基礎

バランの原理

平衡回路と不平衡回路の変換に使用されるバラン。

今回はそんなバランの「原理」について解説します。

動画はコチラ↓

 

バランが使用される理由

平衡回路と不平衡回路の変換は、主にアンテナと同軸ケーブルを接続するときに必要となります。

ダイポールアンテナを始めとして多くのアンテナは平衡回路に分類され、一方のエレメントがプラス、もう一方のエレメントがマイナスとなって電波を送受信します。

対して同軸ケーブルは中心導体と外導体から構成されますが、このうち外導体は基準電位となるGND、つまり電位は0Vとなっており、中心導体と電位の釣り合いが取れていない不平衡回路となります。

 

そしてこの平衡回路のアンテナと不平衡回路の同軸ケーブルを、例えば同軸コネクタを使って直接接続したとすると、平衡性のバランスが崩れてしまい、そのことで同軸ケーブル上に
コモンモードノイズを発生させます。

このコモンモードノイズは、本来放射しないはずの同軸ケーブルからノイズが放射される原因となり、そのため平衡回路と不平衡回路の接続にあたっては回路を変換するための部品「バラン」が必要となります。

 

平衡ー不平衡変換の原理

バラン「Balun」は、平衡を意味する「Balanced」と不平衡を意味する「Unbalanced」のそれぞれの先頭の文字とったもので、日本語にすると「平衡ー不平衡変換器」となります。

そしてその変換にあたっては、多くの場合コイルの電磁誘導を利用して「平衡回路→不平衡回路」あるいは「不平衡回路→平衡回路」に変換します。

代表的なものとしては、トロイダル状のものやバー状のものなどがありますが、コイルの部分を回路図として表すと、同じ向きのコイルが3つ並列に並んでおり、それぞれの巻き始めと巻き終わりが接続されたものとなっています。

ただしこれだけ見てもどのように機能するのかイメージしづらいかと思います。

そこでアンテナと送信機まで含めて図示したものが次の図となります。

この図において、送信機からの出力は不平衡回路となっており同軸ケーブルを介してL1とL2に電流が流れます。このときL3には、不平衡回路に流れる電流の磁束によって逆向きの電圧、いわゆる逆起電力が発生します。

またL2とL3の巻数が同じであれば、GNDの0Vを基準として正負逆向きの電圧がそれぞれのコイルに掛かるということで、この両端の電圧を取り出せば不平衡回路の電圧から平衡回路の電圧を取り出すことができます。

これがバランの不平衡回路を平衡回路に変換する原理となります。

 

平衡回路から不平衡回路に変換する場合も基本となる考え方は同じです。

平衡回路を流れる電流によってL1に逆起電力が発生し、L1とL2の両端に掛かる電圧を
取り出すことで、平衡回路から不平衡回路に変換したことになります。

コイルがズラッと並んでいて、一見すると難しそうに見えるかもしれませんが、1つずつの役割を整理していけばそれぞれの役割が理解できるかと思います。

焦らずじっくり、見てみてください。

 

バランのタイプ

バランには「電圧型」と「電流型」の2つのタイプがあります。

ここで解説したのは電圧型のバランで2つのコイルに逆向きの電圧が発生することで平衡回路と不平衡回路を変換していましたが、電流型のバランの場合は同軸ケーブルとアンテナ間に直列にコイルを挿入します。

直列にコイルを挿入すると、不平衡回路の信号源から中心導体側に行きの電流が流れますが、このときに対向するコイルの方に行きの電流を打ち消そうとする向きで帰りの電流が流れます。

つまりアンテナのエレメントにはそれぞれ逆向きの電流が流れ、また同軸ケーブルの外導体と中心導体にもそれぞれ逆向きの電流が流れるということで、これも平衡回路と不平衡回路の変換器として作用していることになります。

勘の良い方はお気づきかと思いますが、この電流型のバランはコモンモードチョークコイルと同じ回路記号です。

これはつまり、コモンモードチョークコイルがバランとしても使用できるということを意味しています。

 

おわりに

今回の記事ではバランの「原理」について紹介しました。

高周波の回路では特に平衡回路と不平衡回路の変換にあたって、コモンモードノイズが発生することから、バランの重要性は非常に高いです。

原理そのものは少し難しいかもしれませんが、高周波回路やアンテナを扱う上では非常に重要となるものなので、以下のことは最低限理解しておくと良いかと思います。

  • 平衡回路と不平衡回路を変換できる
  • バランを使用しないとコモンモードノイズが発生する
  • 電圧型と電流型がある

 

今回は以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

ABOUT ME
エンジャー
EMCやノイズ対策に関する情報発信を日々行っています。 ( iNarte EMC Engineer、第一級陸上無線技術士)

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