ノイズ対策における抵抗は、高周波を減衰させて波形をなまらせることが主な役割です。
そして、その効果を検証するために必要となるのが部品のモデリング技術です。
そこで今回の記事では「抵抗のモデリング」について紹介します。
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1素子モデル
もっとも単純なモデルです。
このモデルは周波数特性を持たないため、理想的な抵抗素子としてふるまいます。
「直流回路のシミュレーション」や「抵抗の分圧回路」では使用できますが、ノイズを考慮したシミュレーションには適用できません。
2素子モデル
抵抗とインダクタを組み合わせたモデルです。
抵抗は「抵抗値」そのものを表し、インダクタは「抵抗内部や配線のインダクタンス」を表します。
およそ100kHz以下の周波数範囲で使用できるモデルです。
スイッチング電源の波形解析やスナバ回路のモデルとして使用できることがあります。
3素子モデル
高周波のシミュレーションにおいては、最もメジャーなモデルです。
抵抗とインダクタの直列回路に、並列にコンデンサが組み合わさったモデルです。
ノイズ対策を考慮したシミュレーションを実施する場合は、この「3素子モデル」がおすすめです。
抵抗器メーカーの等価回路も、このモデルが採用されています。
4.7kΩの抵抗の周波数特性を見ると、10MHz以下の周波数範囲では一定のインピーダンスを示しますことがわかります。
一方で10MHz以上の周波数範囲になると、並列のコンデンサ成分が支配的になりインピーダンスが低下していきます。
位相特性からも、コンデンサ成分が支配的になっていることがわかります。
おわりに
抵抗のモデリング方法について紹介しました。
EMC設計のシミュレーションでは、部品のモデリング技術が非常に重要な技術です。
部品メーカーからは、回路シミュレーション用に「TouchStoneファイル(実測データ)」が提供されていることがあります。
「TouchStoneファイル」が提供されていれば、モデリングは必要ありません。
しかし、多くの抵抗部品は「TouchStoneファイル」が提供されていないので、等価回路をモデリングする必要があります。
3素子モデルであれば、EMC設計においてもある程度の精度が見込めるので、まずは一度モデリングしてみてください。
抵抗以外にも「コンデンサ」や「コイル」のモデリング方法も紹介しています。
そちらも合わせてご確認ください。
今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。