前回の記事ではパスコンの役割について解説しました。
![](https://engineer-climb.com/wp-content/uploads/2021/01/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%81_%E3%83%91%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%B3v1-320x180.png)
そこで今回は、パスコンがどれほどの効果を持つのかを回路シミュレータ「LT Spice」を使って検証します。
シミュレーション回路
シミュレーションの回路は、デジタル回路におけるクロック・バッファの回路をイメージしたものです。
![](https://engineer-climb.com/wp-content/uploads/2021/01/%E5%9B%9E%E8%B7%AF%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8-500x356.png)
ドライバがクロック信号を受けて、それを複数のレシーバへ伝送するといった役割を持つ回路になります。
ただし全てをモデリングすると規模が大きくなりすぎるため、今回の検証ではこのうちの1つの出力を取り出してシミュレーションモデルを作りました。
![](https://engineer-climb.com/wp-content/uploads/2021/01/%E5%9B%9E%E8%B7%AF%E5%9B%B3-1-800x808.png)
パスコンの構成としては、電源電圧が3.3Vの回路においてドライバから最も近い位置に
0.01uF のコンデンサを2つ並列に接続し、そこからやや離れた位置に0.1uF のコンデンサをこちらも2つ並列に接続します。
更に ICからは少し遠い位置に、47uFと容量の大きいコンデンサを1つ並列に接続します。
それぞれのコンデンサの間は、電源回路の配線パターンによって接続されていますが、この配線パターンもパスコンの性能に影響を与えるため、配線長に応じてインダクタンスを調整してモデルに反映しています。
またパスコンには3素子モデルの等価回路を採用しており、パスコン1 と パスコン2 は ESR が 0.1mΩ、ESL が 1nH としており、パスコン3の方は ESR が 1Ω、ESL を 10nH となっています。
![](https://engineer-climb.com/wp-content/uploads/2024/04/202405_art_mount.jpg)
パスコンの効果
ここからは動画でどうぞ↓
おわりに
今回はパスコンの効果をシミュレーションするということで、「LTSpice」を使ってクロックバッファの回路をモデリングし、パスコンによって電源電圧をどの程度抑制できるかという検証を行いました。
今回作った回路は検証用であるため、必ずしも実際の回路と一致しているわけではありませんが、パスコンの効果を確認するという意味では非常に良いものだと思います。
このシミュレーションファイルはダウンロードできるようになっているので、興味のある方はダウンロードして、実際に自分自身でシミュレーションしてみてください。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。