同軸コネクタは種類によって周波数帯域が制限されるので、測定帯域によって最適なコネクタを選定する必要があります。
そこで今回の記事では、同軸コネクタの種類とそれぞれの特徴について紹介します。
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同軸コネクタの周波数帯域
EMC試験でよく使用する同軸コネクタとして、以下のものが挙げられます。
- BNCコネクタ
- N型コネクタ
- SMAコネクタ
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さらに高い周波数帯(マイクロ波、ミリ波)などになってくると、さらに別のコネクタが存在しますがEMC試験では使用しません。
それぞれの同軸コネクタの周波数帯域を並べると図のようになります。
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何気なく使用している同軸コネクタですが、種類によって特性が大きく異なることがわかりますね。
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BNCコネクタ
伝導エミッション試験などの低周波のEMC試験でよく使用されるコネクタです。
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ツイストロック機構によって接続が容易なことが特徴です。
EMC試験以外でも、一般の計測器、カメラ、オシロスコープなどで使用されているので目にする機会が最も多いコネクタですね。
周波数帯域は「DC~2GHz」となっていますが、EMC試験では 1GHz以上の周波数帯で使用することはありません。
1GHz以下の放射エミッション試験用として、BNCコネクタを使用していることはどの試験所も恐らくないと思います。
注意事項
注意点としては、50Ω系コネクタと75Ω系コネクタが存在します。
手持ちのコネクタがどちらかわからない場合は、絶縁体の形状を確認してどちらのコネクタなのか確認しましょう。
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ちなみに、EMC試験用は50Ω系コネクタです。(75Ω系コネクタはビデオ信号の伝送に使用されます)
N型コネクタ
1GHz以下の放射エミッション試験でよく使用されるコネクタです。
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放射エミッション用のアンテナの出力のほとんどはN型コネクタですね。
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N型コネクタは嵌合部が大きいので機械的強度があり、かつ高い電力を伝送できます。
周波数帯域は最大 18GHzまで可能となっていますが、経験的には 6GHz以下で使用することが多いです。(とはいえ、DC~18GHz のダブルリッジドガイドホーンアンテナの出力コネクタもN型なので、6GHz以上で使用しても問題ないでしょう)
注意事項
BNCコネクタと同様に、75Ω系のN型コネクタが存在します。
N型コネクタの場合は中心導体の形状で見分けます。
75Ω系のコネクタは50Ω系と比較して、中心導体が細くなっていますので注意深く確認してみましょう。
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SMAコネクタ
主に1GHz超の放射エミッション試験で使用されるコネクタです。
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アンテナには使用されていませんが、プリアンプの入出力などで使用されています。
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もともとはマイクロ波帯の通信機に使用されていたもので、接続時にトルクレンチで締結することが特徴です。
接続の信頼性が高く、かつ18GHzまでの高周波で使用することができます。
注意事項
SMAコネクタと似たものに「3.5mmコネクタ」と「2.94mmコネクタ」があります。
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どちらも高精度な測定が要求される箇所に使用されていますが、SMAと接続互換になっているので、気づかずにSMAコネクタと接続しまうことがあります。
しかし異種コネクタの接続は、コネクタにダメージを与えて故障の原因となるため、注意する必要があります。
3.5mmコネクタ
3.5mmコネクタは見た目はほとんどSMAコネクタと同じですが、内部の絶縁体が空気になっています。
ネットワークアナライザ や EMIレシーバ の入力コネクタには 3.5mmコネクタが使用されています。
2.94mmコネクタ
2.94㎜コネクタは40GHzまで使用することができるので、FCC規格の試験をする場合などで使用するかもしれません。
EMC試験ではあまり目にする機会はありませんが、一応注意を払っておきましょう。
おわりに
それぞれの同軸コネクタの特徴を紹介しました。
まずは周波数帯域ごとに使い分ける。
その上で各コネクタの注意点を理解することが大切です。
EMC試験などの高周波の測定においては、同軸コネクタは切っても切れない関係にあるので、正しい知識を習得しましょう。
今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
YOUTUBEよく見ています。お願いあります。SMA(雄)ケーブルとSMB(雌)基板側は勘合できるのでしょうか?
短期間(1時間ほど)の用途に使います。よろしくご教示お願いいたします。
SMBコネクタはほとんど使用したことがありませんが、そもそもSMAと嵌合しますか?
それほど高価ではないので、変換コネクタを使用した方が良いような気がします。
あまり参考にならなくて申し訳ないです。。。