EMC村の民
~iNarte EMCエンジニアへの道~
ノイズ対策

フェライトコアを効果的に使用するためのノウハウ

 

ノイズ対策部品として多く使用されているフェライトコア。

トロイダルコア、矩形コア、分割型コアなど、種類は多岐にわたります。

またノイズ対策効果が容易に得られることから、様々な機器で使用されています。

 

今回の記事では、そんなフェライトコアの効果的な使用方法について紹介します。

 

ノイズ対策効果の原理

フェライトコアはいわゆる磁性体と呼ばれる材料です。

磁性体とは、空気と比較してより多くの磁界を取り込むことができる材料です。

フェライトコアはケーブルに取り付けて使用されます。

フェライトコアをケーブルに取り付けると、ノイズ電流によって発生した磁界をフェライトコアが取り込みます。

そして、この取り込んだ磁界を熱に変換するため、ノイズを吸収することができます。

ノイズ対策効果の原理 出典:EDN JAPAN

 

取り付け方法

フェライトコアをケーブルに取り付けるときには、ノイズフィルタと同じようにノイズの伝導モードを考慮する必要があります。

ノイズフィルタを効果的に使用するためのノウハウノイズフィルタの効果的な使用方法を紹介しています。...

ノイズの伝導モードには、ノーマルモードノイズとコモンモードノイズがあります。

ノーマルモードノイズは線間に流れる成分で、コモンモードノイズは複数の線を同相流れるノイズ成分で、それぞれの状況ごとに最適な取り付け方法が異なります。

ノーマルモードの取り付け方法 出典:星和電機
コモンモードの取り付け方法 出典:星和電機

また、同じコモンモードノイズでも、ノイズの流れ方によって取り付け方法が変わります。

コモンモードノイズ対策における取り付け方法の違い 出典:北川工業

ノイズの伝導モードは、電流プローブを使って切り分けることが可能です。

伝導モードごとに電流を測定することで、支配的なノイズ成分を見極めることができます。

ノーマルモード電流の計測 出典:eオータマ

 

コモンモード電流の計測 出典:eオータマ

なお、電流プローブは実はフェライトコアを使用して自作することも可能です。

電流プローブに必要な要件は、CISPR16-1-2の付則Bに記載されているので、興味があれば自作してみてください。

磁性体の材料

フェライトコアは磁性体の材料によって、ノイズ対策効果の高い周波数帯域が異なります。

一般的には、マンガン系のフェライトコアは透磁率が高いため低周波ノイズ(~1MHz)に、ニッケル系のフェライトコアは透磁率が低いため高周波ノイズ(1MHz~)に効果的と言われています。

コア材料別周波数特性 出典:TDK

磁性体の材料については「」でも紹介しているので、そちらも確認してみてください。

コイルのコア材の種類 コイルのコア材の種類、いわゆる磁性体には2つの分類があります。 「硬質磁性体」と「軟質磁性体」です。 硬質磁...

 

ケーブルのターン数

フェライトコアは、コイルの一種です。

1ターンの場合は特殊ですが、ターン数を増やすごとにコイルと見た目も近づいてきます。

コイルのターン数は、コアの内側を通っているケーブルの本数をもとに規定します。

ターン数 出典:北川工業

コイルと同じということは、インダクタンスがターン数の2乗に比例します。

トロイダルコイルの設計方法トロイダルコイルの設計方法について紹介しています。...

そのためインダクタンスが支配的となる自己共振周波数以下では、フェライトコアのインピーダンスはターン数の2乗に比例します。

ターン数比較 出典:星和電機

 

コアのサイズ

同じ材料のフェライトコアでも、サイズによってインピーダンス(インダクタンス)が異なります。

トロイダルコイルのインダクタンストロイダルコイルのインダクタンス 出典:日経XTECH

サイズに関わるパラメータは、s:断面積と l:磁路長です。

断面積が大きいほど、磁路長が短いほど、インピーダンスが高くなります。

つまり、トロイダルコアにおいては内径が小さく、外形が大きく、長い形状が有利であると言えます。

 

おわりに

ノイズ対策において、フェライトコアを効果的に使用するための考え方を紹介しました。

基本的な考え方は、トロイダルコイルと同じであるため、まずはそこから理解を進めていくのが良いと思います。

 

トロイダルコイルの学習には「トロイダル・コア活用百科」がオススメです。

百科というだけあって、コアやコイルに関して必要な情報はすべて網羅されています。

逆引き辞書としても活用できるので、手元においておきたい一冊です。

 

磁性体の材料を学習するには「軟磁性材料のノイズ抑制設計法」が最適です。

フェライトコアに限らず、様々な磁性体の材料を取り扱っているので、用途ごとに最適な材料はどれなのかを理解できると思います。

 

マニアックなところではTDKのサイトの「with ferrite」も面白いです。

https://www.jp.tdk.com/techmag/ferrite/

ミクロの世界を覗き込むような気持ちで読むと、いろいろ興味がそそられます。

化学的に磁性材料を理解したい方は、ぜひ読んでみてください。

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

ABOUT ME
エンジャー
EMCやノイズ対策に関する情報発信を日々行っています。 ( iNarte EMC Engineer、第一級陸上無線技術士)

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