Analog Discovery

Analog Discovery 2 が万能すぎる!

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この記事ではわたしが日頃から愛用している計測器「 Analog Discovery 2」について紹介します。

動画はこちら↓

 

概要

Analog Discovery2は1つのパッケージの中に複数の機能が備わったUSBタイプの計測器です。主な計測機能としては以下のとおりです。

  • オシロスコープ
  • 信号発生器
  • ロジックアナライザ
  • スペクトラムアナライザ
  • インピーダンスアナライザ
  • ネットワークアナライザ
  • プログラマブル電源
  • AC/DC電圧計 など

万能計測器の名にふさわしく、様々な機能が搭載されていることがわかります。

一般的な計測器と異なる点としては、波形表示するためのディスプレイが備わっていない点です。これはパソコンとUSB接続して使用することが前提となっているためで、Analog Discovery2では WaveFormsというソフトウェア上から信号波形を確認したり、測定条件を変更したりすることができます。

価格

Analog Discovery2 は、価格が$399と非常にコスパが良いです。

最近は円安の影響で日本円での価格がやや高くなってしまっていますが、それでもなお複数の計測機能を5万円程度で利用できるというのは、別々で計測器を購入するのと比較して間違いなく安いです。

販売元によって若干価格に差がありますが、おそらくは秋月電子通商が最も安価です。その他にもAmazonマルツオンラインDigi-keyMouserなどでも販売されています。

なお Amazonなどで格安のオシロスコープが販売されていますが、Analog Discovery2 はこれらの格安キットなどとは比較にならないほど高い性能を持っています。

拡張パーツ

Analog Discovery2のその他の魅力としては、拡張用のパーツが豊富ということが挙げられます。

  • BNCアダプター基板
  • トランジスタテスター
  • インピーダンスアナライザ
  • オーディオ解析用のアダプター基板
  • ブレッドボード用のアダプター基板 など

わたしもインピーダンスアナライザやBNCアダプター基板がバンドルされた「Ultimate Analog Discovery 2」という商品を購入しました。

アナログ回路の実験に必要なアクセサリ類が一式セットになっており、実験ごとに組み合わせを変更して使用できるので非常に便利です。

Ultimate Analog Discovery 2の価格はおよそ7万円程度です。個人が手を出すにしては高い気もしますが、同じような性能の計測器を別々に購入した場合には倍では済まない価格になってしまうので、価格以上の性能や利便性があることは間違いありません。

 

 

性能

ここでは代表的な機能であるオシロスコープ、信号発生器、ネットワークアナライザの3つの機能に絞って、Analog Discovery2の性能を紹介します。

オシロスコープ

オシロスコープの性能については以下のとおりです。

  • 入力チャネル数: 2CH
  • 周波数帯域: 30MHz
  • サンプリング周波数: 100Msps
  • 分解能: 14bit

この中でやや物足りない点として挙げられるのが、2CHしか無いという点です。特にデバッグ作業をする場合には複数の信号を同時に観測したくなりますが、そうした場合に2CHしか無いと物足りない印象です。

ただしその他の性能については周波数帯域が30MHz、サンプリング周波数が 100Mspsということで、電子工作で取り扱うようなほとんどの信号に対して必要十分な性能を持っていると言えます。

さらに分解能に関しては一般的なオシロスコープが8bitであるのに対して、Analog Discovery2は14bitと非常に高い分解能を持っています。これは特に微小なアナログ信号を取り扱う場合に非常に大きなアドバンテージとなります。

またオシロスコープではありませんが、プロトコルアナライザの機能を使えばUART、SPI、I2C、CANなどの通信解析もできます。

信号発生器

信号発生器の性能は以下のとおりです。

  • 出力チャネル数: 2CH
  • 出力電圧範囲: ±5V
  • 周波数帯域: 20MHz
  • サンプリング周波数: 100Msps
  • 分解能: 14bit

