この記事では OWON製の 1台4役(オシロスコープ+ファンクションジェネレータ+安定化電源+マルチメータ)のマルチファンクション計測器 FDS1102の活用方法を紹介します。
動画はこちら↓
FDS1102の概要
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FDS1102の主な特徴は以下の2点です。
- 1台4役の多機能
- アンドロイド OS搭載
各機能のスペック
FDS1102は電子回路の実験で必須とも言える4つの機能(オシロスコープ、ファンクションジェネレータ、安定化電源、マルチメータ)を内蔵しているため、これ1台あれば大抵の実験に対応できます。
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オシロスコープはチャネル数が2CH、サンプリングレートが1GSPSとエントリークラスのベンチトップタイプと遜色ない性能を持っています。
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ファンクションジェネレータも2CH搭載されており、サンプリングレートが300MSPS、最高周波数が50MHzと必要十分な性能です。
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安定化電源もチャネル数が2CHで、各チャネル最大15Wまで供給可能です。なお安定化電源の各チャネルは独立して制御することも可能ですし、直列接続や並列接続でも使用できます。
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マルチメータについては特筆すべきポイントはありませんが、電圧、抵抗、キャパシタンスなど実用的に十分な機能を持っています。
総評
各機能ともエントリークラスの計測器と同等程度の性能を持ちつつ、それを1台にまとめたというのがFDS1102の特徴です。
アンドロイドOS搭載
アンドロイドOSの搭載については、スマホやタブレットのようなタッチ操作に対応しているため直感的な操作が可能です。
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またネットワークへの接続や外部デバイスの追加などがアプリを介して容易に行えるため、このあたりも電子回路の入門機として優れている点と言えます。
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Analog Discoveryとの比較
同じような多機能計測器としては Analog Discoveryがあります。
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この Analog DiscoveryとFDS1102のスペックを比較すると、FDS1102の方がかなり高い性能を持っていることがわかります。
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一方でFDS1102のデメリットとまでは言いませんが、個人の方にとって最も高いハードルとなるのが30万円という価格です。
この価格設定は企業や教育機関であれば、少額資産の範囲に収まるギリギリのラインなので許容可能かと思われますが、個人が手を出すとなるとハードルが高いと言わざるを得ません。
このことからもFDS1102は Analog Discoveryのような個人のホビーユース向けというよりは、実務での使用を想定した計測器であると言えます。
ちなみに FDS1102と同等の性能を持つ計測器を個別で1台ずつ揃えるとなると、最低でも20万円程度の金額がかかるので、特別高すぎる価格設定というわけではなさそうです。
オシロスコープ機能の活用事例
FDS1102のオシロスコープ機能の操作感は一般的なベンチトップタイプと同じなので、オシロスコープの操作経験があれば迷うことなく使用できます。
10MHz矩形波の測定
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サンプリングレートが1GSP、周波数帯域が100MHzであるため、10MHzの矩形波を測定しても帯域不足で波形がなまることはありません。
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実務ではオーバーシュートの影響を低減するためにあえて帯域制限を掛けることもありますが、このときDIR(デジタルフィルタ)を使えば特定の周波数以上をカットした状態で波形を表示することができます。
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このデジタルフィルタは波形の挙動が不安定だったり、フィルタ回路のスペックを見積もったりするのに非常に便利な機能です。
なおデジタルフィルタを介すること遅延が生じるため、タイミングがシビアな状況で使用する場合は注意してください。
AM変調波の測定
オシロスコープで使用頻度の高い機能として FFTがあります。
FFTはファストフーリエ変換(Fast Fourier Transform)の頭文字を取ったもので、オシロスコープで測定した時間領域の波形を周波数領域の波形に変換できます。
ここではAM変調波の信号を周波数変換します。
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FFTの周波数分解能⊿fは、時間領域のポイント数N(フレーム周期)とサンプリングレートfsによって決まります。
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上式より、周波数分解能⊿fを細かくするには、ポイント数Nを多くするか、サンプリングレートを低くすれば良いということがわかります。(ポイント数が固定の場合は、サンプリングレートを低くするとサンプリング時間が長くなります)
ここではポイント数をFDS1102の最大である10Mポイントとして、サンプリングレートが1GSPSと100MSPSの波形を比較しています。
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両者を比較すると、100MSPSの方がより細かく周波数解析できていることがわかります。
このように同じ計測器を使っても、測定条件次第でより詳しく波形解析できます。
シリアル通信の測定
シリアル通信の測定にはシリアル通信用のトリガー機能を使用します。
