EMI試験といえば、VCCI規格と思っている方も多くいるかと思います。
それだけ日本のEMI試験のなかで「VCCI」がメジャーということのなのですが、VCCI規格はマルチメディア機器を対象とした規格なので注意が必要です。
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VCCI協会とは
情報処理装置、電気通信機器および電子事務用機器からの妨害波がもたらす障害を自主的に防止することを目的に設立された団体です。
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母体は、日本電子工業振興協会(JEIDA)、(社)日本事務機器工業会(JBMA)、(社)日本電子機械工業会(EIAJ)、通信機械工業会(CIAJ)の4つ団体です。
適用範囲
マルチメディア機器の定義としては
MMEとは情報技術装置(ITE)、オーディオ機器、ビデオ機器、放送受信機、娯楽用照明制御装置又はこれらの組合せであり、搭載された基本的な機能、例えば、単一のメディア又はマルチメディアのコンテンツの表示、記録、処理、制御、伝送又は受信することなどに関連します。コンテンツは、個別のデータ、オーディオ、ビデオ又はそれらの組み合わせでもよく、2 つ以上の主機能を持っていることがあり、例えば、基本的なテレビジョン受信機の主機能には、放送受信、オーディオ再生、及び表示を含んでいます。
ただし、次に該当する場合は、本規程の適用を除外することも可能としています。
1.情報技術装置としての機能が主機能と考えられないMME 又は情報技術装置としての機能を含まないMME。
2.MME に該当する場合であっても、既に国内で本規程と同様の主旨をもつ他の規格又は法律が適用されている機器。例えば、電波法令に規定される無線伝送及び無線受信を主機能とするすべての無線専用装置、並びに電気用品安全法令に規定される電気用品。3. 本規程が対象とする周波数範囲のエミッション要求事項が明確に他のCISPR 規格(CISPR 13 及びCISPR 22 を除く)に規定されている機器。例えば、工業・科学・医療用装置(ISM 機器)専用のMME、車載専用MME。
4. 電気通信回線設備を設置して電気通信役務を提供する事業者が管理する建物内にのみ設置される電気通信施設用物品。
5. 広帯域電力線搬送通信設備。(電波法施行規則44条第2項2号:2 MHz~30 MHz の電力線搬送通信設備)
6. 消費電力が 6 nW 以下のMME。MMEの定義
一般財団法人 VCCI協会
イメージとしてはこんな機器が対象です。
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上記の文章がわかりにくければ、FAQなどを参考にしてみてください。
http://www.vcci.jp/faq/general/subj-pc_telecom_av/
試験内容
VCCI規格は会員にしか公開されていませんが、「CISPRJ 32」には VCCI規格と同じような内容が記載されているため、非会員の方はこちらを参照ください。
CISPRJ 32 http://www.cisprj.jp/doc/CISPRJ_32_2017.pdf
VCCI規格の主な試験項目には「放射エミッション」と「伝導エミッション」があります。
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VCCI規格(CISPR32)が他の規格と少し異なる点としては、放射エミッション試験において、機器内で使用する最高周波数によって「1GHz超の放射エミッション試験」が必要となることです。
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伝導エミッション試験では、EUTの構成によっては「AC電源ポート」以外に「アナログ/デジタルデータポート(通信ポート)」や「放送受信機チューナーポート」の試験も行う必要があります。
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おまけ
おそらく一般にはほとんど認知されていませんが、VCCIには「エミー」という「ゆるキャラ?」が存在します。
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電磁波の波を意識した手足になっていますが、頭の形などが某ネズミを彷彿とさせますね。
おわりに
VCCI規格の概要について紹介しました。
会員になっている方は、VCCI協会の会員ページにて詳細を確認してください。
非会員の方は、CISPRJ32がほとんどVCCI規格と同じなのでそちらをご確認ください。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。