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プリント基板の種類と特徴

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この記事では代表的なプリント基板の種類とそれぞれの特徴について解説しています。

動画はこちら↓

 

ガラスエポキシ基板(FR-4)

ガラスエポキシ基板はリジッド基板の一種で、布状に編んだガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸したコア材で構成されています。

プリント基板の中で最も幅広く利用されており、ガラエポ基板と呼ばれることも多いです。

メリット

ガラスエポキシ基板の特徴は、価格が安いことが挙げられます。この理由は幅広い用途で使用されていることとも関連しますが、流通量が多いことによって単価が下がりやすいためです。

また基板構成についても、片面基板だけでなく両面基板や多層基板を作りやすく、難燃性や耐久性も優れているため使いやすい材質と言えます。

デメリット

一方で短所としては、加工性がやや悪いことが挙げられます。

プリント基板の製造では1枚の大きな基板に複数の基板を面付けしてカットしますが、このときにバリが発生しやすい傾向にあります。

このバリについては、粉塵を発生させることによって導通不良につながってしまうこともあるため、プリント基板を製造したときにはチリやホコリが基板に付着していないか確認しておくことが大切です。

その他

高温環境で使用する場合には、FR-4の耐熱性能を向上させたFR-5が使用されます。このFR-5のガラスエポキシ基板は、車載などの用途で使用されています。

 

 

紙フェノール基板(FR-1)

紙フェノール基板は、紙にフェノール樹脂を含浸したコア材を使用したプリント基板です。ベーク基板と呼ばれることもあります。

メリット

紙フェノール基板は、プリント基板のコア材のうちで最も安価な材質として知られており、そのため安価な電子機器や白物家電などでよく使用されています。

デメリット

紙フェノール基板は基本的に片面基板として使用されることがほとんどです。この理由は耐久性が低く反りやすいためで、両面基板や多層基板には適していません。

また難燃性や吸水性も優れないため、あまり過酷な環境で使用することもできません。

 

テフロン基板(PTFE)

テフロンはデュポン社が販売していたフッ素樹脂(PTFE)の名称です。フライパンなどにテフロン加工という名前で見かけることもあるかと思います。

テフロン基板については、特に高周波回路用のプリント基板として使用されることが多いです。その理由としては、テフロンの誘電体としての性質が高周波信号の伝送に適しているためです。

メリット

テフロンは比誘電率ε’が低く、誘電正接tanδも小さいという特徴を持ちます。

このうち誘電正接は高周波信号のロスに直結するパラメータで、高周波信号を扱う電子機器では誘電正接が小さいことが非常に重要です。

デメリット

テフロン基板については、一般的なガラスエポキシ基板と比較して価格はかなり高くなっています。

そのため高周波においても、回路的な工夫を加えたりしてガラスエポキシ基板が使えるように対処することもあります。

 

 

LTCC基板

LTCC基板はアルミナ(セラミックス)にガラスを加えたコア材を使用したプリント基板です。

LTCCという用語は「Low Temperature Co-fired Ceramics」の頭文字を取ったもので、従来のセラミックス基板よりも低温で焼成した基板です。

メリット

LTCC基板も高周波回路用のプリント基板として使用されることが多いです。

テフロン基板との違いとしては回路素子を基板内層に構成したり、半導体のベアチップが実装できるなどの特徴があります。

また導体層についても導電率が高い銀が使用されており、このことも信号のロスが少ない1つの要因となっています。

デメリット

一方で短所については価格が高いということももちろんですが、それ以外に欠けや割れが発生しやすいことが挙げられます。

これはセラミックスという材料の性質上仕方がないところもありますが、ちょっとした衝撃が加わっただけで破損してしまうため取り扱いが難しい基板と言えます。

 

アルミ基板

アルミ基板は金属をコア材として使用したプリント基板です。

メリット

アルミ基板の構成としては、アルミ板の上に薄い基板を貼り付けた構造となっており、比較的安価でありながら高い熱伝導性と放熱性を持っています。

金属は基本的に熱伝導率が高いため部品から生じた熱を基板全体に拡散しやすく、LED照明用の基板として使用されることが多いです。

また片面基板の場合は、裏面にヒートシンクを実装することで放熱性能をさらに向上させることもできます。

デメリット

両面基板や多層基板については、銅箔を積層したりあるいはアルミ板にスルーホールを設けることによって対応可能となっています。

ただし、一般的にはあまり使用されておらず、限られた用途でのみ使用されているものとなっています。

 

 

フレキシブル基板(FPC)

フレキシブル基板は、コア材に柔らかい材質のものが使用されたプリント基板です。

英語の 「Flexible printed circuits」の頭文字を取って「FPC」と呼ばれたり、「フレキ」や「フレキ基板」と呼ばれることもあります。

構成

フレキシブル基板の構成は基本的にリジッド基板と似ていますが、コア材が「ベースフィルム」に、ソルダーレジストが「カバーレイ」に置き換わっています。

メリット

フレキシブル基板の特徴は、何と言っても薄くて曲げられることです。

プリント基板同士を狭い隙間を介して接続する場合のケーブルとして使用されることが多く、液晶モニターが搭載されている各種電子機器においては必ずと言ってよいほど使用されています。

耐熱性

ベースフィルムが「ポリイミド」で構成されていることから、耐熱性が非常に高いです。そのためガラスエポキシ基板と比較して、高温環境で使用することができます。

またカバーレイも非常に薄いポリイミドフィルムをラミネートすることで構成されており、高い耐熱性を持つことはもちろん、絶縁性能も優れているため薄型化に向いています。

デメリット

フレキシブル基板も電子部品を実装して使用することも可能ですが、コストが非常に高くなるためあまり使用されていません。

どちらかというと、印刷可能な薄くて柔らかいケーブルとして使用されることが多いです。

 

おわりに

今回はプリント基板の種類とそれぞれの特徴について解説しました。

それぞれの特徴をきちんと理解して、適切な材質、層構成を選択しできるようになることが大切です。

今回解説した内容については普遍的に役立つ知識になっているので、ぜひとも製品開発に役立ててください。

 

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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