商用電源(50Hz/60Hz)によって発生する磁界のノイズ耐性を評価する試験が「電源周波数磁界イミュニティ試験」です。
適用機器があまり多くないこと、誤動作する機器が少ないこともあって試験として重要視される機会は少ないです。
ただし「iNarte資格試験」の出題範囲には入っているので、受験される方は知っておいて損はないと思います。
そこで、今回の記事では「電源周波数磁界イミュニティ試験」の概要について紹介します。
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試験レベル
電源周波数磁界磁界イミュニティ試験では「連続磁界」による試験レベルと「短時間磁界」による試験レベルが分かれています。
連続磁界試験は、供試品の周囲で連続的に動作する機器からの商用周波数による磁界を模擬した試験となります。
例としては、以下のようなケースが想定されています。
- オフィスなどで様々な電子機器が動作している環境(商業用区域)
- 工場などで装置が並んで動作している環境(工業用区域)
- 発電所、変圧設備
これらのケースにおいて、通常は定格動作によって定常的な強さの磁界が発生します。
「連続磁界」はそれらを模擬したものです。
一方の「短時間磁界」は、周辺の機器が例えば短絡などによって瞬時的に大きな電流(磁界)が発生することを模擬したものです。
短時間磁界は、時間的には短い(1~3秒)ですが電流値が大きいため磁界強度も大きくなります。
それぞれの試験レベルを比較してみるとわかりやすいですね。
ちなみにこの磁界強度がどの程度の強さなのか?
人体への電磁界の曝露量を規定した規格「ICNIRP」と比較してみます。
「ICNIRP:1988 general public」で考えると、「50Hz」において「80A/m」、「60Hz」において「66.7A/m」となります。
磁界イミュニティ試験のレベルでいうとレベル4~5の間ですね。
簡単のために直流電流による大きさに換算してみます。
電流値を求める式に変形します。
電線からの距離を「1m]とし、磁界強度に「80A/m」を代入すると電流値が求まります。
I = 2*π*1*80 ≒ 500[A]
このように考えると「ICNIRP」による曝露量は、一般の職業環境においては高い基準に設定されていることがわかりますね。
試験コイル
電源周波数磁界イミュニティ試験の話に戻します。
試験に使用するコイルは、卓上用の「1m✕1m標準コイル」と主に床置き用の「1m✕2.6m標準コイル」が規定されています。
さらにコイルや供試品の向きを変えて、「X方向」「Y方向」「Z方向」から印加します。
その他のコイルとして、低い試験電流を求めるため、多巻コイルを用いてもよいこととなっています。
ただし、供試品の容積全体にわたる磁界の発生許容変動値の公差がは±3dBとする必要があります。
それぞれのコイルに必要な電流値も規格で規定されています。
コイルをカスタムで作成する必要がある場合に、参考にしてください。
おわりに
電源周波数磁界イミュニティ試験「IEC61000-4-8」の概要について紹介しました。
あまりメジャーな試験ではないですが、「iNarte資格試験」を受験する方は知っておいて損はないと思います。
高価な規格書を購入できない方は「kikakurui.com」や「JISハンドブック」で試験対策するのがおすすめです。
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他の「IEC61000-4シリーズ」の試験については、下記のリンクからチェックできます。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。