GSCF?
NSA評価で出てくる用語ですが、あまり聞き慣れませんよね。
そこで今回の記事では、「GSCFとは何か」について紹介します。
GSCFとは
GSCFは「Geometric Specific Correction Factor」の略で、日本語にすると「幾何学的補正係数」と訳されます。
用語を見かける機会が少ないのにも理由があります。
それは「NSA測定」でのみ、使用する補正係数だからです。
(普段のエミッション試験では使用しないため。)
NSA測定に関して知りたい方はコチラ。
GSCFを簡単に説明すると、「NSA測定のためのアンテナファクタ」と言えます。
アンテナファクタについては、コチラの記事をチェック。
アンテナファクタを測定するときには、グランドプレーンが測定結果に影響を与えます。
GSCFにおいても同様で、測定結果には近傍界の影響、アンテナ間の相互結合、アンテナとグランドプレーン間の相互結合などの影響が含まれます。
近傍界の影響については、以下の記事で解説しています。
そのため、GSCFの測定方法は「ANSI C63.5 Annex H」で規定されています。
ANSI C63.5 は、2017年版がKECから対訳本が出版されています。
日本語の資料が必要な方は、チェックしてみてください。
ちなみに英語版はIEEEのウェブサイトから購入できます。
https://www.techstreet.com/ieee
GSCFの適用範囲
GSCFの補正は「広帯域アンテナ」に適用されます。
ここで注意すべきこととして、バイコニカルアンテナの周波数帯域が挙げられます。
バイコニカルアンテナのGSCFは「ANSI C63.5 Annex G」で規定されていますが、その周波数範囲は「30MHz ~ 200MHz」です。
バイコニカルアンテナは、周波数帯域が「30MHz~300MHz」のものが多くありますが、「200MHz~300MHz」の周波数範囲ではGSCFの適用範囲外となります。
そのためNSA測定で広帯域アンテナを使用する場合、200MHz以上の周波数では「ログペリオディックアンテナ」を使用します。
ログペリオディックアンテナのGSCFは、先述の ANSI C63.5 Annex H で規定された測定によって求めます。
GSCFの適用方法
GSCFは、NSA測定時に通常のアンテナファクタに加えられる形で適用されます。
バイコニカルアンテナ(30MHz~200MHz)に対しては
自由空間アンテナファクタ + ANSI C63.5 Annex Gに記載されたアンテナファクタ
ログペリオディックアンテナ(200MHz~1000MHz)に対しては
自由空間アンテナファクタ + ANSI C63.5 Annex Hの条件で測定したアンテナファクタ
GSCFの測定方法や算出方法については、ETS-Lindgrenのエンジニアの Chen 氏が解説しているので、そちらを参考にしてください。
Regarding the Creation and Use of Dual Antenna Factors for Use in NSA Measurements
おわりに
「GSCF」の概要と適用時の注意事項について紹介しました。
出題される可能性は低いかもしれませんが、一応 iNarte資格試験の試験範囲にも含まれるため知っておいて損はないと思います。
iNarte資格試験の出題範囲、および勉強方法についても紹介しているので興味のある方はチェックしてみてください。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。