが使用されます。
判定基準
試験項目ごとに「性能判定基準案」が示されています。
連続性の妨害に対しては、高いイミュニティ性能が求められます。
一方で、雷サージや瞬時停電などの過渡妨害に対しては、回復可能であれば機能喪失がある程度許容されます。
おわりに
CISPR35規格の概要のうち、特に従来規格との違いを中心に紹介しました。
2018年12月に電波利用環境委員会より国内答申され、国内規格化されています。
付則にて、機能ごとの「動作モード」や「判定方法」が規定されているので、試験前に間違いがないか注意深く確認してください。
他のCISPR規格についても、別の記事でまとめています。
合わせてチェックしてみてください。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。