EMC

ノイズによるリコール事例

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昨今、特に自動車メーカーにおいては車に不具合が見つかるとすぐにリコールを届け出るようになりました。

そして、その中にはEMC(ノイズ)によるリコールもいくつかあります。

今回の記事では、近年発表されたEMC(ノイズ)に関するリコールの情報をご紹介します。

動画はコチラ↓

 

エンジン制御の不具合

ホンダの2014年の事例です。

本田技研工業は10月23日、「フィット」「ヴェゼル」「N-WGN」「N-WGN カスタム」をリコールすると発表した。

(中略)

 2つめのエンジンの電源供給回路では、電気ノイズに対する電源供給回路の保護が不十分で、車両の電装部品から発生するノイズの影響により電源制御ユニットが誤作動することがある。この誤作動でエンジン制御コンピューターなどに電力を供給するリレーが作動しなくなり、走行中にメーターパネルが消灯するほか、エンジンが停止するおそれがある。

 
それぞれの改善措置として、前者では点火コイルを対策品と交換し、後者では電源供給回路にノイズフィルターを追加することになる。

Car watch

不具合の内容としては、リレーがノイズによって動作しないとのことです。

ノイズフィルタを追加する対策ということで、かなり切羽詰まった状況なのが見て取れますね。

 

エアバッグ制御の不具合

こちらは2018年のトヨタの事例です。

トヨタ自動車は11月1日、『アベンシス』など11車種3万6002台のエアバッグに不具合があるとして、国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出た。

(中略)

エアバッグコントロールユニットにおいて、電気ノイズの影響に対する検討が不十分なため、ノイズ耐力が不足しているものがある。そのため、車両の電装部品から発生するノイズにより、使用過程で当該ユニット内のICチップが損傷し、最悪の場合、走行中にエアバッグが展開するおそれがある。
改善措置として、全車両、エアバッグコントロールユニットを対策品に交換する。
不具合は4件発生、事故は起きていない。市場からの情報により発見した。

Response

こちらは対策品への交換ということで、おそらくECUの電源回路あたりに追加の対策が行われていると思います。

市場からの情報による不具合とのことで、現象を再現したり、対策を検討したりと、自動車メーカーおよびサプライヤーが非常に苦労しそうな案件です。

 

パワエレ制御の不具合

VWの2017年の事例。

リコールではなくサービスキャンペーンとのことです。

サービスキャンペーンはリコールまたは改善対策に該当しない場合であって、一定の範囲の自動車について、使用者に通知して対策を講じる場合に、その旨を国土交通省に通知して自動車を回収し無料で修理する制度です。

「VW パサートセダン GTE」「VW パサートヴァリアント GTE」について、国土交通省にサービスキャンペーンを通知した。

パワーエレクトロニクスの制御プログラムが不適切なため、スタートボタンによるシステム起動後、駆動モーターから発生する高周波ノイズを抑制するノッチフィルター機能が誤作動し、メーターパネルにエラーメッセージが表示され、駆動モーターが作動せず、走行できない恐れがある。

再起動することにより、正常に走行できる。

Recall Plus

この例では、プログラムの書き換えによって誤動作が改善できるようなので対策は軽微といえるでしょう。

自動車の電子化、電動化が進むことで、ソフトウェアに対するノイズ耐性も重要になってきていることが伺えます。

 

おわりに

自動車のEMC(ノイズ)に関するリコール情報をご紹介しました。

自動車のEMC試験は、民生のEMC試験と比較してはるかに厳しいレベルで試験が行われていますが、それでも市場で不具合が発生しリコールに至っています。

また、ノイズ対策というとこれまでハードウェア(ノイズ対策部品)による対策が主となっていましたが、電子化、電動化が進むことによってソフトウェアによる対策も増えてきているようです。

ノイズ対策に関する「ノウハウ」はコチラの記事にまとめています。

 

今回は以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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