普段から回路設計をしている方は、使用するコンデンサがだいたい自分の中で決まっていたりしますが、初心者は種類が多すぎて何を選べばいいのかわからないといったことがよく起こります。
そこで今回の記事では、回路設計の初心者の方向けにコンデンサの選び方を以下の順に紹介します。
- 極性
- 定格電圧
- 耐電圧
- 容量
- 材質
- 形状とサイズ
- 温度特性
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極性
まずは安全に使用することが第一です。
そこで重要となるのが「極性」「定格電圧」「耐電圧」です。
例えば、DC回路に使用する場合「+」と「ー」の極性が存在しますが、AC回路に使用する場合は「+」と「ー」が常に入れ替わるため極性は存在しません。
そのため極性のあるコンデンサ(電解コンデンサなど)をAC回路に使用すると、逆向きの極性の電圧が印加されることで故障の原因となるため、使用してはいけません。
極性を持つコンデンサをAC回路に使用しない
定格電圧
同様に「定格電圧」も安全に使用するためには重要なパラメータです。
回路に印加される電圧に対して、ある程度マージンを持ったコンデンサを選定します。
マージンをどの程度持つかは回路によりますが、1.5倍~2倍程度あれば安心して使用できます。
回路電圧に対して、1.5~2倍の定格電圧を持つコンデンサを使用する
耐電圧
安全性の最後は「耐電圧」です。
耐電圧には「直流電圧の耐電圧」と「交流電圧の耐電圧」があります。
部品の印字に直線のバーがあるものが直流の耐電圧を示したもので、波線は交流の耐電圧を示します。
使用する回路、あるいは機器の仕様に合った耐電圧のものを選びましょう。
機器の仕様に合った耐電圧のコンデンサを使用する
容量
次ににコンデンサのメインのパラメータである「容量」を確認します。
コンデンサの用途としては、整流回路、フィルタ回路、共振回路など様々です。

それぞれの回路で重視されるパラメータは異なりますが、共通して重要なパラメータが「容量」です。
整流回路であれば、リップルを許容範囲に収めるために必要な容量
フィルタ回路や共振回路は、共振周波数を指定の範囲に収めるために必要な容量
といった具合に容量を決めましょう。
また推奨回路などがデータシートに記載されている場合は、まずそちらを真似してみても良いと思います。
材質
これまでのパラメータが決まっていれば、ある程度「材質」は絞られてきているかと思います。
例えば、極性がある場合は「電解コンデンサ」。
極性がない場合は「セラミックコンデンサ」や「フィルムコンデンサ」といった感じです。
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セラミックコンデンサとフィルムコンデンサでは、容量の範囲が異なります。
小さな容量の場合は「セラミックコンデンサ」、大きな容量の場合は「フィルムコンデンサ」を使用することが多いです。
また「セラミックコンデンサ」はDC電圧をかけると容量が変化する「DCバイアス特性」が大きいので、バイアスTなどの回路に使用する場合は「フィルムコンデンサ」の方が適しています。
一方で「セラミックコンデンサ」はESR(寄生抵抗成分)が小さいので、ノイズ対策としてデカップリング回路に使用する場合は最適です。
形状とサイズ
あとは基板に実装するために「形状」と「サイズ」を見ていきます。
形状は、まず「リード付き」か「表面実装」のどちらかを選びます。
このあたりはコンデンサ単体ではなく、基板としてあらかじめ決まっていることが多いかもしれません。



温度特性
用途によっては、高温あるいは低温で使用することもあります。
コンデンサは温度依存性を持った素子なので、温度によって容量が変化します。
使用温度範囲が広い場合には、温度補償タイプのコンデンサを使用する必要があります。

セラミックコンデンサは温度特性によって、グレードが分類されています。

分類方法は日本工業規格(JIS)とアメリカ電子工業会(EIA)によって決められており、温度特性記号で見分けられるようになっています。

おわりに
回路設計初心者の方向けにコンデンサの選び方について紹介しました。
ノイズ対策という観点で見ると「形状」や「ESR」にこだわって選ぶべきですが、それはある程度慣れてきてからでもいいと思います。
まずは自分の中で「この回路」あるいは「この用途」であれば「このコンデンサ」という感覚がつかむことが大切です。
コンデンサの種類や用途はコチラ↓


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今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。