Altium Designer

Altium Designer を使ってみた(9)【プロジェクトリリース】

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Altium Designerチュートリアル解説の第9回目。

前回は、プリント基板設計のDRCを行いました。

今回は、チュートリアルで作成したプリント基板のプロジェクトをリリースしていきます。

  1. プロジェクト作成
  2. コンポーネント(部品)データ取得
  3. 回路図作成
  4. 回路のデザインルールチェック(DRC)
  5. プリント基板作成
  6. 部品配置・配線
  7. プリント基板のDRC
  8. プロジェクトリリース

 

プロジェクトリリースのための準備

設計したプロジェクトをもとにプリント基板を製造するために、ここでは 5種類のファイルを出力します。

  • ガーバーファイル
  • NCドリルファイル
  • 検証レポート
  • 部品表 (BOM)
  • Pick & Place ファイル

これら 5つのファイルは、出力ジョブの中で出力種類を割り当てることによってプロジェクトリリースが行われます。

そのため、まずはプロジェクトに出力ジョブ(OutputJobファイル)を作成します。

出力ジョブを生成するには、プロジェクトツリーの「Tutorial.PrjPcb」を右クリックして「新しいドキュメントをプロジェクトに追加」→「Output Job File」を選択します。

するとプロジェクトツリーに「Job1.OutJob」というファイルが追加されるので、ファイルの名称を「Fabrication.OutJob」に変更します。

 

 

ガーバーファイル出力

プリント基板の設計情報をガーバーデータとして出力します。

ガーバーファイルの出力は、「Fabrication Outputs」→「Add New Fabrication Output」をクリックして、そこから「Gerber Files」→「PCB Document」を選択します。

続いて生成された PCB Documentをダブルクリックして、設定ダイアログを開きます。

ここでは設定を次のように変更します。

  • 単位(全般):ミリ
  • 数値フォーマット(全般):4:3
  • 出力レイヤ(レイヤ):使用をオン
  • 原点位置(詳細設定):相対原点(ユーザ指定原点)

 

NCドリルファイル出力

次にドリルファイルを出力します。

ドリルファイルの出力は、「Fabrication Outputs」→「Add New Fabrication Output」をクリックして、そこから「NCDrillFiles Files」→「PCB Document」を選択します。

そして生成された をダブルクリックして、ガーバーデータと同じように設定します。

  • 単位:ミリ
  • 数値フォーマット:4:3
  • NC原点:相対原点(ユーザ指定原点)

出力コンテナへマッピング

「ガーバーファイル」と「NCドリルファイル」の 2つの異なるデータをまとめて管理するために、コンテナフォーマットを使用します。(コンテナフォーマットを使用することで、個別のデータをあたかも単一ファイルとしてを扱えるようになります)

Altium Designerでは、それぞれのファイルを出力コンテナのリストにマッピングすることで新たなフォルダが生成されます。

マッピングにあたっては、まず出力種類の中から「Folder Struc」を選択し、ガーバーファイルとNCドリルファイルの右端のラジオボタンを有効にした上で「変更」をクリックします。

Folder Structure settingsのウィンドウが起動したら、「詳細設定」→「出力オプション」の「生成した出力を開く」と「生成ファイルをプロジェクトに追加」にチェックが入っていることを確認して「OK」をクリックします。

 

 

検証レポートファイル出力

DRCのレポートを生成するためのファイルを新たに作成します。

レポートファイルの出力は、「Validation Outputs」→「Add New Validation Output」をクリックして、そこから「Design Rules Check」→「PCB Document」を選択します。

続いて右側の出力種類のリストから「Folder Strc」を選択した上で、Design Rules Checkのファイルのラジオボタンを有効にして、プロジェクトツリーから「Fabrication.OutJob」を保存して閉じます。

 

部品表(BOM)の生成

Altium Designerの部品表(BOM:Bill Of Materials)は、単純な部品リストではなく、ディストリビューター、価格、代替部品なども同時に表示することができます。

部品表を作成するにあたっては、メニューバーの「ファイル」→「新規」→「ActiveBOMドキュメント」を選択します。

するとチュートリアルで使用している部品が「Tutorial.BomDoc」というファイルにリストとして表示され、右端には部品のステータスがアイコンで表示されます。

そして各部品を選択すると画面下部に星(ランク)が表示されるので、ここでは全ての部品を星5に設定します。

すると「BC547CG」以外のステータスアイコンが白色から緑色のチェックマークに変化します。

※この時点では「BC547CG」は赤色のアイコンのままで問題ありません。またサプライヤーの供給状況によっては、それ以外の部品でも赤色のアイコンで表示される可能性があります。

「BC547CG」に関しては、画面下部の詳細情報を見ると「Obsolete(廃止)」となっており、さらに画面右下の「BOM Checks」を確認すると部品が EOL:End of Lifecycle(生産終了) となっていることがわかります。

