この記事ではプリント基板の基礎知識について解説しています。
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プリント基板とは
プリント基板は、絶縁性の板材に導電性の金属を配線して回路を形成したものです。
簡単な電子工作ではブレッドボードやユニバーサル基板など、回路を組み替え可能な基板を
使用することが多いですが、プリント基板はそれらの回路をあらかじめ基板として作り込んだものです。
プリント基板を使用する最大のメリットは、同じ回路を「安価に」「大量に」生産できることで、現代の電子機器開発においては無くてはならないものとなっています。
プリント基板の構成
プリント基板は、材質の異なる板材を積層して回路を構成します。
回路を構成するための材質は以下の4つです。
- 銅箔
- コア材
- プリプレグ
- ソルダーレジスト
この4つの層にはそれぞれに異なる役割があります。
銅箔(導電層)
銅箔は電気を流す性質を持つことから、回路の信号を伝送する働きを持ちます。
一般的なプリント基板においては 35um程度の厚みのものが使用されますが、信号の電流の大きさに応じて厚みの大きいもの(70um以上)が使用されることもあります。厚みについては oz(オンス)という単位で管理されており、35um = 1ozとなります。
コア材(絶縁層)
コア材はプリント基板のベースとなる絶縁性の板で、プリント基板の層間の絶縁性を
保持する働きを持ちます。
コア材の材質によって価格や性能に違いが生じるため、用途に応じて適切な種類を選択することが重要になります。
プリプレグ(接着層)
プリプレグはコア材と同じように層間の絶縁性を保つためのものになりますが、プラスアルファの要素として層間を接着させる働きを持ちます。
プリプレグの材質としてはガラスクロスに樹脂を含浸させてもので、熱をかけることで柔らかくなって接着剤として機能します。
ソルダーレジスト(表面保護膜)
ソルダーレジストはプリント基板表面を絶縁するための保護用のコーティングです。
一般的にプリント基板は緑色をしていることが多いですが、これはソルダーレジストの色が緑色であるためです。日本では緑色が使用されていることが多いですが、赤、青、黄色、黒、白など様々な色のバリエーションが存在します。
緑色が使用されている理由としては視認性が高く、検査で不具合を発見しやすいなどの
理由もあるようですが、最近は好みに応じて選択できるようになっています。
プリント基板の分類
プリント基板は「層構成」と「コア材の材質」の2つの観点から分類できます。
層構成による分類
層構成については導電層の数によって分類されます。
片面基板
片面基板は表面か裏面のいずれかのみに導電層が存在するプリント基板です。
基本的に層数に応じてコストが増加する傾向にあるため、安価な電子機器で使用されていることが多いです。
両面基板
両面基板は最もベーシックなタイプの層構成で、コア材を中心に表面と裏面の両方に
導電層が存在します。
実装する電子部品については、スルーホールタイプと表面実装タイプのいずれにも対応することが可能で、応用性の高さもメリットの1つです。
多層基板
多層基板は信号線の多い回路に使用される層構成で「4層」「6層」「8層」「10層」「12層」などのプリント基板が存在します。
これらの層数の違いは回路規模に応じて使い分けされており、例えば Arduinoなどの汎用コンピュータ基板であれば 4層基板、スマホなどの高機能なコンピュータの場合は8層や10層の基板が使われます。
基本的には層数が増えるごとにコストが高くなる傾向にあります。
コア材の材質による分類
コア材の材質は、主に「リジッド基板」と「フレキシブル基板」の2つに分類されます。
この2つの基板はコア材の硬さに違いがあり、固くて曲がらないものをリジッド基板、柔らかくて変形可能なものをフレキシブル基板と呼びます。
ほとんどの場合はリジッド基板を使用しますが、電子機器の筐体に沿って折り曲げたりするなど変形が必要な場合はフレキシブル基板を使用します。
またフレキシブル基板については、厚みが薄いためスマホやデジカメなどのモバイル機器においてケーブルとして使用されることも多いです。
おわりに
今回はプリント基板の基礎知識について解説しました。
電子機器の製造において、プリント基板は無くてはならない非常に重要な電子部品です。
基本的な構成はもちろん、用途や特徴の違いを理解して使用することが大切です。プリント基板の種類の違いについては以下の記事で解説しています。
こちらの記事も、ぜひご覧になってみてください。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。