今回は「QucsStudio」と「Qucs」に付属しているツールを使って、伝送線路の特性インピーダンスを計算します。
AppCAD でも同様の計算(特性インピーダンス、反射係数)をしましたが、QucsStudioはそれ以外の機能もあるので AppCAD + α のツールといったイメージです。
動画はコチラ↓
特性インピーダンスの計算ツール
QucsStudioを起動してツールバーの「Tools」から「Line calculation」を選択します。
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伝送線路を計算するためのウィンドウが立ち上がります。
マイクロストリップラインのほかに、同軸線路や導波管などがあります。
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マイクロストリップラインの特性インピーダンス
マイクロストリップラインの特性インピーダンスを計算してみます。
各項目のプルダウンメニューを選択すると、適当な材料データが出てきます。
該当する材料があればそのまま選択し、なければ数値を手入力します。
まずは誘電率
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誘電正接(誘電体による損失、ロスを考慮しない場合は0でもよい)
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抵抗率(導電率の逆数)
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透磁率
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その後、単位を変更しながら寸法を入力します。
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単位を入力すると、即座に結果が変更されます。
特性インピーダンスが 101.688 Ωという結果が得られました。
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以前 AppCAD で計算した時が 100.73 Ωだったので、概ね同じ結果だといえるます。
また QucsStudio の場合、Skin Depth(表皮効果)や 実効誘電率、誘電損失、放射損失といった項目も表示されます。
さらに「Copy Component to Clipboard」をクリックすると計算結果がコピーされ、それを回路シミュレーションで使用することもできます。
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右下の伝送線路の絵が計算結果をモデル化したものです。
解析方法については、またの機会にご紹介します。
おわりに
QucsStudio の簡単な使用方法として、伝送線路の計算ツールをご紹介しました。
同軸線路やストリップライン、導波管といった伝送線路でも同様に計算できますので、ぜひお試しください。
AppCAD と比較すると操作性は劣りますが、計算結果の利用性は QucsStudio の方が圧倒的に高いです。
iNarte 資格試験を1つのツールで済ませたい場合は QucsStudio の方がおすすめです。
今回は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。