この記事では、電子機器におけるノイズの捉え方について解説しています。
ノイズの定義
ノイズという用語は、Wikipediaによると以下のように定義されています。
“ノイズ (日: 雑音,英: noise) とは、処理対象となる情報以外の不要な情報のことである。”
この定義に基づくと、ノイズは「処理対象となる情報」と「不要な情報」の2つが存在して、はじめて存在するものであることがわかります。
そしてこのうちの「処理対象となる情報」のことを「信号」、「不要な情報」のことを「ノイズ(雑音)」と呼びます。
つまり、電子機器にとって必要な電気信号が「信号」、不要な信号が「ノイズ」ということです。
人間とノイズ
ノイズに関する理解を深めるために、ここでは電子機器ではなく、人間とノイズの関係をもとにノイズの捉え方を紹介します。
まず、Aさんが室内で音楽を聞いていたとします。
このときAさんにとって音楽は、リラックスするため、あるいは集中するために必要な「信号」として機能しています。
一方で同じ室内に、携帯電話で通話しているBさんがいるとどうでしょうか?
Bさんにとって音声は通話のために必要な信号ですが、Aさんにとっては音楽を邪魔する不必要な存在でしかありません。
つまり同じ音声であっても、Bさんにとっては必要な「信号」であるのに対し、Aさんにとっては不必要な「ノイズ」として捉えられるということです。
このようにノイズの捉え方は立場によって捉え方が変わるため、ノイズ問題を考える時にはどの立場から見た話なのかを理解しておくことが重要になります。
電子機器とノイズ
電子機器におけるノイズの捉え方も、人間のときと同じです。
ここではテレビの放送波を例に考えてみます。
テレビの放送波は、テレビにとって無くてはならないものであるため、必要な「信号」として捉えることができます。
一方で、周辺で動作しているエアコン、電子レンジ、冷蔵庫などの電子機器にとっては、テレビの放送波は必要な信号ではありません。
多くの場合、テレビの放送波によって直ちに他の電子機器に何か不具合が生じるわけではありませんが、これらの電子機器にとっては不必要なものであるため「ノイズ」として捉えられることになります。
このように信号とノイズは、同じものに対してもそれぞれの立場によって捉え方が違い、それが相互に関連しあっているため、ノイズ問題においては「一方を立てればもう一方が立たず」といったトレード・オフの関係になることが多いです。
おわりに
今回は電子機器におけるノイズの捉え方を解説しました。
電子機器で使用されている電気信号や電磁波は、立場によって信号になったりノイズになったりするので、ノイズ問題を考える際にはどの立場から見た現象なのかをきちんと整理しておくことが大切です。
ぜひ、実務の中でも意識してみてください。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。