EMCを専門的に学ぶ方法として「学会」に参加してみるのもひとつです。
学会というと敷居が高く感じるかもしれませんが、学会員になったからといって必ず研究会に参加する必要もありませんし、ましてや発表もしなくいいです。
学会に入会することで、過去の文献を読むことができたり、最新の研究成果を知ることができます。
EMC業界の情報収集として、EMC技術者としてのレベルアップとして、学会は様々な目的で活用できます。
昨今どの学会でも人が集まりにくい状況なので、入会希望者はどこへいっても歓迎されるでしょう。
というわけで、今回の記事では「EMC」に関わる「学会」について紹介します。
環境電磁工学研究会(EMCJ)
電子情報通信学会の中の研究会として運営されている「電磁環境工学研究会」。
通称「EMCJ」です。
https://www.ieice.org/~emcj/jpn/index.html
おそらく、EMCの業界で一番メジャーな学会ではないでしょうか。
EMCに関わるすべての内容(試験方法、試験機器、ノイズ対策、材料、回路、シミュレーション・・・)を取り扱っています。
1~2ヶ月に一度、定例会が開催されています。
https://www.ieice.org/~emcj/jpn/regular/regular-j.html
他の研究会と共催も多くあることが、内容の幅広さにつながっています。
興味のあるテーマや、開催場所が近いときなどに一度参加してみると良いと思います。
定例会とは別に毎年「湯沢WS」として、EMC技術者のためのワークショップを開催しています。
https://www.ieice.org/~emcj/jpn/non-regular/ws_index.html
「湯沢WS」という名ですが、最近は湯沢以外の場所で開催されています。
開催場所の変更に伴い、内容も“座学中心”のものから“議論&発表”へと変わってきているようです。
今年は若手技術者を対象とした「EMC設計コンテスト」を開催するなど、特に若手~中堅の方のレベルアップに注力しています。
EMC関連の学会の入り口として、最も参加しやすい研究会です。
電磁環境技術委員会
電気学会の中の研究会として運営されている「電磁環境工学研究会 (IEE-EMC)」。
http://ps.eei.eng.osaka-u.ac.jp/ieejaemc/jp/
EMCJは「電子情報通信学会」の中で運営されているので、どちらかというと弱電分野を対象とした内容が多いです。
一方の IEE-EMCは、パワーエレクトロニクス分野を対象としいるため強電分野を中心に取り扱っています。
電気学会のなかでは「基礎・材料共通部門(A部門)」となります。
近年の調査委員会の活動としては「電磁界の人体への影響」や「システムのイミュニティ耐性」といったテーマを取り扱っています。
半導体電力変換技術委員会
EMCを専門とした研究会ではありませんが、電気学会の研究会として毎年「EMCJ」と共済しているのが「半導体電力変換技術委員会(SPC)」です。
パワーエレクトロニクス分野でEMCに関わる方にとってはSPCの方がメジャーかもしれません。
EMCに係る活動としては、研究調査活動として「電力変換装置における実用的なEMC対策技術調査専門委員会」が設置されています。
http://www2.iee.or.jp/~dspc/activities.html
SPCはノイズ対策にフォーカスした内容が多いので、現役の技術者にとっても役立つ情報が多く得られるかと思います。
研究会の成果物として書籍も出版されています。
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興味のある方は、お手にとって見てください。
電磁特性技術委員会
エレクトロニクス実装学会のなかの「電磁特性技術委員会」。
https://web.jiep.or.jp/tech-committees/electromagnetic.html
この中で3つの研究会が運営されています。
- EMCモデリング研究会
- 超高速高周波エレクトロニクス実装研究会
- 低ノイズ実装研究会
分野としては高周波回路や高速デジタル回路の内容が多いです。
各研究会とも、年6回程度の会合を開き,試作基板などを使ってEMC設計を行うための研究活動を行っています。
毎年「サマーセミナー」も開催されており、実務としてノイズ対策に取り組まれている方に役立つ内容が紹介されています。
入会して参加するのが良いですが、非会員でも参加できます。
https://web.jiep.or.jp/seminar/tcwg/tc09_summer2019/
本年度は開催終了していますが、毎年9月頃に開催しているので興味があるテーマであれば参加して損はないかと思います。
研究会での成果をときどき「月刊EMC」で発表しており、その内容をまとめたものが「EMCシミュレーション 設計技術マニュアル」です。
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また久保寺先生の著書でもノイズ対策を解説するにあたって、この研究会での事例を使用されています。
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設計現場でのノイズ対策に興味がある方に役立つ研究会です。
おわりに
EMCに関連する学会について紹介しました。
いずれの学会も横のつながりが有るので、ひとつの学会に参加してみることで様々な情報を得ることができると思います。
EMC全体に興味がある方は「EMCJ」。
パワエレ分野のEMCに興味がであれば「IEE-EMC」や「SPC」。
高速デジタルや高周波分野のEMCは「EMCモデリング研究会」や「低ノイズ実装研究会」。
はじめは参加しづらいかもしれませんが、得られるメリットは大きいので、勇気を持って一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。