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シリアル通信用のトリガーには、通信フォーマットごとに適切なトリガー条件があらかじめ登録されています。
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ここではI2Cのシリアル通信に対して、CH1がSCL、CH2がSDAを測定しています。50%のしきい値ボタンをタップすることで、簡単に波形を捕捉できます。
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ただし FDS1102にはデコード機能が搭載されていません。このデコード機能の有無によってデバッグの効率が大きく変わってくるので、今後のアップデートによる機能追加を期待したいところです。
ちなみにOWONはユーザー要望に対しては柔軟に対応してくれる印象なので、使用している中で気になる点があれば販売店のT&Mコーポレーションにフィードバックしてみることをおすすめします。
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複合機能の活用事例
ここからは FDS1102の本領とも言える、複数の機能を組み合わせて測定してみます。
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ここで実験対象とするのはオペアンプを使った差動増幅回路です。
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安定化電源の設定
オペアンプの動作にあたっては ±15Vの両電源が必要となりますが、ここでは2CHの安定化電源を直列接続してその中点をGNDとして使用しています。
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この両電源としての使用はメーカー推奨では無いようですが、実使用上は特に問題なく動作します。
ファンクションジェネレータの設定
差動増幅回路への入力信号は、振幅が1Vppで位相が180°異なる100Hzの正弦波としています。
なお今回の差動アンプはゲインが1倍なので、単純にCH1とCH2の差分のみが出力端子から出力されるはずです。
オシロスコープの設定
信号を観測するオシロスコープは、CH1が入力信号、CH2が出力信号を測定しています。
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実際に波形を測定してみると、黄色の入力信号に対して水色の出力信号が差分に相当する2Vppの正弦波となっており、差動増幅回路が正しく動作していることが確認できます。
周波数特性(FRA)測定
FDS1102では回路の周波数特性(FRA)も簡単に測定できます。
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一般的なオシロスコープとファンクションジェネレータを使用する場合は、手動で周波数を1ポイントずつ変更する必要がありますが、FDS1102の場合はFRA機能を使用することで自動で周波数特性を測定できます。
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このFRA機能は特にアナログ回路の評価に重宝します。
アンドロイドOSの便利機能
ここではアンドロイドOS搭載による便利な機能を2つ紹介します。
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画面録画
1つ目は画面の録画機能です。
以前は計測器の画面を画像として保存するというのが一般的でしたが、最近は測定結果を動画で保存できます。
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FDS1102ではこの画面録画にアンドロイドOS標準の画面録画アプリが使用できるため、その操作は非常に簡単です。
また録画したファイルはギャラリーアプリから確認できるため、計測器内でのデータ管理も以前よりもわかりやすくなっています。
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リモートコントロール
2つ目の便利な機能がリモートコントロール機能です。
リモートコントロールにあたってはネットワークに接続する必要がありますが、オプションの無線モジュールを接続すればスマホと同じように自宅や職場のネットワークに接続できます。
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ネットワークへ接続できればWeb Serviceというアプリを起動します。
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このアプリを起動するとパスワードが表示されるので、PCのブラウザ画面に計測器のIPアドレスを入力して、続けてパスワードも入力すれば計測器へのリモート接続が完了します。
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FDS1102のリモートコントロールの面白い点はただ単に画面を制御するだけでなく、ハードウェアキーも仮想化されているため実際の計測器を操作するようにリモートコントロールできることです。
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ノブの操作が若干難しいですが、他社にはないOWON独自の面白い機能です。
またリモートコントロールでは遅延が気になりますが、わたしの環境ではだいたい1~2秒程度の操作遅延がありました。このあたりはネットワーク環境にもよりますが、遠隔から操作できるメリットを考えれば十分実用的と言えそうです。
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おわりに
今回は1台4役の多機能計測器 FDS1102の基本的な機能と測定で役立つテクニックを解説しました。
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FDS1102は企業や教育機関向けの計測器であるため個人で手に入れることは難しいですが、これ1台あれば大抵の電子回路の実験には対応できます。
特に実験スペースが限られている場合には非常に大きなメリットがあるので、興味のある方はT&Mコーポレーションのサイトをチェックしてみてください。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。