EMC試験のテストサイトについて。
テストサイトの種類
EMC試験では3つのテストサイトを使用します。
- オープンサイト
- 電波暗室
- シールドルーム
どのテストサイトを使用するかは試験内容によって異なります。
ここでは各テストサイトの概要をご紹介します。
オープンサイト
EMC試験の基準となるのがオープンサイトです。
オープンサイトは屋外でEMC試験を行うテストサイトで、 OATS(Open Area Test Site)と表記されます。
屋外でEMC試験ができるの? と思われるかもしれませんが、電波暗室が無かったころはオープンサイトで試験するのが当たり前でした。
シェルター(白いテント)を設置することで風雨から供試品(EUT)を守り、雨天でも試験できるようになっています。
もちろん屋外ですので試験時に外来ノイズ(電子機器からのノイズ、携帯電話の電波、放送電波など)の影響をうけます。
そのため、人里離れた電波の届きにくい山奥に作られることが多いです。
近年、電波暗室が普及によりオープンサイトのサイト数は減少しています。
ただし、オープンサイトにはEMC試験を行う以外にも重要な役割があります。
それはリファレンスサイトとしての役割です。
リファレンスサイトとは電波暗室の特性を規定するうえで、その基準となるサイトのことです。
オープンサイトは電波に干渉する物理的な障害物がないため、理想的な電波の伝搬特性が得られます。
この伝搬特性(サイトアッテネーションとも言います)と電波暗室の伝搬特性を比較することで、電波暗室の良し悪しを判定できます。
電波暗室
オープンサイトの電波伝搬特性を模擬した、人工的な試験室です。
EMC試験で使用する電波暗室は 「5面電波暗室」や 「電波半無響室」とも呼ばれ、SAC(Semi Anechoic Chamber)と表記されます。
電波暗室 は部屋全体が金属の壁面で覆われており、壁面の内側に発泡状の電波吸収体を貼り付けているものが一般的です。
何のために空間を金属で覆うのか?
それは外来ノイズを遮断するためです。
金属で電波をシールドすることで外部の電波環境によらず、EMC試験を行うことができます。
さらに電波吸収体によって電波の反射が抑制され、オープンサイトの電波伝搬に近い特性が得られます。
ちなみに電波吸収体の色や形って特徴的ですよね。
それぞれ周波数帯や吸収量によって違いはありますが、電波の反射を抑制するという機能は同じです。
最新の電波暗室では意匠性を高めるために、発泡スチロールを組み合わせて模様やロゴをデザインすることもあるようですよ。
また電波暗室には測定距離に応じて3m法電波暗室、10m法電波暗室、30m法電波暗室などがあります。
EMC試験の要求事項によって使い分けるとよいでしょう。
シールドルーム
外来ノイズの影響を遮断するための試験室です。
シールドルームは空間を金属で覆っただけの試験室なので、放射性のEMC試験には適していません。
主に伝導性ノイズのEMC試験で使用します。
シールドルームは正式なEMC試験用ではなく、簡易的な電波試験室として使用されることもあります。
これらは試作段階での簡易評価に適しています。
おわりに
少々雑多な内容となりましたが、 いかがでしたでしょうか?
EMC試験では必ずテストサイトを利用するので、それぞれの違いを知っておくだけでも役に立つと思います。
それではまた。。。