前回は AppCAD の概要についてご紹介しました。
今回は AppCAD を iNarte資格試験で活用する方法をお伝えします。
同軸ケーブルの特性インピーダンス
まずは同軸ケーブルの特性インピーダンスを求める例です。
AppCAD を立ち上げて、「Transmission lines」から「Coax(Round)」を選択します。
![](https://i2.wp.com/engineer-climb.com/wp-content/uploads/2019/01/coax0.png?fit=840%2C596&ssl=1)
問題
”同軸ケーブルの誘電体がポリエチレンで、内導体の半径が 1.4 mm 、外導体の半径が 4.8 mm のときの特性インピーダンスを求めよ。”
解答
さあ、AppCAD で計算してみましょう。
まずAppCAD で気を付けなければならないのは「単位」です。
デフォルトでは「mils」となっているので 「mm」に変更します。
![](https://i0.wp.com/engineer-climb.com/wp-content/uploads/2019/01/coax1.png?fit=840%2C627&ssl=1)
単位の変更は忘れないように、必ずしっかりとチェックしてください。
次に「誘電体」のプルダウンメニューから「ポリエチレン」を選択します。
![](https://i0.wp.com/engineer-climb.com/wp-content/uploads/2019/01/coax2.png?fit=840%2C646&ssl=1)
そして、「内導体」と「外導体」の寸法を入力した後に、 「F 4キー」を押すと特性インピーダンス が求まります。
![](https://i0.wp.com/engineer-climb.com/wp-content/uploads/2019/01/coax3.png?fit=840%2C555&ssl=1)
49.3 Ω、つまり約 50 Ωであることがわかります。
非常に簡単ですね。
計算方法
同軸ケーブルの場合、 数式を覚えていれば、関数電卓を使って簡単に計算できます。
![](https://engineer-climb.com/wp-content/uploads/2019/01/coax_calc-1.gif)
しかし覚えていない場合、数式を探すために回答に時間がかかります。
その時間や手間を考えると、AppCAD で数値を入力する方がはるかに効率的です。
試験中は時間との戦いでもあるので、効率よく回答することは非常に重要です。
マイクロストリップラインの特性インピーダンス
次にマイクロストリップラインの特性インピーダンスを計算してみましょう。
同じく 「Transmission line」から「Microstrip」 を選択します。
![](https://i2.wp.com/engineer-climb.com/wp-content/uploads/2019/01/msl0.png?fit=840%2C602&ssl=1)
問題
”基板の誘電体が FR 4で、線幅 2 mm 、誘電体の厚み 5 mm 、導体厚み 35 umのマイクロストリップラインの特性インピーダンスを求めよ。”
解答
先ほどと同じようにまず単位を「 mm 」に変更します。
![](https://i2.wp.com/engineer-climb.com/wp-content/uploads/2019/01/msl1.png?fit=840%2C591&ssl=1)
次に誘電体のプルダウンメニューから 「FR -4」を選択します。
![](https://i1.wp.com/engineer-climb.com/wp-content/uploads/2019/01/msl2.png?fit=840%2C641&ssl=1)
そして線幅、誘電体の厚み、導体厚みを順に入力します。
最後に F 4キーを押すと、特性インピーダンスが 100.7 Ωと求まります。
![](https://i1.wp.com/engineer-climb.com/wp-content/uploads/2019/01/msl3.png?fit=840%2C591&ssl=1)
いかがでしたでしょうか。
こちらもすごく簡単に答えが求まりましたね。
計算方法
ちなみにマイクロストリップラインの特性インピーダンスを求める数式は
![](https://engineer-climb.com/wp-content/uploads/2019/01/msl_calc.jpg)
こちらは式を知っていても計算が複雑です。
AppCAD を使わない手はないですね。
おわりに
今回はAppCAD で特性インピーダンスを求める方法についてご紹介しました。
計算が苦手という方も、AppCAD を使えば効率よく回答することが可能になります。
AppCAD にはまだまだたくさんの機能があるので、今後も iNarte資格試験での活用を主眼に置いて機能をご紹介したいと思います。