そのため「BC547CG」に対して代替部品を割り当てます。

代替部品を選ぶにあたっては、画面下部の「Add Solution」のプルダウンメニューから「Create/Edit PCL」をクリックします。

すると「Edit Part Choices」のウィンドウが起動するので「Add」をクリックします。

続いて「BC547CG」と似たような部品を選ぶために、検索欄に「BC547C」と入力し、検索結果から所望の部品を選択します。

ここでは「BC547CTFR」を選択して「OK」をクリックします。

次に「Edit Part Choices」で 2つの部品がリストアップされていることを確認したら、もう一度「OK」をクリックします。

そして「BC547CG」の星(ランク)を1つに、「BC547CTFR」の星 5つに設定し、「Tutorial.BomDoc」を保存します。

これで部品表の生成は完了です。

 

 

BOMファイル出力

BOMファイルを出力するために 出力ジョブを追加します。(部品表は組み立てに関するデータであるため「Fabrication.OutJob」とは別の出力ジョブに割り当てます)

メニューバーの「ファイル」→「新規」→「出力ジョブ」を選択し、ファイル名を「Assembly」として保存します。

続いて Assembly.Outjobファイルの中から「Add New Report Output」→「Bill of Materials」→「ActiveBom Document」選択し、「Bill of Materials」をダブルクリックします。

すると「Bill of Materials for BOM Document」のウィンドウが開くので、Export Options の File Format を「Generic XLS」に、 Template を「BOM Template Single Supplier(V.2)」に変更して「OK」をクリックします。

そして BOMファイルをPDFファイルとして出力するために、出力コンテナへマッピングを行います。

出力種類から「PDF」を選択して「Bill Of Materials」のラジオボタンを有効にした上で「変更」をクリックします。

次に「PDF Settings」のウィンドウが起動するので「Assembly.PDF」の箇所をクリックして、「出力名を使用して各出力ごとにファイルを分割」を選択して「完了」をクリックします。

プレビューの最下段に「Bill of Materials.pdf」というファイルが追加されていることを確認したら「OK」をクリックします。

 

Pick & Placeファイル出力

BOMと同じような手順で、部品の「Pick & Place」出力を Outjobファイルに追加します。

Assembly.OutJob の中から「Add New Assembly Output」→「Generates pick and place files」→「PCB Document」を選択します。

続いて「Generates pick and place files」をダブルクリックして「部品配置データ設定」ウィンドウを開き、出力設定の「単位」を「メートル系」に変更した上で「OK」をクリックします。

そして Pick & Placeファイルも出力コンテナへマッピングします。

出力種類の中から「Folder Struc」を選択し、ラジオボタンを有効にしてファイルを割り当てます。

割当が完了したら、プロジェクトツリーの「Assembly.OutJob」を右クリックしてファイルを「保存」します。

 

プロジェクトリリース

ここまでで必要なファイルが全て揃ったので、いよいよプロジェクトをリリースします。

  • ガーバーファイル
  • NCドリルファイル
  • 検証レポート
  • 部品表 (BOM)
  • Pick & Place ファイル

プロジェクトツリーの「Tutorial.PrjPcb」を右クリックして「Project Releaser」を選択します。

プロジェクトリリースは、画面左側に表示されている 1~6のステップに沿って実行されます。

まずは「1.Configure Server Release」で「Details」をクリックしてプロジェクトファイルの構成を確認しつつ、下部の「オプション」をクリックします。

すると「Project Release Options」のウィンドウが起動するので、以下のように設定して「OK」をクリックします。

  • Release Target : Managed – Username ←(ご自身のユーザー名)
  • Fabrication Data : Fabrication
  • Assembly Data : Assembly

設定が完了したら、画面下部の「準備」をクリックします。

「Item Creation」のウィンドウが起動した場合は「Create item」、「Project Modified」のウィンドウが起動した場合は「Save and Commit changes」を選択します。

Commit to Version Control のウィンドウの「Comment」には「The project is ready to be released」と入力して「Commit And Push」をクリックします。(※上の動画ではコメントの入力が抜けています)

すると画面左側の「2.Validate Project」と「3.Generate Data」のプロセスが順次実行されていき、ファイルに問題なければ「4.Review Data」へと移ります。

この Review Dataでは「View」をクリックすることで、ファイルの中身を確認することもできます。

そして最後にプロジェクトをリリースするために画面下部の「リリース」をクリックします。

「リリースの注釈」には「Initial Release」と入力し「OK」をクリックします。

すると再び画面左側の「5.Upload Data」と「6.Execution Report」のプロセスが順次実行され、各データのナビゲーションリンクとデータレポートが表示されます。

これでプロジェクトのリリースは完了です。

 

おわりに

今回はチュートリアルの最終回として、プロジェクトのリリースを行いました。

プロジェクトリリースは次の製造工程とも密接に関わってくるため、特に初心者のうちは何が行われているのかわからずに戸惑ってしまうことも多々あるかと思います。

そのためまずは手順を覚えること、そして用語の意味を理解することに重点を置いて取り組んでいくことをおすすめします。(用語の意味が理解できれば、自分が何をしているのかが理解できるはずです)

そしてチュートリアル解説の本編としては今回が最終回になりますが、少しおまけとして次回は「Altium365」を使ったプロジェクトの共有方法について紹介します。

Altium Designer を使ってみた(10)【Altium365】Altium Designerのチュートリアル解説の第10回目。 前回まででプリント基板の設計作業は終了しましたが、今回はおまけと...

 

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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