この記事では3つの回路を例にして、回路中でコンデンサがどのように機能しているかを解説します。
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充電回路
充電回路は、瞬時に大電流が必要ないわゆるパルス性の負荷に対して使用される回路です。
ここで紹介する回路は、抵抗とコンデンサとスイッチで構成されており、スイッチが ON になったタイミングでコンデンサから負荷へパルス性の電流が流れ、そこからスイッチが OFF になると電源からコンデンサに充電するための電流が流れます。
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この回路においては、出力抵抗 R1 と コンデンサ C1 が充電回路となります。
ではこの充電回路のおけるコンデンサの役割を見ていきます。
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ここで表示しているグラフは、横軸が時間、赤線が電源電圧 Vin、青線がコンデンサに貯まった電圧 Vcap、黄色の線がコンデンサへの充電電流を表しています。
出力抵抗R1の抵抗値とコンデンサC1の静電容量を変化させたときに、グラフがどのように変化するのかを見ていきます。
出力抵抗の影響
まず出力抵抗は、抵抗値を大きくしていくとコンデンサの電圧の充電時間がどんどん長くなっていきます。
この充電時間は、一般的に「時定数」と呼ばれており、時定数 τ は
τ= CR として求めることができます。
この式を見ると、時定数は抵抗とコンデンサの積となっており、いずれかの定数が大きくなると時定数が大きくなるという性質持ちます。
そのため抵抗値を大きくすると充電時間が長くなるということです。
反対に抵抗値を低くすると充電時間がどんどん短くなり、黄色のコンデンサへの充電電流もそれに応じて電流値が高くなります。
コンデンサの影響
一方コンデンサの方は、こちらも同じく時定数に影響を与えるということで、静電容量を大きくすると満充電に至るまでの電荷が多くなるため充電時間が長くなり、反対に静電容量を小さくすると充電時間が短くなります。
ただしコンデンサの静電容量を変化させても充電電流の最大値は変化しません。
このように充電回路においては、負荷へ瞬時的に電圧を供給すべく、事前に必要な分の電荷を貯めておくことがコンデンサの主な役割となります。
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平滑回路
平滑回路は、交流電圧から直流電圧に変換するときや直流電圧を別の直流電圧に変換する場合に使用される回路です。
ここで紹介する回路は交流から直流に変換する回路で、交流の信号源、ダイオードブリッジ、コンデンサ、負荷となる抵抗で構成されています。
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このうちコンデンサは、出力電圧を平滑化、つまりは電圧を安定化する働きを持ちますが、実際にどのように機能しているかを確認します。
このグラフは、横軸が時間、縦軸が電圧で表されており、赤い線がコンデンサへの入力電圧、青い線が負荷への出力電圧となっています。
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初期の状態では、回路の出力電圧は入力電圧と比較すると電圧の変動しており、これでは安定した直流電圧とは言えません。
コンデンサの影響
コンデンサの静電容量を大きくすると、負荷を駆動するための電流に対してコンデンサに貯められた電荷が十分な量となるため、出力電圧の低下が緩和され、リップルがどんどん小さくなっていきます。
一方で負荷電流を大きくする、つまりは負荷の抵抗値を下げていくと、反対にリップルが徐々に大きくなっていきます。
このように平滑回路においてコンデンサは出力電圧を安定化する働きを持ちますが、どれくらい安定化できるか、すなわちリップルをどれだけ小さくできるかは、コンデンサの静電容量と負荷の抵抗値の関係で決まります。
そのためリップルの許容範囲を設定し、その範囲に収まるようにコンデンサの定数を調整する必要があります。
なお定数を調整する場合には、静電容量の大きいコンデンサを1つ配置するよりも、複数のコンデンサを並列に接続して静電容量を調整する方法が一般的となります。
カップリング回路
カップリング回路は「AC結合」とも呼ばれます。
今回の回路は、100kHz の交流の信号源に3Vの直流の電圧源が直列に接続された、いわゆるDCバイアスの掛かった信号源に対して、信号源の出力抵抗 R1、AC結合用のコンデンサ C1、負荷となる抵抗 R2 が接続された回路となっています。
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このうちコンデンサは、直流の電気は流さずに交流の電気だけを流す働きを持ちますが、波形を見ながらどのように機能しているかを確認します。
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このグラフは、横軸が時間、縦軸が電圧で表され、入力電圧が赤色の線、出力電圧が青色の線となっています。
それぞれの波形を比較すると、入力電圧は3Vを基準として±1V の範囲で変動しているのに対して、出力電圧の方は0Vを基準として電圧が変動しています。
これはつまり、コンデンサによって直流電圧をカットしているということです。
周波数特性
そしてコンデンサがどの程度交流を流すことができるかは、コンデンサのインピーダンスによって変わります。
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横軸を周波数、縦軸を電圧としてその特性を見てみると、100kHz以上の周波数に対しては
入力電圧と同等の電圧を出力しています。
一方で100kHz以下の周波数では、周波数が下がるにつれて出力電圧が低下しています。
これはつまり、低い周波数ではコンデンサのインピーダンスが高いということです。
このときに、コンデンサの静電容量を大きくすると低い周波数でも出力電圧が高くなっていくのに対して、反対に静電容量を小さくするとより高い周波数しか通さなくなります。
これはAC結合のコンデンサが「ハイパスフィルタ」として機能しているということです。
ちなみにこのAC結合用のコンデンサは、常に直流電圧がバイアスされているということで、フィルムコンデンサや電解コンデンサなどのDCバイアス特性を持たないコンデンサを使用することが一般的となります。
コンデンサの特徴の詳細はコチラ↓
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![](https://engineer-climb.com/wp-content/uploads/2024/07/art-denshi-noise-handbook.jpg)
おわりに
今回は「充電回路」「平滑回路」「カップリング回路」 におけるコンデンサの用途について解説しました。
いずれの用途においても、コンデンサの直流の電気を貯める性質と交流の電気のみを通すという性質をうまく使って様々な機能を実現していましたね。
この他にもコンデンサは様々な回路で使われていますが、そこでもコンデンサの果たす役割は同じです。
回路によっては非常に複雑なものもありますが、今回のように回路シミュレータを使ってみれば、コンデンサがどのように機能しているかも理解できるかと思います。
回路シミュレータは一見すると難しそうに見えますが、使い方さえ覚えてしまえば実はそれほど難しくありません。
今回使用したQucsStudioは無料で誰でも使えるツールです。
ダウンロード方法はコチラ↓
![](https://engineer-climb.com/wp-content/uploads/2019/01/Qucsstudio1-320x180.png)
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。