今回も引き続き、AppCADによる iNarte 資格試験の回答術をご紹介します。
リターンロス
まずはリターンロスに関する問題です。
問題
”出力インピーダンスが 50 Ω の機器から、入力インピーダンスが 75 Ω の機器に10dBm の信号を入力した。この時、機器に伝達される電力は信号源電力の何パーセントになるか、また反射電力の大きさは何デシベルになるかそれぞれ回答せよ。”
解答
Appcad を起動して「Signals Systems」から「Reflection Calclator」を選択します。
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まず信号源の出力インピーダンスが 50 Ω であることを確認します。
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次に信号を受ける機器の入力インピーダンスを75 Ω に変更します。
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ここで「Transmission CVoefficient」を確認すると、T = 0.960 、つまり機器に伝達される電力が 96% であることがわかります。
次に入射電力を10 dbm に変更します。
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ここで「 Pr 」を確認すると
Pr = -3.979 dBm 、つまり反射電力は約 -4dBm であることがわかります。
これで終了です。
今回も非常に素早く回答できしました。
計算方法
計算で求める場合は、下記の数式から求まります。
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ここで Z0 = 50 Ω、Zin = 75 Ω を入力し反射係数を求めます。
Γ = (75-50) / (75+50) = 0.2
機器に伝達される電力を反射係数から求めます。
T = 1 – (0.2)^2
= 1 – 0.04
= 0.96 = 96 %
さらに反射係数からリターンロスを求めます。
|RL| = | 20 * LOG (0.2) |
= | 20 * LOG (⅕) |
= 20 * LOG (5)
= 13.979 dB
このリターンロスは 反射電力の比を表したものです。
入射電力の大きさが10 dbm の場合は、 10 dbm から 13.979 dB を引いて、反射電力の大きさを求めます。
Pr = 10 – 13.979 = -3.979 ≒ -4 dBm
計算自体はそれほど複雑ではないですが、やはり AppCAD で求めたほうが簡単ですね。
VSWR
つぎに同じく 「Reflection Calclator」 を使って、VSWRから入力インピーダンスを求めてみます。
問題
”出力インピーダンスが 50 Ω の機器から見たアンテナの VSWR が 3.3 であった。このときのアンテナの入力インピーダンスを求めよ。”
解答
この問題は非常に簡単です。
SWR に 3.3 と入力します。
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入力インピーダンスが 165 Ω と一瞬で求まりました。
おわりに
2回にわたって AppCAD を使用した iNarte 資格試験の回答法をご紹介しました。
与えられた条件の中で効率よく回答することは、試験対策だけでなく実務でも重要なことだと思います。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。