コンデンサ

セラミックコンデンサの分類

記事内に商品プロモーションを含む場合があります。

各種コンデンサの中で最も使用頻度の高いコンデンサが「セラミックコンデンサ」です。

そこで今回はチップ部品であるMLCCを対象として「材質」や「特性」の面から、それぞれの違いを紹介します。

動画はコチラ↓

 

材料の違い

セラミックコンデンサには、誘電体となる材料に3つのタイプが存在します。

  • 低誘電率系
  • 高誘電率系
  • 半導体系

このうち半導体系はほとんど使用されておらず、実質的には低誘電率系と高誘電率系の2つの材質に分類されます。

低誘電率系と高誘電率系は、それぞれ「Class1」と「Class2」とも呼ばれており、その特性は大きく異なります。

Class1(低誘電率系)

Class1 の方は、誘電体として酸化チタンなどの常誘電体が使用されており、その比誘電率は「20~300」とそれほど高くなく、そのため静電容量が小さい、あるいは形状が大きいものが多いです。

一方で、温度特性は非常に優れており、広い温度範囲で静電容量が安定していることから、テレビのチューナーなどの共振回路や高温環境にさらされるフィルタ用途に適しています。

また温度特性に関しては、温度が上昇するほど静電容量が低下する「負の温度特性」を持つものもあり、コイルが温度の上昇に対してインダクタンスが上昇するという「正の温度特性」を持つことから、これらを組み合わせることで温度依存性の小さい共振回路を作ることも可能です。

このような用途で使用されるコンデンサは「温度補償用コンデンサ」と呼ばれます。

Class2(高誘電率系)

一方で Class2 の方は、誘電体としてチタン酸バリウムなどの強誘電体と呼ばれる、比誘電率が非常に高い材料が使用されており、材質によっては 誘電率が 10,000 以上のものもあることから大容量・小型化に適した材質と言えます。

汎用的なモデルにおいては、静電容量の範囲が「100pF~100uF」までラインナップされており、このことからも応用範囲の広さがわかります。

一方で Class2 のセラミックコンデンサは、「DCバイアス特性を持つこと」と「温度特性を持つこと」が短所として挙げられます。

いずれも使用する回路、あるいは周囲温度によってコンデンサとしての特性が変わるため、どこまでこの影響を加味して設計できるかが使いこなしのポイントとなります。

動的モデル 出典:TDK

電子部品メーカーもこのあたりの影響を加味して設計できるよう「動的モデル」と呼ばれる、DCバイアス特性や温度特性を反映したシミュレーションモデルを公開しています。

そのため SPICE系のシミュレータにおいては、かなり高い精度で実際の環境を模擬してシミュレーションできるようになってきています。

 

 

温度特性

温度特性は、温度による静電容量の変化を表すものです、「JIS規格」と「EIA規格」の2つの分類方法があります。

いずれの規格においても、「使用温度範囲」と「温度係数」によって分類されています。

Class1

Class1 のコンデンサにおいては、基本的に温度による静電容量の変化が小さく、また直線的に変化するということで、その静電容量の変化量を 100万分の1 を基準した「ppm / ℃ 」で表します。

そしてその種類は、温度係数が「0±30」と非常に小さいものから、「-750±120」や「 1000+350」といった負の温度特性を持つものまで、いくつか種類があります。

このうち JIS規格における「CG」や「CH」など、温度係数が小さいものが好んで使用される傾向にあります。

Class2

一方で Class2 の方は、温度による静電容量の変化が大きく、また非線形に変化するということで、静電容量の変化率を基準値に対して ±○% というように表します。

そしてEIA規格では、記号があるルールに則って規定されており、1文字目が「下限温度」、2文字目が「上限温度」、3文字目が「静電容量の変化率」を表しています。

このうち下限温度は「X」に分類されるものが一般的で、そこから用途に応じて「上限温度」と「静電容量の変化率」の適したものを選択します。

そして、JIS規格 においては「B特性」や「R特性」、EIA規格 においては「X5R」や「X7R」あたりが汎用的に使用されるものになります。

 

部品サイズ

部品サイズは、セラミックコンデンサに限ったものではありませんが、部品サイズの表記方法は間違いやすいものの1つです。

コンデンサの部品サイズは、「ミリメートルを基準とした表記」と「インチを基準とした表記」の2通りの表記方法が存在します。

この2つの表記方法は、ミリメートルを基準としたものが「JIS規格」、インチを基準としたものが「EIA規格」で規定されています。

例えば同じ 0603 という表記でも、JIS規格では 0.6mm × 0.3mm であるのに対して、EIA規格では 1.6mm × 0.8mm とサイズが異なります。

国内のセラミックコンデンサメーカーのページでは、ほとんどの場合ミリメートルを基準にサイズが表記されています。

一方で海外メーカーの場合には、インチ基準でサイズが表記されていることが多いため、どちらの表記方法で記載されているかは必ず確認するようにしてください。

 

 

おわりに

今回はセラミックコンデンサの「材質」「温度特性」「サイズ」について解説しました。

「JIS規格」と「EIA規格」の違いや「Class1」と「Class2」の違いなどは、いずれもセラミックコンデンサを使用する上では非常に基本となる知識です。

とりわけセラミックコンデンサは、全コンデンサの中で最も使用頻度の高い部品なので、それぞれの特性の違いについてはきちんと理解しておくようにしてくださいね。

その他のコンデンサの特徴はコチラ↓

コンデンサの種類と特徴電気回路において、様々な回路で使用されるコンデンサ。 今回はそんなコンデンサの中でも、最もよく使用される部品 TOP3 の「電解コ...

 

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

Print Friendly, PDF & Email
にほんブログ村 科学ブログへ

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください