この記事では、Aliexpressで購入した激安の USBトリガーについて紹介します。
USBトリガーとは
USBトリガーとは、USB PD(Power Delivery)に対応した電源から任意の電圧を取り出すことができるデバイスのことを言います。
USB Decoy(デコイ)と呼ばれることもあります。
この USBトリガーを使用すると、既存のACアダプタを USB電源に置き換えることができるため、特にPCの ACアダプタ用途で使用されたりしています。
USB PD パワールール
USB PDでは、充電器とデバイス間で互換性を確保するために電圧と電流の組み合わせが規定されています。
この電圧と電流の組み合わせはパワールールと呼ばれており、消費電力に応じて以下の表のように分類されています。
またこれ以外ので電圧にも対応させることが可能で、Optional Voltageとして 12Vの電圧に対応していることが多いです。
このように、USB PDには様々な出力電圧が存在しましすが、USBトリガーを使用すると消費電力とは関係なく所望の電圧を出力させることができます。
これは例えば、電子工作などで USB充電器を使って 9Vや 12Vを簡単に作ることができるため非常に重宝するかと思います。
購入品
今回は、Aliexpressで USBトリガーを購入してみました。1個あたり 498円と激安の商品です。
ただし送料が 500円ほど掛かっているので、実質 1,000円ほどでの購入となります。
ちなみに USBトリガーについては専用ICが販売されており、そちらを使用すれば自作することも可能ですが、昨今の半導体不足もあってか IC単体で 1,000円以上します。
今回購入した USBトリガーは、最大 100Wまでの USB PDデバイスに対応しているため、おおよそ全ての USB充電器に使用することができそうです。
また出力電圧については、Optional Voltageとして 12Vにも対応しており、商品説明にはノートPCやルーターへの電力供給によく使用されると記載されています。
出力電圧は、基板の両端に実装されているタクトスイッチ(S+、S-)によって切り替えることができ、供給中の電圧がLEDインジケータで確認できるようになっています。
動作検証
ここでは 65WのUSB充電器と電子負荷を使って、USBトリガーの動作検証を行います。
使用機器
使用しているUSB充電器は、窒化ガリウム GaNを搭載したものです。
電子負荷については、以前の記事で紹介した中華製の 150W対応のものを使用します。
USBケーブルは、最大 5A出力に対応した E-Mark表示のあるケーブルを使用します。
動作条件については、それぞれの電圧において最大電流を流してみてきちんと動作するかを確認します。
5V出力
まずは、最も低い電圧の 5V出力に設定します。
一番下の青色のインジケーターが点灯します。
この状態で3Aの負荷を駆動すると、出力電圧(ケーブル 2mの電圧降下を含む)は 4.76Vとなっています。
電圧降下の影響で 5%程度電圧が低下していますが、USBトリガー自体は適切に機能していることがわかります。
9V出力
続いて、USBトリガーを 9Vに設定します。(下から2番目のインジケーターが点灯)
先ほどと同じように負荷に対して 3Aの電流を供給すると、出力電圧は 8.59Vとトリガーが適切に機能していることが確認できます。
12V出力
次は USBトリガーを 12Vに設定します。(中央のインジケーターが点灯)
これまでと同じように数%程度の電圧降下が発生していますが、設定通り約 12Vの電圧が出力されていることが確認できます。
15V出力
USBトリガーを 12Vに設定します。(下から2番目のインジケーターが点灯)
これまでと同様に、USBトリガーの設定通りおおよそ 15Vの電圧が出力されています。
20V出力
最後に、最も高い電圧の 20Vに設定します。(一番上のインジケーターが点灯)
今回使用している USB充電器は最大電力が 65Wとなっているため、電子負荷への供給電流を 3.5Aに設定して動作させました。
定格電力を若干オーバーしているものの、USBトリガーで設定した通りの電圧が出力されていることが確認できます。
また 3.5Aの出力に対しても USBトリガーはほとんど発熱しておらず、おそらくは仕様通り 5A出力も問題なく使用できるかと思います。
おわりに
今回は、Aliexpressで購入した USBトリガーの動作検証を行いました。
約500円で購入した激安品でしたが、基本的な動作については問題なく使用できるかなといった印象を受けました。
長期間使用しているわけではないので寿命などについてはわかりませんが、とりあえず電子工作の実験用として複数の電源が必要という方にはおすすめできる商品かと思います。
購入リンクは以下に掲載しておきますが、販売が終了しているようなら「USBトリガー」や「トリガーアダプター」などで検索すると同様のものが出てくるかと思います。
また価格が少し高くなりますが、Amazonにも同じようなものが販売されています。
出力なしのタイプであれば、同様の価格で購入できます。
気になる方はチェックしてみてください。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。