チャネル数については、信号発生器の場合は2CHあれば十分な場合がほとんどなので問題ありません。また出力電圧範囲が ±5Vとなっており、こちらもアナログ回路の実験用としては必要十分な範囲です。

信号発生器においてはどのような波形を出力できるかも重要ですが、Analog Discovery2においては以下の信号に対応しています。

  • 正弦波
  • 矩形波
  • 三角波
  • ランプ信号
  • ノイズ信号
  • パルス信号
  • CSVファイルで規定した信号
  • オーディオファイルの信号
  • AM変調波
  • FM変調波
  • 特殊な関数で演算処理した信号

性能の範囲内であれば、まさに任意の波形を出力できると言えます。

ネットワークアナライザ

Analog Discovery2のネットワークアナライザはオシロスコープと信号発生器を組み合わせて使用する機能です。そのため性能についても入力がオシロスコープ、出力が信号発生器といった感じになります。

注意点としては、一般的なネットワークアナライザとは測定系のインピーダンスが異なるという点です。

例えば NanoVNAのような高周波用のネットワークアナライザは、50Ω系で回路の動作を計測します。一方でこのAnalog Discovery2のネットワークアナライザは、信号発生器の出力インピーダンスが低く、オシロスコープの入力インピーダンスが高い状態で回路の動作を計測します。

この2つの違いは、例えばAC解析とSパラメータ解析の違いとも言えるかもしれません。いずれにしても測定原理が異なるという点は、使用前に知っておくべきです。

 

使用例

先ほど紹介した3つの計測機能の実際の使用例を紹介します。

実験用の回路は、入力信号に対して振幅が10倍で、かつ極性が反転した信号が出力される反転増幅回路です。反転増幅回路の動作については以下の記事で解説しています。

【図解】オペアンプの代表的な3つの回路この記事では、オペアンプを用いた3つの代表的な回路(反転増幅回路、非反転増幅回路、ボルテージフォロワ)について、多数の図を使って徹底的に...

時間領域の測定

反転増幅回路に信号発生器から信号を入力して、出力信号をオシロスコープを使って測定します。

ここでは実験を行いやすいように、ブレッドボード用のアダプター基板と使ってAnalog Discovery2もブレッドボードに接続しています。

信号発生器から出力する信号はWaveFormsの中の「Wavegen」から設定することができます。ここでは振幅が1Vで、周波数が100Hzの正弦波を出力します。

オシロスコープの方はWaveFormsの中の「Scope」から起動でき、Runボタンをクリックすると波形が表示されます。

オシロスコープの設定方法は他のオシロスコープとほとんど同じで、波形が見やすいようにスケールやオフセットを調整できます。また波形の数値を確認したい場合は、Measurement機能を使って振幅を表示したり、周波数を表示したりすることもできます。

周波数領域の測定

ネットワークアナライザの機能を使う場合は「Network」から起動できます。

このネットワークアナライザでは回路の周波数特性を確認することができ、周波数範囲と
入力電圧を設定してRunをクリックすれば、ゲインと位相の周波数特性を確認することができます。

このように1つの計測器だけで時間領域と周波数領域の測定がシームレスに行えるというのが、Analog Discovery2no非常に使いやすいポイントです。

 

 

おわりに

今回はわたしが普段から愛用している計測器「Analog Discovery2」について紹介しました。

正直使い勝手などは記事の中だけでは中々伝えきれませんが、便利でコスパの良い計測器というのは伝わったのではないでしょうか。

記事の中でもお伝えしたように、円高によってやや価格が高くなってしまいましたがそれでも手元に1台持っておいて損はない計測器と言えます。これから電子工作に本気で取り組んでみたいという方には、非常におすすめです。

また Analog Discovery2の使い方については「トラ技SPECIALのNo.145」の中で内部の回路構成とともに解説されています。

こちらも興味のある方は、チェックしてみると勉強になりますよ。

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今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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