今回はCISPR15について解説します。
適用範囲
CISPR15は「照明器具」を対象としたEMI試験の規格です。
家庭用の照明から工業用の照明まですべての照明器具を対象とした規格です。
規格の動向
2019年2月現在、CISPR15 Ed.9 が最新版となっていますが、規格の概要を知るだけなら CISPRJ15 を見ればよいと思います。
CISPRJ15は CISPR15 Ed.8 をもとに作成された規格です。
http://www.cisprj.jp/doc/CISPRJ_15_2017.pdf
Ed.8 と Ed.9 の違いは以下の通りです。
a) 編集上の再構成による全面改訂
b) 商用電源およびバッテリー動作に対する適用範囲の制限は削除
c) 放射妨害波の限度値適用周波数範囲に300 MHz ~ 1 GHzを追加
d) 負荷端子限度値とCDNE(放射エミッションの代替)限度値を変更
e) 挿入損失要求事項とそれに関連したAnnex Aを削除
f) 基本的な3つのポート (有線ネットワーク、ローカル有線、筐体) を追加
g) 技術に依存しないアプローチの紹介
h) Annex B (CDNE)を適切な参照規格CISPR 16シリーズに差し替え
i) コニカル・ハウジングの金属孔に対する要求の変更
j) セルフ・バラスト(安定器内蔵型)ランプGU10用の新しい伝導妨害測定方法
k) (電圧限度値と測定方法に加えて) 電流プローブ測定方法さまざまなポートタイプの限度値を追加
l) (独立した補助装置の代わりとして)『モジュール』という用語の紹介、およびホスト(参照)システムを用いたモジュール測定の要求事項を規定
m) EUTの安定化時間の仕様を改訂INTERFERENCE TECHNOLOGY
n) (1.6 m以上の)大きなEUT用に、3 mや4 mのループアンテナ・システム(LAS)に代わる距離3 mで60 cmのループアンテナ (CISPR 14-1の方法)を使う磁界測定方法追加
試験の内容
CISPR15は試験項目、試験範囲が他の規格と異なります。
試験項目は「伝導エミッション試験」「磁界エミッション試験」「放射エミッション試験」です。
磁界エミッション試験
CISRP15における磁界エミッション試験では、一般的な60cmのループアンテナではなく、直径2mのラージループアンテナで試験を行います。
伝導エミッション試験
試験範囲は伝導エミッション試験は「9kHz~30MHz」です。
ほとんどの規格が 150kHz 以上を対象としているのに対して、照明器具は 9kHz から限度値が規定されています。
150kHz以下のノイズ対策となると、一般的にはサイズの大きい部品を使うことになるので対策の難易度が高くなります。
放射エミッション試験
放射エミッション試験は規格の Ed によって試験範囲がことなり、ed.8 までは「30MHz~300MHz」でしたが、ed.9 では 「30MHz~1000MHz」 まで拡張されました。
なお放射エミッションに関しては、代替え試験法として CDNE による伝導エミッション試験が認められています。
おわりに
CISPR15の概要について、ご紹介しました。
他のエミッション規格と異なる点も多いので、試験を行うときは規格書をしっかりと確認することをオススメします。
今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。